128 NEXT-ネクスト-(5-1=4点)

(2007)

監督/りー・タマホリ、出演/ニコラス・ケイジ、ジュリアン・ムーア、ジェシカ・ビール、トーマス・クレッチマン

 2流マジシャンのクリスは、自分に関することだけ2分先が見通せるというマカ不思議な能力の持ち主。そんな彼の予知能力を嗅ぎつけたFBIが、核爆弾をアメリカに持ち込んだテロリストを探し出すために、彼を利用しようとするが・・・。

 2分先しか予知能力がないという設定がミソであるが、話が進むに従ってそれを大きく超えた設定になってしまい、しかもエンディングはとんでもないことになってしまう。出だしは快調であったが、これは全くいただけません。「夢」にするならどんなストーリーだって出来てしまうのですから!(でマイナス1点)

 

129 コロンビアーナ(5点)

(2011年)

製作&脚本/リュック・ベッソン、監督/オリヴィエ・メガトン、出演/ゾーイ・サルダナ(カトレア)、アマンドラ・ステンバーグ(子役)、ジョルディ・モリャ、レニー・ジェームズ

 両親を目の前で殺された少女カトレアは追手の追跡を掻い潜ってアメリカの叔父の許へと逃げる・・・そして10数年、凄腕の暗殺者に成長(?)したカトレアは両親を惨殺した組織へ復讐を果たそうとするが・・・。

 体脂肪ゼロといった感じのサルダナのキレッキレのアクションが全てといった作品。確かにアクションは素晴らしいが、如何せん色気がない。(その割に男に執着するところは、ちょっといただけない!)

カトレアの少女時代を演じたアマンドラがとても魅力的で、そのつぶらな瞳とともに、特にコロンビア(ボコダかな?)の町中での追跡劇はハラハラドキドキで出色の出来栄えでした。

 

130 アルティメット2 マッスル・ネバー・ダイ(6点)

(2009年)

製作&脚本/リュック・ベッソン、監督/パトリック・アレサンドラン、出演/シリル・ラファエリ、ダヴィッド・ベル、ダニエル・デュヴァル、フィリップ・トレトン

 ベッソンが痛快カーアクションをテーマにしたのが1997年の「タクシー」で、驚異的な身体能力を発揮する男たちを描いたのが2001年の「YAMAKASI」。それ以降、この超スピードカーアクションと、切れ味のいいアクションを合体させて、ハリウッドのお株を奪うド派手なアクション作品(=「トランスポーター」等)を次々とヒットさせていく。

 本作は2004年の「アルティメット」の続編 因みに原題は「BANLIEUE 13」で、それはパリ郊外の無法地区を指すわけだが、邦題はなにがなんだか訳が分からない。でもそんなことは考えず、頭をカラッポにして、理屈抜きにシリルとダヴィッドの超絶的なアクションを楽しめばいいので、まさにアルティメット(=究極)なアクション映画といえましょう。

 

131 ゲーム (6点)

(1997年)

監督/デヴィッド・フィンチャー、出演/マイケル・ダグラス、ショーン・ペン、デボラ・カーラ・アンガー、キャロル・ベーカー

 投資銀行家ニコラスは48歳の誕生日に弟からCRS社のゲームへの招待状を受け取り、興味本位で承諾すると、その直後から彼の周りに奇妙な出来事が起こり始め、次第に破滅へと追い詰められていく・・・。鬼才フィンチャーが観客に挑戦した、まさに映画ならではといった作品。

観るほうは、タイトルに「ゲーム」と謳ってある以上、ニコラスに起こる出来事は全てゲームなんだと割り切って観るわけであるが、いざ見始めると、フィンチャーの術中に嵌まって、緊迫のサスペンスを味わってラストまで行ってしまう。あとでよく考えるとつじつまの合わない突っ込みどころはイッパイあるわけであるが・・・。 

私がニコラスなら、最後に弟を抱き締めたりはしない、思いっきりぶん殴ってそれをエンディグシーンにして ほしい!

