4日目(3月7日・土)
ヴェネツィア〜フィレンツェ
本日も快晴。今朝はメストレ発9:37⇒フィレンツェ着11:30のユーロスターで、フィレンツェへ移動です。駅はホテルの目の前にあるとはいえ、駅構内の状況が分からないので、少し早めに出発しましたが、そのタイミングがちょっとしたトラブルを招きました。
メストレは「ターミナル駅」ではなく、「通過駅」ですから、当該列車のプラットホームに出るには地下を潜らなければなりません。構内に入るとエレベーターがあったので“これは楽チン”と地下へ降りましたが、さて乗車のプラットホームに出るには階段しかありません。登り口にユニホーム(らしき上っ張り)を着た老人と体格のいい若者二人が立ってこちらを見て何やら言っているのでちょっとイヤな予感がして、目線を合わせないようにして反対側の階段へ。
我々には23KG(=飛行機の制限重量いっぱい)の大きなスーツケースが二つあり、先ず1個を引っ張って階段を上がる途中、くだんの若者が寄ってきてホームへと運び上げると、次にサッサと下に降りて妻の制止をものかわ、2個目を運び上げてしまいました。彼が柱を指差すと「赤帽代金は荷物1個につき€3・・・但し、下の方に「黄色いジャケットを着た公認の者」と書いてあります。彼は「2個運んだから€6寄越せ!」と言いたげです。
(「赤帽料金」の表示)
妻は「勝手に運んでおいてお金なんかノーよ!」と怖い顔で睨みつけます。私は“まぁ、運んだのは事実だから少しは・・・”と€2コインを出すと、彼は妻の睨みが効いたか、コインを掴んで走り去りました。
暫くしてホームに鉄道警官二人がやってきて辺りを見回していました。そして私が列車の到着ホームを中央案内板で再確認して帰ってくる(時々ホームが変更になることがあるというので)途中、先ほどの(2人組のうちの)老人が警官に引き立てられていました。(若者は逃げおおせたようです)・・・毎朝こうした偽赤帽とポリスのいたちごっこが展開されているのでしょうか?!・・・結果論ですが、もう少し遅く駅構内に入ったら偽赤帽との遭遇は無かったかもしれません。
欧米の駅は改札が無く、誰でもフリーパスですから、例えばスリの置き引きも多いようで、こんな「偽赤帽」もいるという次第です。・・・ということは・・・例えば東欧経由で入ってきたテロリストが旅客を装って列車内に爆発物などを置いて去れば〜〜というようなリスクもあるわけですね!
どうせなら、こちらに乗りたかったですが、私たちは「ユーロスター」です。車内はこんな↓感じ。モダンな椅子の座り心地もよくて、なかなか快適です。
移りゆく車外の景色を眺めているうちに・・・
ほぼ定刻でフィレンツェのサンタ・マリア・ノヴェッラ駅に到着しました。イタリアの列車は床がホームよりかなり高いので
大きなスーツケースをゴロゴロと引っ張ってホテルへ向かいます。フィレンツェの宿は「ボンチアーニ」。ネットのユーザー・コメントによると・・・“古くて狭くて寝るだけのホテルだが、立地は抜群・・・”とのこと。確かに駅前広場からドゥオーモに向かうメイン通りに入って直ぐ、駅から5分ほどの場所にありました。
フロントに行くと「12時にチェック・イン出来ます」というので、薄暗くてクラシックな雰囲気のロビーで一休みして部屋へ。
(ロビーとフロント。元貴族の館らしい雰囲気?)
