3日目(11/15)マヨルカ島・・・パルマ・デ・マヨルカ

 

 9:00最初の寄港地、マヨルカ島(スペイン領)のパルマ・デ・マヨルカに入港です。マヨルカ島は一年で300日は晴れるということですが、今朝は雲が多い空模様です。

  

 

  温暖で風光明美なこの島は、「ショパンゆかりの島」としても有名です。1838〜39年の間、ショパンは結核療養の為、恋人のジョルジュ・サンドとともに島に渡りました。山間のバルデモーサ村で暮らし、「雨だれのプレリュード」を完成させたほか、数多くの作品の制作を始めたのです。(残念ながら今回この村を訪れる時間余裕はありません。)

 島の観光で有名なのが「ドラック洞窟=鍾乳洞}で、事前に旅行会社を通じて予約手配をしていたのですが、昨日ツアーデスクに行くと「予約は入ってません」との回答。じつは、予約申込み後にいろいろ調べると、冬季の場合、ツアーに参加するとその後の観光が時間的にキツイと判明し、逡巡していたところだったので、これ幸いと自分の足での歩きに切り替えました。

(幻の!ドラック洞窟)

 尚、クルーズプラネットでは5寄港地でのツアー55千円というのを用意してありますが、此処以外のツアー先は全て体験済みなので、「寄港地・自力観光」に決めました。幸いネットで経験者の情報が沢山あり、地図を用意すると、なんとかなりそうです(?)

 港から市街地まではシャトルバスが運航されます(往復で€11.95)。徒歩15分位なので歩いている人も結構いましたが、こちとらはなにせ「高齢者」なので、9:30にシャトルバスで出発です。幸い青空が広がってきました。

 バス停で降りると、目の前を観光馬車が通り過ぎていきます。

  

  そして、その行く手には・・・大聖堂とアルムダイナ王宮の「雄姿」が!

11月からの冬季の見物時間は・・・大聖堂(10001515)、王宮(1000131516001715)ということですが、先ずは大聖堂へ。(€7を払って本日一番乗りです!)

奥行き121m、幅55m、高さ44mという、この壮大なゴシック様式の「サンタマリア・オブ・パルマ大聖堂」は、マヨルカ王ハイメ2世(1267〜1327)の治世下に建設が始められ、スペイン黄金期のフェリペ2世の時代の1587年に完成しました。20世紀になって改修が行われ、天蓋などその一部をガウディが手掛けたことでも有名です。

       

  さぁ、中に入りましょう。先ずはきらびやかな銀製(?)の聖具など。

     

 そして、堂内へ。

   

(正面祭壇)

     

(ガウディの天蓋飾りとその上の天使たち)

  1903年にガウディは当時のパルマ大司教ペレ・カンピンスから聖堂内の修復を依頼され、聖歌隊席・祭壇などの配置変更、そして聖歌隊席の壁画や説教台、天蓋のデザインを担当しました。特にステンドグラスには力を注ぎ、それまでのものを一新したということです。

  

    

(後方) (華麗なステンドグラス=ガウディのデザイン?)

  祭壇の右手のサンティシマ礼拝室の壁面には一風変わったデザインのテラコッタが施されています。現代スペイン美術界の大物で、このマヨルカ島出身のミケル・バルセロの作品だそうです。題材はヨハネ福音書第6章1−15の“パンと魚の増殖の奇跡”・・・ガラリヤ湖の近くでイエスが大麦パン5個と2匹の小魚から5千人の男たちに食事を与えたという奇跡・・・に拠ったものらしい。

   

                              (左)   (正面中央)   (右)

 ↑壁面を拡大してみると↓、様々な海の生物たちが躍動する様が見てとれます。それにしても独特の造形と世界観ですね。この作品が完成したのは21世紀初頭前後だと思いますが、歴史ある聖堂にこのような大胆な改修を施すとは驚きです。日本でいえば、例えば、鎌倉の古刹の天井画に岡本太郎が思うがままに腕を振うようなものでしょうか?!・・・。

    

 因みにバルセロの代表的な作品が。ジュネーブの国連欧州本部ビルの天井画だそうで、此処の壁画と相通ずるものがあるような感じがしますね。

 

 

 堂内の左右には礼拝室がズラリと並んでおり、各室は聖書の場面や聖人像など、趣の異なった様相を呈しています。なかなか見応えのある大聖堂です。

      