 それはともかく、こうした冷徹・非情なエリートビジネスマン役にはマイケル・ダグラスはピタリと収まる。

 

132 ワイルドスピード MEGAMAX (6点)

(2011年)

監督/ジャスティン・リン、出演/ヴィン・ディーゼル、ポール・ウオーカー、ジョーダナ・ブリュースター、

ドウェイン・ジョンソン、タイリース・ギブソン

 シリーズ第5作。いまや犯罪者として追われる身になったブライアンはドミニクとその妹ミアとリオの貧民屈で隠れ住む日々。ドミニクはそんな境遇から脱出するため、リオの裏社会のボスから1億ドルを強奪する無謀な賭けを計画し、世界中から仲間を集めて実行に乗り出す。一方ドミニク一味の逮捕に執念を燃やす捜査陣は超スゴ腕の捜査官ホブスをリオに送り込み、ドミニクたちと、黒幕とホブスの三つ巴の大乱闘が始まる・・・。

 いうことなしの大アクションやカーチェイスで、理屈抜きで楽しむだけです。

 

133 ワイルドスピード EURO MISSION7点)

 

(2013年)

監督/ジャスティン・リン、出演/ヴィン・

ヴィン・ディーゼル、ポール・ウオーカー、ドウェイン・ジョンソン、ミシェル・ロドリゲス、ジョーダナ・ブリュースター、タイリース・ギブソン、ルーク・エヴァンス

 前作(=メガマックス)で大金を手に入れ優雅な生活を送るドミニクの許に特別捜査官ホブスが訪れ、オーウェン・ショウ(=ルーク・エヴァンス)率いる国際犯罪組織退治の協力を依頼する。死んだはずの恋人レティがショー一味に加わっていると聞かされたドミニクは再び「家族」を集め、ショウ一味と対峙する・・・。

 これがシリーズの監督4本目(=3,4,5,6)となったリンの演出は,もう手慣れたもので、凄まじいカーチェイスシーンを披露してくれる。特に高速道路でタンクが乗用車をぶち壊して疾走するシーンは圧巻。

蛇足)

 例によってのハチャメチャストーリーの展開はまぁよしとして、納得いかないのは・・・ドミニクは前作でホブスの助手をしていたエレナ(=エルサ・パタキ)と一緒に優雅に暮らしているのだが、死んだと思った恋人のレティを救い出すと、さっさと元の関係に戻ってしまい、それを察したエレナが出て行こうとすると、「行かなくていいんだよ」とは、なんたる言い草だよ。しかもエレナが去ると、サッサとレティを膝の上に乗っけて乾杯なんだから・・・常々「家族は一番大事だ」というご立派な信条はどこに行ったんだ?!(これならエレナはそのままホブスの助手にしておけばよかったんですよ!⇒シナリオ書いたクルス・モーガンさんに一言!)

 

134 007/ダイ・アナザーデイ (5点)

(2003年)

監督/りー・タマホリ、出演/ピアース・ブロスナン、ハル・ベリー、トビー・スティーヴンス、ロザムンド・パイク、リック・ユーン、ジュディ・デンチ、マイケル・マドセン、マドンナ

 ボンドは北朝鮮の実力者ムーン大佐暗殺のため敵地に潜入するが、正体がばれて1年以上拘留された後、捕虜交換で解放される。・・・が、敵に情報を漏らしたと疑われ、Mから00ナンバーを剥奪されて幽閉の憂き目に。機転を利かせて脱出すると、真相究明に乗り出すが・・・。

 007シリーズ製作開始40周年にして20作目の記念作で、監督には「戦場のメリークリスマス」のタマホリを起用。新作当時に観たハズであるが、ハル・ベリーのボンドガールがちょっと無理スジであったこと以外は全く印象に残っておらず、自分の記憶力の弱さのおかげで、新鮮に観ることができました。

 ボンドがあの北朝鮮の牢獄に14カ月もブチ込まれ、拷問を重ねられたというのに、解放された時は体重も変わらず元気溌剌というのは??・・・ブロスナンさん、(役者根性あるなら)ちょっとはダイエットして“やつれた感じ”を出してよねぇ!

