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019・7・18〜9・20

(ワイキキに架かる虹)

はじめに

 この夏、日本は長梅雨に猛暑、超大型台風と大変な天候でした。欧州も又猛烈な熱波襲来で大変だったようです。一方ハワイ=ワイキキはというと・・・滞在中殆ど毎日青空続きで、一度夕方に短時間シャワーがあった程度。心配していたハリケーンの接近も無く、ほぼ毎日爽やかな風が吹いて、おかげさまで先ずは快適に過ごすことが出来ました。

 尤も現地在住の人に言わせると「例年になく暑い!」とのことで、確かに日中30度を超える日が多かったです。(それでも湿度が低いので、日陰に入ると暑さを凌げるのがハワイのいいところ。)

 〜〜ということで、この夏もハワイアン・ミュージックを追いかけているうちに、アッという間に63日が過ぎていきました。スラッキー・ギター、ウクレレ、スチールギターの素晴らしい音色、魅惑の歌唱、そして優雅なフラダンス・・・益々その魅力に引き込まれていきます。

 

スチールギター・ウイーク

ロイヤルハワイアンセンターに移って第3回となったスチールギターの祭典、今年は7/157/206日間に亘って開催。到着の翌日(19日)、朝からドンキホーテ〜ウオルマートと食料調達に励み、部屋に戻っては持参品の整理の目途をつけると、夕方に慌ただしくロイヤルハワイアンセンターのロイヤルグローブへ駆けつける。

ステージの前の広場には椅子席が用意されており、ラッキーなことに最前列中央の席が一つ空いていたので、横のご老人に「いいですか?」と断って腰掛ける。これでリラックスして楽しむことが出来て誠に有難い!(ところで、声をかけた隣席の老人は、なんとライオン小林さん==日本のスチールギター界の大御所で、「明日トリで演奏するよ」ということです)

トップはカポノ・ロペス・・・ハンサムボーイで好感の持てる青年。オーソドックスな演奏で歌声もソフト、今後経験を積んで表現力を磨けば将来は有望か!

  

次はスコット・フルシマ。日系(=3世)で、手慣れた演奏ぶり。どこかで見たような?・・・中学生の頃からトロンボーンを吹いて育ち、大学卒業後、ロイヤルハワイアンバンドから誘いを受け、爾来17年に亘って同バンドでトロンボーンを担当し、ボーカルとしても活躍しているという、実力者だそうな。

  

最後は、ポール・キムとザ・ワイマナロ・サンセット・バンド。クラシックな演奏スタイルで軽快なメロディが流れます。スチールギターは全体の一部といった感じ。独特の音作りで人気のバンドで、隔週金曜の夜、プリンスホテルのプールサイドで演奏しているそうです。

 帰りがけ、カラカウア大通りで少女のパフォーマーが目につきました。演奏も歌もなかなかしっかりとしており、根性ありそうです。(後述する、今は人気ウクレレ奏者のタイマネ・ガードナーも少女時代にストリート・パフォーマンスからスタートしたといいますから、この少女も将来そんな存在に成長するかもしれません?)

  

 翌20日の最終日は12時から夜8時までの長丁場。ところが日中はイオラニ宮殿で「プリンス・ロト・フェスティバル」が開催されるとあって、そちらを優先し、 スチールギターは夕方からとなりました。それにしても、いやはや、到着直後から大忙し!です。

 会場にかけつけると、このイベントの主宰者のアラン・アカカが司会をやっていました。アカカはハワイ大学教育学部を卒業し、カフク高校などで教鞭を執ったあと、ミュージシャンに転向し、ハレクラニのハウス・ウイズアウト・ア・キーで長年に亘って演奏、2009年にはワシントンでのオバマ大統領就任舞踏会で総合司会&演奏の大役を果たしています。

 スチールギター奏者として活躍する一方、自身のスクールを創設し、ハワイアン音楽教育に取り組んでいるそうです。このフェスティバルもヤング層に演奏披露の場を提供しています。アカカさんの生き様は素晴らしいですね!

夕方の一番手は、オーストラリアから来たポール・アガー。ひたむきに演奏していますが、バックバンドと息があわなかったり、全般的に稚拙さは否めない。

 ところで、そんな彼らギタリストをフォロー&バックアップしているのがザ・アイランダーズ昨日からバックバンドを務めていますが、この二人親子だそうで、どんな曲でも即座に対応するところは凄い!さすがハワイのプロミュージシャンです。

 スティーブ・チェニーは第1回から毎回出演している大ベテラン。オーソドックスな演奏です。

 つぎに日本からテツヤ・イシヤマ(石山哲也)。貴公子のような雰囲気の彼は「白石信とナレオハワイアンズ」で、スチールギターとボーカルを担当しているそうで、素晴らしい演奏を披露してくれました。サッとステージ前に現れてフラを披露した二人は、彼の“おっかけ”の女性でしょうか!