                           (最後の晩餐の場面)

    

 最後に、パティオ(中庭)からの眺めです。

  

 

 さて次は、細い路地を抜けてとなりの「アルムダイナ王宮」へ向かいます。

  

 王宮は古代ローマの要塞跡地に、10世紀ごろアラブの要塞が建設されたもの。1229年アラゴン王ハイメ1世がマヨルカ島等バレアレス諸島からイスラム勢力を一掃し、アラゴン王国の“分家”としてマヨルカ王国を建て、次男のハイメ2世を国王とした結果、此処はマヨルカ王の居城となり、14世紀に大規模改築がなされた。(因みに、その後マヨルカ王国は宗主国のアラゴン王国と対立し、やがて宗主国に吸収されて滅亡。1469年にアラゴン王・フェルナンド2世とカスティーリャ女王イサベルの結婚により、事実上スペイン王国が誕生)

 そして、現在はスペイン王の夏の離宮として使用されているそうである。その前身からして「離宮」というよりは「城塞」といった感じが強いですね。

   

  此処も€7払って城内へと入ります。

    

(入口の天井の模様が印象的!)(両方の壁には歴代アラゴン王や王妃の肖像画)

         

サンチョ・ラミレス  アルフォンソ1世   アルフォンソ2世    ハイメ1世    ペドロ3世    この女性は?

((↑名前は、資料を見ての私の推定です)

           

(壁には沢山のタペストリーが)

    

(絵も結構ありますが、著名画家は皆無で、ちょっとがっかりです)

 

  テラスに出てみます。アーチ状の柱はアラビックな感じですね。隅っこの石段でお茶を飲もうとポットを出すと係員に咎められました。(ウインザー城では、ベンチでランチも出来たんですがねぇ・・・)

 

  遠くを見やると、コスタ号の姿も見えます。

    

  中庭が見えたので、階段を降りてみます。真ん中に小さな池があって、傍らにライオンの石像の噴水が据えられています。

  

  ↑真ん中の写真の池の向こうに礼拝室がありました。長椅子はモスグリーンの“ビロード”で、夏場には王族が礼拝しているのでしょうか?

  

(祭壇)    (後ろ)     (椅子席)

 再び中庭に出ると、向こうに階段があるので上がって見ます。階段の上に見える紋章はスペインともアラゴンともちょっと異なっているので、マヨルカ王国の紋章でしょうか?いや、やっぱりスペイン王国の紋章かな!

    

 更に進むと、此処にも立派な絨毯が掲げてあり、アーチ型の壁を持つ大広間もあり、先刻回ったエリアよりは宮殿らしい雰囲気がありました。

   

 〜〜こうして大聖堂と宮殿をじっくりと廻ると12時近くになりました。近くで軽くお昼でもと、王宮横の階段を下ります。傍らに面白い顔の水飲み場がありました。

 

 ネットで「Ombu」というタパスが美味しいとあったので、レイナ広場の観光案内所で尋ねると、「泉の向こうにあるよ」とのことなので、通りを渡ってその店を見つけましたが、情報と違って「タパスは1時からだよ!」との返事。1時間待つもの無駄なので、町中へ歩くことにします。

 少し進むとプラタナスが茂る大通りに出ました。落ち葉が歩道に舞っています。入口には2個のスフィンクス像があって、「Pas.des Born」と書いてあります。どうやら街のメインストリートのようです。

  

 雰囲気のある大通りを抜けると、カルロス1世広場に出ました。此処を右折して少し行くと「La Botana」というレストランがあるハズなんですが、見つからないので、更に通りを進むと、“名無し”の広場に出ました。誰かの銅像が立っていました。

 その先の通りの両側にはガウディの建築を彷彿させるような装飾性の高いビルが並んでいます。

  

 大通り=ジャウメ通りから右手の坂道を上がり、通りを進むと、建物の下がアーチになっており、そこを潜るとマジョール広場です。アフリカ系4人組が達者なライブをやっていました。

   

 広場に出たところでふと右手を見ると、バル=「ピンチョス」の店がありました。

 

 「此処で軽くランチにしよう!」ということで、カウンターのケースから好きなものを取っていただきます。ワイン&ビールにピッタリ! 時々ホットな料理が出来ると店員が{如何?」とテーブルを回ります。揚げたてのカラマリフライもいいですね。・・・ウマイ・ハヤイ・そしてヤスイ!(=全部で€15ほど)・・・偶然見つけた、大変いい「バル」でした。