 全編CG満載の“ありえない”シーンの連続で、“おバカ”007のひとつの頂点かもしれません。特にラスト近くの追われるボンドが大氷壁から氷上ヨットのボディとパラシュートで滑降し、荒波の上をサーフインして

大波に乗って氷の大地へと戻る“大アクション”には唖然茫然で、またこのCGが一昔前の合成シーンみたいできわめて稚拙(波間とボンドが一体化していない)なのは噴飯もの。

(蛇足)

ハル・ベリーがカリブの海の波間から上がってくるシーンは第1作のウルスラ・アンドレスを意識したものと思われますが、やはりエロチシズムは雲泥の差でした。

 ジュディ・デンチの「M」はどうにも頼りないボスです。ボンドを信頼できず幽閉したり、部下を2重スパイに仕立てたつもりが裏切られたりと、これでMI6のトップが務まるのでしょうか?・・・果たして次作の「カジノロワイヤル」(2006)でも又、部下に裏切られ、「スカイホール」(2012)では元部下の復讐の的となり、MI6本部を爆破されて窮地に立ち、元部下追撃中に殉職して退場。

まぁ、これは脚本のせいであってデンチに責任はないのですが、私はこの「名優」の演じるMをどうも好きになれません。

 

135 砂漠の流れ者/ケーブル・ホーグのバラード (7点)

  

(1970年)

監督/サム・ペキンパー、出演/ジェイソン・ロバーズ、ステラ・スティーヴンス、デヴィッド・ワーナー、ストローザー・マーティン、L・Q・ジョーンズ、R・G・アームストロング

 砂漠で知り合いの悪党に身ぐるみ剥がされて彷徨い歩き、渇死寸前で水源を発見して九死に一生を得たホーグはその場所に駅馬車の休憩所を開いて(悪党への復讐心を抱きつつ)生活の基盤を築く。〜〜やがてイカサマ牧師や町で知り合った娼婦がやってきて・・・。

 ペキンパー監督といえば、バイオレンスとスローモーションが代名詞であるが、代表作「ワイルドバンチ」の次に作った本作はその“期待を裏切る”異色作。スローモーションどころかむしろ早送りでコミカルな味わいを醸し出す。

 しかしペキンパー自身は「この作品が一番好きだ」と言っているそうだから、十分に意識して製作したのであろう。全ての登場人物に彼の優しい目線が注がれており、それが作品の味わいとなっている。主人公ホーグ役のジェイソン・ロバーズの演技が秀逸で、娼婦役ステラ・スティーヴンスも魅力たっぷりです。

 

136 バンテージ・ポイント (6−1=5点)

(2008年)

監督/ピート・トラヴィス、出演/デニス・クエイド、フォレスト・ウィテカー、マシュー・フォックス、シガーニー・ウィーヴァー、ウイリアム・ハート

 サミットでサラマンガ(スペイン)を訪れた米大統領が広場で演説中に暗殺される!・・・これを何度も時間を巻き戻し、警護官・テロリスト・居合わせた観光客などの異なった視点から見直して、たたみかけるように真相を明らかにしていく手法はスピーディな展開で鮮やか。しかしエンディングは拍子抜けするほどあっけない。

 観終わって落ち着くと、疑問点がイッパイ湧いてくる。・・・襲撃犯は本物の大統領を捕獲したまま逃走を図るが、それならその目的が不明(暗殺が目的でなかったのか?)。元兵士とはいえ、たった一人の襲撃犯に練達の警護官たちが全員バタバタと倒されるとはいくらなんでも弱すぎないか?、最上位の警護官がテロリストの一味とは?。