2階のエレベーターすぐ横の部屋でした。中に入ると畳半畳ほどの踏み込みから2段の段差があって(!)その先がベッドルーム。
(妻)「まぁ、本当にくたびれた感じで、なんだかカビ臭い部屋ねぇ!!」
(夫)「うん、元は貴族の館をホテルにしたらしいから、まぁ“マナーハウス”に泊まったと思えばいいのかもよ」
(妻)「なるほどねぇ・・・マナーハウスでも、もと召使の部屋といったところかしら・・・」
尤も夜に分かったことですが、バスルームだけは改装したようで、熱い湯がふんだんに出て、バスタブからシャワーの水が漏れることもなく、この点だけはヴェネツィアの「プラザ」より良かったです。
荷物を置くと外へ出ます。まずは腹ごしらえ・・・夫婦お気に入りの「中央市場」の2階が昨年4月から(ということは我々が帰った1ヶ月後に)フードコートに改装されたというので行ってみます。
〜〜土曜日の昼過ぎとあって、ごった返しています。お昼は“軽く”ということで、ピザ店でピッツァ・マルガリータ(€8)。焼きたてアツアツで美味しい。厨房を見ると、日本 人青年がせっせと働いていました。(↓中央写真の右の後ろ向き姿)。驚いたことにジェラートの店へ行くと、中の若い女性がこれまた日本人!・・・結構日本の若者が働いているんですねぇ。
腹ごしらえが出来たので、去年の美術館巡りの折に、団体からドロップしてピサに出掛けたので行けなかった「アカデミア美術館」へ向かいます。外では30人位が列を作っており、20分ほど待って入場(€8×2)。此処もノーフラッシュ撮影OKになっていました。
入ってすぐの壁にルネッサンス期の絵画が少し展示してあり、私が名前を知ってる画家の絵が4点ほどありました。
(ボッティチェリ) (ボッティチェリ) (パオロ・ウッチェロ) (フィリピーノ・リッピ)
絵画はその他にも大作や、そして2〜3階にはビザンチンやゴシック様式の典型的な宗教画が沢山ありました。↓はその一例でロレンツォ・モナコ(1370頃〜1425)の作品。
やはり此処は彫刻・・・そう、ミケランジェロですね!・・・まずは未完成の彫刻群。“未完成”とはいえ、やはり大変な迫力があります。(但し、6番目の「パストリーナのピエタ」の作者については諸説あるようです)
そして、正面奥の人だかりの向こうには・・・「ダビデ像」です。周りの人間と対比してそ巨大さがわかります。
まさに完璧な彫刻です。見事というほかありません。(2003年に丁寧な清掃=修復が行われたということで、1504年の完成時に近い、輝くような艶やかな裸像を目の当たりにできるわけです)
ひとしきり写真を撮り、それから館内を回った後に又戻ってきて、像の近くの椅子に腰掛けて夫婦して暫くの間じっと像を見つめていたのでありました。
(全くの余談ですが、私的には、この顔はダルビッシュを連想させるのですが・・・)
奥には「1880年代の部屋」というのがあって、石膏の彫刻がいっぱい並んでいました。大きな大理石の像を作る前のモデルということです。大半がロレンツォ・バルトロリーニ(1777〜1850)という彫刻家の作品(↓右の2枚)。なかなかの力量のようですが、さてこの人のことはよく分かりません。
念願のダビデ像を堪能して満ち足りた気分で外に出ると、グエルファ通りを左折してナツィオナーレ通りへ。目的は、これもアーモイタリアで紹介されていた、「カントゥッチ」の店「ダ・ミリアーナ」です。カントゥッチはトスカーナ地方で中世から続く伝統菓子で、本来は歯の折れるほど硬いアーモンド風味のビスケットですが、この店の品は中にドライフルーツなどが入って適度の柔らかさで美味しいとのこと。見過ごしてしまいそうな小さな店ですが、中に入ると元気なおば(あ)さん・マリアさんがいて、どんどん試食を勧めてくれます。イチジクやアプリコットなど6種類全部をカリカリ・・・素朴な形と味ですが、う〜ん、どれも美味しい!自分用の土産には最適です。
帰りがけ、通りで面白い造作を見つけました。ルネッサンス時代からある「水飲み場」でしょうか!
部屋に戻って一休みすると、夕食へ。 途中、サンタ・マリア・ノヴェッラ教会の前を通ると、普段は閉まっている正面の扉が開いており、人々が三々五々と入っていくので、我々もその後にくっついて堂内へ・・・。どうやらミサがあるようで、広間(?)から祭壇への途中にロープが張られ、部外者はそこでストップ。折角なので、少し堂内を拝観して退散です。
で、夕食は教会を過ぎて、パラッツォーロ通りにある(これもアーモイタリアで紹介されていた)「トラットリア・ダ・ジョルジョ」。フィレンツェ=トスカーナ料理は肉が中心ですが、注文したのは↓のとおり・・・我々はやはりトシなので、アッサリ系が好みでシーフード主体になります。どれも先ず先ずのお味で、良いトラットリアでした。(しかも値段は€28と格安!)
因みにメニュー(英語)を見ると、まず注文したカプレーゼとカルパッチョは“セコンド”(2皿目)に載っています。それで、ウエイターは「プリモ(ひと皿目)を!」と催促です。私は「日本ではこの2つはアンティパストだから最初にこちらを出してもらいたい。その後でスパゲティを・・・」と(勿論イタリア語はダメなので、英語で)頼むと、彼は苦笑いしながら承知してくれました。
(モッツァレラ&トマトのカプレーゼ) (スモークサーモンのカルパッチョ) (シーフード・スパゲティ)
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