    

 広場から300mほど先に市場があるというので、“市場好き”の二人はそこを目指します。市場の中に入ると、魚売場が多く、新鮮な魚が沢山並んでいます。驚いたのはその一角に「SUSHI YOKO」という“寿司や”があって、スペイン人(?)が器用に箸を使ってにぎり寿司を食べていました。(尤も店主夫婦は中国人か韓国人のようでしたが・・・)

      

 果物、野菜(特に椎茸に似たキノコ)、肉&ハムと豊富な食材が並んでいます。妻のお目当てはオリーブですが、残念ながら見つかりませんでした。・・・スペインなのにおかしいわね!・・・(妻の呟き)

  

 通りをそぞろ歩きしながら戻ります。目を惹く店が沢山あって面白いです。ショーウインドウに、生ハムをこれでもか!と挟んだ「パニーニ」を積み上げた店に入ると、生ハムがズラリ・・・さすがスペインですねぇ!。

    

  

 ホアン・カルロス広場に戻って、ここからバスでベルベル城へ行くつもりだったのですが、バス停で待っていると、地元の人(?)が「此処は止まらないわよ」と。どうも近くが工事中で素通りするようです。代わりのバス停があるハズですが、少し前後に歩いてみても見つかりません。

 妻が「どうせ、石の塊でしょう?、もう足が疲れたし、船に帰ってゆっくりしましょう」というので、ベルベル城は諦めて、「Pas.des Born」(=プラタナスの大通り)を抜けて「アルムダイナ城」下へ戻ると、常緑樹に囲まれた 噴水の広場がありました。オレンジ(?)がたわわに実っています。青空も広がった午後〜〜気持ちのいい空間なので、樹木のアーチの下でポットの紅茶を飲んで一休みします。

  

 前方に彫刻があります。一種の“ヴィーナス像”でしょうね。台座を見ると一番上に「JONICA」と彫ってあって、下に「CAVAFIS(18631933)」とあります。はて誰のことか?・・・(後で調べると)コンスタンディオス・カヴァフィスはギリシャの大詩人だそうで、とすると、台座に刻まれた数節は彼が此処を訪れた際に詠んだ詩の一部なのでしょうか? まぁ、街歩きしていると、いろんな“小発見”があるのが面白いところですね。

 

 こうして市内見物を終え、シャトルバスに乗って船に戻ったのが4時前。ベランダに出ると港〜町が一望できます。遠くの山の上にベルベル城の丸い塔が見えます。 港には沢山のヨットが浮かんでいます。

    

 時間があるので、11〜12階のデッキを散歩してみましょう。

      

(12階にはキッズの遊び場)        (11階のジャグジー)(埠頭には他のコスタ船)

    

(青空が広がりましたが、風が冷たいのでデッキには誰もいません)

  

(室内プールの傍でゲームをやっていたのでちょっと参加)

 

 散歩から部屋に戻り、シャワーを浴びてさっぱりすると、今日は余裕を持って、夕食=3階のアドゥラリアへ向かいます。中央のシースルーエレベーターを利用して、メインロビーへ。吹き抜けの壁面はブルーのガラス模様が鮮やかです。

  

さて今夜のコースは・・・

  

前菜=(ライスコロッケ)(カラスミ、タコのポテト&マージョリークリーム)

 次にプリモは二人して同じもの。メニューを見ると、「Tazza di fregola al sapore di zafferano e prezzomolo」=シーフード入りのサルディニア地方の伝統的なパスタ・・・とあります。

 新鮮な白身魚が乗っかり味はなかなかですが、驚いたのがその下に粒コーンがあると思ったら、なんとこれがモチモチとしたパスタなんです。いやぁ、いろんな姿かたちのパスタがあるもんですねぇ!

  

セカンド=ヒラメの薄衣揚げ)(デザート=チョコレートケーキ)

 今夜はシーフード中心の選択にしましたが、昨夜と違って美味しく、コスタの料理をちょっと見直しました。

 

 食後はシアターへ。今夜はテノール歌手のコンサート。さすがイタリアの歌手。歌唱力、表現力なかなか素晴らしかったです。

  

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