そして何よりも、逃走犯と追う警護官が長々と激しいカーチェイスを繰り広げたのに、広場からはぐれた母を探して彷徨い出た少女(7,8歳くらいか!)がその前に立ちはだかるというのは(徒歩ですよ!)時間的・空間的に不可能ではないか!(まぁ、カーチェイスのシーンは迫力ありますが)〜〜というわけでシナリオの無理さ加減でマイナス1点。

(蛇足)冒頭でTV中継クルーのチーフとしてシガーニーがテキパキと動いていたので、重要な役割を果たすかと思っていたら、それっきりで、これは意外!(というか、シガーニーの俳優としての立ち位置はもう“リプリー”の頃のような華やかなポジションではなくなったんだなぁ・・・と実感)

 

137 トランスポーター (6-1点=5点)

  

(2002年)

製作&脚本リュック・ベッソン、監督/ルイ・レテリエ、コリー・ユン、出演/ジェイソン・ステイサム、スー・チー、マット・シュルツ、フランソワ・ベルレアン

元兵士で今は凄腕の運び屋フランク登場。依頼人が「3つの掟=条件」を呑んだらどんな運び屋の仕事も引き受けるフランクが登場早々自らの「掟」を破った為に危うく命を落ちしそうになり、とんでもない(?)陰謀とたった一人で闘う羽目になる。・・・

ベッソンが「タクシー」に続いてカーアクション物を製作。抜擢した当時35歳のステイサムのアクションが評判を呼んで大ヒット。この後シリーズ物へと発展し、ステイサムも一躍スターダムにのし上がった。

確かにステイサムのアクションは抜群の切れ味で文句なしであるが、ストーリーは、いくらベッソンだと言っても突っ込みどころがありすぎ。・・・何より承知出来ないのは==大金持ちが、言うことをきかない愛娘を送り届けるのに、なんで体を縛り、口封じをしてバッグに詰め込んで運び屋に運ばせなければならないのか!主人公と二人の遭遇が話のキモだけに、そのキモがあり得ない設定なのはいただけません。(それでマイナス1点)

 

138 トランスポーター イグニション (6点)

制作/リュック・ベッソン、監督/カミーユ・ドゥラマーレ、出演/エド・スクレイン、レイ・スティーヴンソン、ロアン・シャヴァノル

(2015年)

〜〜プロの運び屋フランクは謎の美女の依頼で、父親ともども巨大犯罪組織への対決へと引きずり込まれる・・・

リュック・ベッソンがジェイソン・ステイサムをアクション派のスターダムに押し上げた「トランスポーター」を4作目にして主人公をエド・スクレインに交代。エドは動きはシャープでスタイリッシュだが、線が細く、聊かオーラに乏しい。(ステイサムのギャラが上がり過ぎて、若手に交代させたのかな?!)親父役のレイ・スティーヴンソンのほうがずっと魅力的で、今後このシリーズが続くなら、不可欠のキャラクターか?

 ドゥラマーレの演出はなかなかシャープでアクション映画としては及第点。

 

139  ラストマン・スタンディング (5点)

(1996年)

制作&監督/ウオルター・ヒル、出演/ブルース・ウィリス、クリストファー・ウォーケン、ブルース・ダーン

〜〜イタリア系とアイルランド系のギャングが対立する砂塵舞う街ジェリコに凄腕の男がやってきて、双方の用心棒となっては互いをたきつけ、破滅へと導いていく・・・

 黒沢明の「用心棒」のもうひとつのリメイク。ハード・バイオレンス派のヒル監督らしい作品ではあるが、なんとも殺伐とした内容で、本家は勿論として、セルジオ・レオーネの「荒野の用心棒」にも遠く及びません。

 

140 レ・ミゼラブル (5+1点=6点)

(2012年)