    

 いよいよ“真打ち”といったところで、アラン・アカカとザ・アイランダーズ登場。アカカはダブルネックのスチールギターを駆使し、ハイテクニックな演奏で観衆の目(否、耳!)を惹きます。

  

 いつの間にか、日が暮れて辺りは暗くなってきました。ちょいと進行の段取りが悪く、トリのキヨシ“ライオン”コバヤシのグループの演奏が始まったのが、本来終了時間である午後8時。(因みにワイキキのライブ・イベントでは、何処でもキッチリと予定時間に終了します)

小林さんを中心に“ライオン・レディ”4名と計5台のスチールギター、バックにウクレレ5名、計10名の大アンサンブルです。でも、小林さん以外の周りはみんなお弟子さん。やはりプロとアマの差は歴然で、ハーモニーはイマイチです。スチールギターとウクレレだけという組み合わせもあまりいいとは思えません。

  

ところで、ライオン=小林潔さんは、1933年生まれというから現在86歳。昨日は杖を突いて歩く姿はヨロヨロといった感じでしたが、今夜衣装を着替えて、ステージに出ると、颯爽として別人のよう。北海道うまれで、5歳のころからピアノを習い、スチールギターは15歳から。演奏のみならず、楽器の技術開発にも取り組み慶応大学1年の時に独自のペダル・システムを考案し、ポス宮崎に次いで(日本では)2人目のペダル奏者になったそうな。

私にはそのシステムはよくわかりませんが、とにかく理論と技術でスチールギターを極め、今なお、演奏と指導で第一線に立つ斯界のレジェンドです。

プリンス・ロト・フェスティバル

 いやぁ、到着直後のこの週末は本当に忙しい! 今朝(7/20)の朝は先ずKCCの朝市へ。もうすっかり観光客用の朝市で、毎年来るたびに「弁当屋」さんが増えて、いい食材を売る店が姿を消しています。で、結局妻の希望する蘭の鉢のみ買って帰りました。

遅い朝食を済ませると、イオラニ宮殿で開催される、「第42回プリンス・ロト・フェスティバル」に向かいます。かつて宣教師によって禁止されたフラダンスを復活させたプリンス・ロト=カメハメハ5世に敬意を表して開催されているフラ・フェスタです。従って当然クラシック・フラ中心で、それが又いいんですよね。

           

 

ウクレレ・フェスティバル

 翌日の21日は、「第49回ウクレレ・フェスティバル」。私には夏の音楽祭典ビッグ2の一つです!1030スタートですが、会場に着いたのは11時過ぎ。

 私にとってのスタートはコリアから来たドン・リーン・トリオ。巧みな演奏で、英語もなめらか。奥さんのフラが花を添えます。

   

次はカリフォルニアからのコロヘ・グループそろいの衣装もバッチリと決まっています。演奏ももちろん!

同じくカリフォルニアからのアロハ・ピッキング・オハナ。リタイア組が中心で、日系人が多く、「ここに幸あり」を披露していました。皆さんお元気でいいですね!

   

 東京から2回目という、マリ・鈴木をリーダーにしたグループは約60人の大集団。通常、フラを踊るのはおばさんが多い(失礼!)のですが、此のグループでは若くてきれいなお嬢さんのフラが印象的でした。

     

 お昼になると、片腕の奏者=ニック・アコスタが「A列車で行こう」や「ワンノート・サンバ」などを披露。以前は“片腕奏者”だということで注目を浴びていましたが、演奏技術も向上し、いまやもう一流のアーティストです。

 次は。もう常連のマハ・ウクレレ・スクール。中央に実力歌手(女性)を据えて、じっくりと見せます,聞かせます。司会(=主催者)のロイ・サクマがアンコールを要請したところ、この大集団が即座に応えたところも素晴らしい!

  

その後は子供たちの“発表会”ですが、ここに“音楽で子供を育てる”というロイ・サクマの真骨頂があるといえます。途中ダニー・カレイキニが元気に登場し、衰えることがない堂々たる美声を披露し、子供たちをリードします。

   

(ダニー・カレイキニ) (ロイ・サクマ夫妻)

 245からは一流プロが登場。先ずはオオタ・Jrジョン・ヤマサトともう一人。そこになんとジェイクも参加して豪華なカルテットで1曲。そこでジェイクは引っ込んで、後はトリオで演奏。

(右端にジェイク!)

   

(オオタJr)    (ジョン・ヤマサト)

 次にカレイ・ガミアオという若手の新顔登場。これが大変なテクニックの持ち主で、ジェイクの向こうを張ったようなスピーディ&ダイナミックな演奏で会場を沸かせる。

 タイマネ・ガードナー&コリア系のギターに白人のパーカションというトリオ。これもダイナミックな演奏にケレン味たっぷりのパーカッションが見事なアンサンブルで聞かせてくれます。タイマネは11歳からストリート・パフォーマンスを始め、その後、オオタJrゃジェイクを師と仰いで研鑽し、ダイナミックでスタイリッシュな独自の演奏スタイルを確立。アメリカ(父)とサモア(母)の混血からなるエキゾチックな美貌と相まって人気上昇中だそうです。

     

 そしてビート・レレ。専らビートルズナンバーを彼らなりに解釈アレンジして演奏するカルテットですが、以前“ワイルデストショ−”(=動物園野外ライブ)に出た時よりも格段にレベルアップした感じ。ビートルズメンバーも喜んでくれるのではないでしょうか。

 

 4時になると、お待ちかねのジェイク・シマブクロ。今日は曲を全力演奏。“ボヘミアン・ラプソディ”が印象的でした。

 トリは4年連続で、フラリー・パッド。京都から来た、ウクレレ=前田大輔、ギター=清水英之のデュオはこのフェスティバルに、もう外せない存在となりました。英語も少し上達し(?)、ステージにも余裕が出ています。今回は“My favorite things”の見事なアレンジが印象的でした。2005年コンビ結成ですから、もう15年にもなるのですね。

  

 いやぁ、今年も常連に、新たな才能も加わって、充実したフェスティバルを楽しませてもらいました。来年は50周年なんですね!

〜〜こうして、到着直後の”怒涛の週末”が終わりました。

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