監督/トム・フーパー、出演/ヒュー・ジャックマン(ジャン・バルジャン)、ラッセル・クロウ(ジャベール)、アン・ハサウェイ(ファンテーヌ)、アマンダ・セイフライト(コデット)、エディ・レッドメイン(マリウス)、ヘレナ・ボナム・カーター(マダム・テナルディエ)、サシャ・バロン・コーエン(テナルディエ)、サマンサ・パークス(エポニイエ)

 冒頭の囚人たちが船を曳くシーンのダイナミックな映像に“わし掴み”にされてしまいましたが、それ以降は暗くて薄汚いシーンの連続で、やたらクローズアップされる人物も皆薄汚れており、見ていて疲れました。

 原作(=ストーリー)は誰もが知っている・・・そして、舞台ミュージカルも大ヒットロングラン・・・といった作品をミュージカル映画化するからには、観客をアッと言わせる映像美や、歌、ダンスが必須でありますが、本作品にはそれがありません。

 頑張ってはいるのですが、俊才フーパー監督といえどもミュージカルはお門違いだったという感じは否めません。憎まれ役のテナルディエ夫婦のシーンが一番ミュージカルらしい雰囲気で、演ずる二人は流石です。

 

141 ヒッチコックのファミリー・プロット(7点)

(1976年)

制作&監督/アルフレッド・ヒッチコック、出演/カレン・ブラック、ブルース・ダーン、バーバラ・ハリス、ウイリアム・ディヴェイン

 小悪党=インチキ女霊媒師とその相方が大金持ち老婦人の甥探しを高額謝礼で依頼され、必死の捜索を開始するが、当の甥っこは大悪党で、悪事を追求されていると思い込んで逃れようとする・・・。

 ヒッチコックは1980年に亡くなっており、これが最後の作品。最盛期の作品を知らない私には、小品ながら、ヒッチコックの才気を感じさせてくれる、出来栄えの良い(コミカル・)ノワール・サスペンスだと思いました。エンディグも洒落ています。

 〜〜霊媒師を乗せた相方が暗闇の横断歩道で黒いロングコートの女性を轢きそうになり、寸でのところで避けて去ると、カメラは突然その女性へシフト〜女性は建物のドアを開けるといきなり銃を構えて誘拐の身代金要求〜〜といいうシーンが、ワンカットでその後の全てを暗示してなんとも秀逸。

(蛇足)

 よく練った脚本がいい!と思ったら、脚本はアーネスト・レーマンで、ヒッチコック作品では「北北西に進路を取れ」がありますが、その他に、「王様と私」、「ウエストサイドストーリー」、「サウンド・オブ・ミュージック」、「ハロー・ドーリー」といった傑作ミュージカルも手掛けています。

 

142 ミッドナイト・ガイズ(8点)

   

(2012年)

監督/フィッシャー・スティーヴンス、出演/アル・パチーノ、クリストファー・ウォーケン、アラン・アーキン、アディソン・ティムリン、ジュリアナ・マルグリーズ、ルーシー・パンチ

 仲間の罪を被り28年の刑期を終えて出所したヴァル(ヴァレンタイン)を出迎えたのは親友のドク。しかし組織のボスはドクに明朝10時までにヴァルを殺すように命じる。老人ホームに居たもう一人の仲間ハーシュを引っ張り出して一夜を楽しんだ後、ヴァルとドクは覚悟を決めて・・・。

 名優3人の(チョイワルどころか)大ワル親爺ぶりが、なんとも楽しい。特に、パチーノの「動」と饒舌、ウォーケンの「静」、そして二人の気の利いたセリフが素晴らしい。そしてそこに漂う哀感が切なくこちらの胸に迫る(・・・彼ら名優の全盛期を知り、いまや共に歳を重ねた私のような元映画青年には特に!)のであります。

 (蛇足) 登場する若い女性がみんな可愛くて老人に優しいのがいいデスネ!。特にドクの孫娘アレックス役のアディソン・ティムリが可愛い。

 

143 モネ・ゲーム GAMBIT (7点)

(2012)

監督/マイケル・ホフマン、脚本/コーエン兄弟、出演/コリン・ファース、キャメロン・ディアス、アラン・リックマン、トム・コートネイ

 メディア王の酷い仕打ちに怒ったお抱えの美術鑑定士が、仕返しにと、友人の元少佐と共に巨匠モネの贋作詐欺を計画するが、仲間に誘いこんだテキサスの元気娘に振り回されて予想外の展開に・・・。

 コリン・ファースがドジな鑑定士をコミカルに演じているものの、あまり笑えないのは監督の演出不足か?・・・しかし最後のどんでん返しは見事で、これはコーエン(兄)のシナリオのヒットでしょうy。

 キャメロンは、デビュー作の「マスク」では輝くばかりにチャーミングでしたが、その後老けるのが早すぎる感じ・・・でも本作ではテキサスの天衣無縫なカウガールを実に魅力的に演じています。

(蛇足)

@贋作の対象となるのはモネの「積みわら」。モネは多作の人ですが、ジベルニーの住まいの近くの畑の積藁風景をテーマに季節・天候・時間を変えて実に25点も描いています。それで1点ぐらいは世間に知られないの個人所蔵の作品があってもおかしくはない・・・というのがコーエン兄の脚本のヒントなのでしょう。

 私も1年前(2017年3月)にNYのメトロポリタン美術館で「積み藁」の1点を見ました。↓

                  

A本作は1966年ニヒットした「泥棒貴族」(ロナルド・ニーム/監督、出演/シャーリー・マクレーン、マイケル・ケーン、ハーバート・ロム)のリメイクとのこと。オリジナル版の主人公はナイトクラブの踊り子と泥棒で、盗む対象は「像」ですから、設定はかなり変えています。ただ仕掛ける相手の大富豪の名前は「シャバンダー」で同じ。本作ではアラン・リックマンが全裸もいとわずの大奮闘で存在感を発揮。ところで、アランは「ハリー・ポッター」シリーズのスネイプ先生役で大ブレークしましたが、2016年に惜しくも癌で亡くなりました。合掌。

 

144 スコア (6点)

(2001)

監督/フランク・オズ、出演/ロバート・デ・ニーロ、エドワード・ノートン、マーロン・ブランド、アンジェラ・バセット、ゲイリー・ファーマー

 「スコア」とは「泥棒」の隠語だそうで、本作はよくある「金庫破り」ストーリー・・・と言ってしまえばそれでお終いですが、デ・ニーロとノートンが文字通り4つに組んだ“取り合わせ”で、そこそこのサスペンスに仕上がっています。監視カメラや赤外線で防御を固めた税関ビル地下倉庫へさまざまな器具を駆使しての侵入(・・・背中に背負ったバッグのどこにあれだけの小道具が収納されていたのか?!)と金庫の破壊プロセスが丁寧に描かれて結構な緊迫感を醸し出しています。

 ラストの“落ち”が想定内で、此処がどんでん返しに次ぐどんでんがえしといった展開であればよかったんですが・・・。

主人公にとって“ハッピーエンド”になっていますが、自分だけ捜査対象になったノートンが捕まれば、共犯者をゲロするでしょうし、逃げおおせれば彼が執拗に主人公を追うでしょうから、決して恋人とハッピーな暮らしなどは出来ないのであって、そういう意味でもこのラストは中途半端なんですね。

まぁ、お子様向けの「マペット」ものやコメディが本職のオズ監督としてはクライムサスペンスという畑違いで、よく頑張ったといえましょう。 3大名優のぶつかり合いと謳いたいのでしょうが、もう一人のマーロン・ブランドはすっかり老いて、見ただけでは彼だと分かりませんし、演技の冴えもありません。これが遺作になったとは!・・・

(蛇足) 

 恋人役のアンジェラ・バセットは、デ・ニーロが“足を洗って、残りの人生全てを捧げる”というほどの魅力はありません。こうした“フィクション”は、脇もきっちりと納得のキャスティングをしないといけません。(俳優の人種のバランス上、黒人を起用しないといけないのなら、例えばビヨンセくらいの魅力的な人をネ!)

 

145 J・エドガー (8点)

   

(2011)

監督/クリント・イーストウッド、脚本/ダスティン・ランス・ブラック、出演/レオナルド・ディカプリオ(フーバー)、アーミー・ハマー(クライド・トルソン)、ナオミ・ワッツ(ヘレン・ギャンディ)、ジュディ・デンチ

 イーストウッド監督が、誰もが知るFBI長官=J・エドガー・フーバーの生涯を真正面から描き切った作品。本作でイーストウッドが狙ったのは=@自らの信じる愛国心と正義を貫いた傑物の生涯・・・A権力と自己顕示欲にとらわれた男の妄執・・・B男同志の信頼と友情と同性愛の遍歴・・・はた又〜〜

Aの線でフーバーを批判的に描きだすことはたやすいですが、イーストウッドは、時制をクロスさせながらスピーディな場面転換で繋いでいくことで、自己の主張を押し付けることなく、本作品の意図を観る者の解釈に任せたように思われます。

(蛇足)

 ディカプリオは、晩年のフーバーそっくりのメークも含め大熱演で、イーストウッド作品ということもあって「賞」狙いにいったのでしょうが、結果としてはあらゆる「賞」から無視されました。彼の演技の限界もあったかもしれませんが、「文化」の世界からは主人公フーバーは徹底的に否定され、嫌悪されていたということのせいかもしれません。そうした人物に、敢えて真っ向から挑んだイーストウッドはやっぱり“ただもの”ではありません。

 

146 マラヴィータ   (7点)  the Family

(2013)

製作総指揮/マーティン・スコセッシ、監督/リュック・ベッソン、出演/ロバート・デ・ニーロ、ミシェル・ファイファー、トミー・リー・ジョーンズ、ダイアナ・アグロン、ジミー・パルンボ

 ノルマンディーの片田舎に引っ越してきた曰くありげな一家・・・父親ブレイク(デ・ニーロ)は、敵対するマフィアのボスを売って、証人保護プログラムを受け、一家で逃亡中。「地域に溶け込んでおとなしく暮らせ」というFBI保護官(トミー・リー)の忠告をよそに一家は騒動の種をまき散らし、やがてひょんなことから彼らの居所を察知した獄中のボスは殺し屋を送り込む〜〜。

 快調ベッソンが、スコセッシ(と彼の傑作「グッドフェローズ」)をレスペクトして創ったコメディタッチのマフィア番外編。フランス人ベッソンが自国の食と文化に自虐的批判を入れているのも笑えます。(その一方で、勝手に余所へ闖入して騒動を巻き起こすアメリカを批判しているとも言える?!)

デ・ニーロとトミー・リーが楽しんで演技しています。娘役のダイアナ・アグロンが可愛い・・・といってもこの時点で27歳ですから驚き! 一方ファイファーは55歳にしては、ルックスはちょっと老け過ぎですが、でも何故かチャーミングなのは流石です。

(蛇足)

 マラヴィータは主人公一家の愛犬名で、原題(=Family)とはえらい違いですが、イタリア語ではマラヴィータに暴力行為という意味もあるらしいから、本作の場合は邦題のほうが原題より上か!

 

47 人生の特等席 (8-1=7点)  Trouble with  the Curve

(2012年)

製作/クリント・イーストウッド他、監督/ロバート・ロレンツ、出演/クリント・イーストウッド、エイミー・アダムス、ジョン・グッドマン、ロバート・パトリック、ジャスティン・ティンバーレイク

 妻に先立たれ、緑内障で目がかすんできた老スカウトマンと父を気つかう敏腕弁護士の娘の葛藤・・・。頑なにIT化を避け、経験が培った技術に拘る時代遅れの頑固おやじ〜〜というと、これはもうおなじみの設定ですが、それをイーストウッドが演じると、また格別の味わいがあります。対立する若手スカウトがいくらIT重視といっても全く現場を見ないで全てコンピューターのデータで判断するなんてことはありえない等シナリオの甘さが散見されるのでマイナス1点。

(蛇足)

原題は「カーブの問題」=カーブが打てない新人パワーヒッター・・・という意味ですが、パッと見にはなんのことだかわからない。邦題は“名意訳”で、原題より邦題が優れているという希有な例です。

 

48 ジャージー・ボーイズ(8点)

   

    (映画の4人組)        (”ほんもの”のフォー・シーズンズ)

(2014年)

製作/クリント・イーストウッド他、監督/クリント・イーストウッド、出演/ジョン・ロイド・ヤング(=フランキー・バリ)、エリック・バーゲン、マイケル・ロンメンダ、ヴィンセント・ピアッツア、クリストファー・ウォーケン、マイク・ドイル

 60〜70年代に活躍した4人組のグループ「フォー・シーズンズ」の成功への道程と蹉跌を描いた作品。

ブロードウエイのヒットミュージカルを音楽に造詣の深いイーストウッドが映画化しただけあって、まず音楽が素晴らしい・・・リードヴォーカルのフランキー・バリ役のヤング(=舞台か引き続いての主演)の独特のファルセットが秀逸で、4人のハーモニーも抜群。全盛期のフォー・シーズンズはかくや!といった感じで、彼らをスターダムに押し上げた「シェリー」などは本当に“本物そっくり”です。 

 音楽の間のストーリーはというと、いわゆるミュージカルタッチを離れて、4人組のエピソードを通常のドラマとして丁寧に描写しており、見応えがあります。ここではマフィアの親分・ウォーケンの枯れた演技やオカマのプロデューサー・ドイルの演技が光っており、流石イーストウッドの演出です。

 

149 イコライザー(6点)

(2014年)

監督/アントワーン・フークア、出演/デンゼル・ワシントン、マートン・ソーカス、クロエ・グレース・モレッツ、ビル・ブルマン

巨大ホームセンターで働く温厚で世話好きのおじさんだが、実は元CIAの超スゴ腕エージェント。夜のダイナーで知り合った少女売春婦を救ったことからロシア・マフィアと全面対決となる・・・。

 シリアスな作品から、近年アクションものへと移った感のあるワシントンが、たった一人で巨大なロシア・マフィアをせん滅してしまう。セガールやウィリスも真っ青という最強のタフガイぶりに唖然茫然で、あまりの強さに文句のつけようもありません。

 

150 コンテンダー (3点) the Runner

〈2015年〉

監督&脚本/オースティン・スターク、出演/ニコラス・ケイジ、サラ・ポールソン、コニー・ニールセン、ピーター・フォンダ、

 2010年に起きたBP社のメキシコ湾原油流出事件。沿岸被害者救済に立ちあがった下院議員プライスは一躍ヒーローとなり上院進出が見えてくるが・・・。ところがこの男、あろうことか被害漁民の妻と不倫を犯し、妻に追い出されると、次は選挙参謀のスタッフを口説いてベッド・イン・・・というどうしようもないゲス。

これではいくら正義派ぶっても選挙民は当然、本作の観客も愛想をつかしてしまうではないか!。 スタークはなんでこんなどうしようもない脚本を書いてメガフォンをとろうとしたか、そしてケイジは何故この役を演じようとしたのか?・・・不思議でならない作品です! ついでにRunner というタイトルも訳が分かりません。まぁ、画面内で主人公は時々走っているのですが、それがストーリーとなんの関係もないのです。邦題のコンテンダー(=勝利を争う競技者)のほうがまだしも合ってると言えましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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