4日目・12月6日(日)
今日は快晴。妻が「どう?、やっぱり私は晴れ女でしょう!」とニッコリ。確かにこの時期南部の台南・高雄と違って北部・東部はあまり天気は良くないのです。晴れると気温が上がって迩中は25度を越すでしょうとの予報。
今朝はゆっくりと朝食をとって、台北市内でまだ行っていないところへ。先ずは西門から2駅の台湾植物園へ(無料です)。
門を入ると裸子植物エリアで、鬱蒼とした南洋杉の林があり、中を廻ると、ちょっとした森林浴の気分。正面道路には椰子の並木が見事です。池もあります。都会のド真ん中とは思えない雰囲気です。広場で休んでいると、髭面のおじさんから「日本人ですか?」声をかけられました。
「この公園は立派でしょう!日本がこしらえたのです。東南アジアでこんな風に声をかけられたら、だいたい怪しい人物です。でも台湾は違います。私らは日本の立派な教育を受けて育ったからですよ!でも、今の若い連中は違います。教育が違うからです・・・」このおじさん(=元祖・台湾人)ともう少し話をしたかったが、後の予定もあるので、ここでお別れしました。
広い池の向こうに中華王朝風の立派な建物が見えます。ガイドブックをチェックすると、国立博物館。せっかくですから入ってみることにします。(入場料30元と格安)。4階では台湾の画家(巨匠らしい)の個展。3階には石器時代の彩色土器とか青銅器、そして唐代の唐三彩などがズラリと並べてあって、故宮より規模は劣るものの、展示品はなかなか見応えがありました。観客も少なく、落ち着いて鑑賞することが出来ます。(残念ながら撮影は禁止)
(池の向こうに建物が) (池にはこんな鳥がいました) (博物館正面)
昼時になったので、ここからタクシーで鼎泰豊へ。折悪しく1時過ぎとあって、店の前は大勢の人だかり。1時間待ちだというので、予約を済ませると、しばし永康街を散策。かってどのガイドブックにも登場していた此処の通りの名物店・永康刀削麺が店仕舞いしており、時の流れを感じます。
時間前に戻って、4階の席へ。お目当ての小籠包(2籠)と蝦&豚ワンタン麺。小籠包はもちろんですが、ワンタン麺も海老がプリプリで美味しかったです。
お腹を満たしたあとは、テクテク歩いて中正紀念堂へ。此処も来台時は毎回訪れます。何も蒋介石に義理立ては無いのですが、とにかくデカイ建物と広大な広場を眺めていると、気宇壮大になる(?)のです。タイミングよく、衛兵の交代式も見ることができました。
ホテルへ戻り、歩き疲れた足を癒そうと、ホテルで割引券をもらって近くの足マッサージ店・大満足へ。私はおじさん、妻はおばさんが担当。毎回そうですが、妻はいくら強く揉まれても「あぁ、気持ちいいわぁ!」 ところが、私はどこを押されても「イタタタッ!」。 毎度「あなた、胃腸が悪いヨ」と指摘されます。人間ドックでは何の指摘もないのですが・・・
足が軽くなったあとは夕食へ。妻のリクエストで、極品軒へ。(極貧軒ではありません!) 前菜2品(湯葉、クラゲの和え物)、アスパラ・百合根・銀杏の炒めもの、そしてお目当てのトンポーロー(豚のトロトロ角煮)をオーダー。
いきなり、名物のトンポーローがで〜んと登場。大きな塊をハサミでジョギジョギと切り分けもらい、蒸し饅頭に挟んで口元へ・・・舌にとろけるとはまさにこのことで、堪らない美味しさ!他所の角煮とは全く次元が違います。
料理の出る順序が全く逆になったのはちょいといただけませんが、炒め物も前菜も上品な味わいで、しかもボリューム満点。いくら美味しくてもこの量では流石に食べきれず、肉と炒め物は一部お持ち帰り。
(サービスのお汁粉)
5日目・12月7日(月)
今日から台北を離れて、2泊3日の旅に出かけます。台北発12時の自強号で花蓮へ。特急電車なのに、耐用期限切れ寸前といった老朽車両。(台鐵さん、もうちょっと気張ってくださいな!)。昨夜のお持ち帰り品が本日の車内昼食。トンポーロー&蒸し饅頭も、百合根とアスパラの炒め物も、冷めても美味しく、ちょっと贅沢なランチになりました(?)。 デザートは出発前に微風広場で買ってきた「総合豆花」で、言うことなしです。
瑞芳を過ぎた辺りで雨が降ってきましたが、しばらく走るうちに止みました。列車は緑豊かな山あいを縫い、多くのトンネルを潜って東海岸へと進みます。
(頭城辺りから見える亀山島)
明日のタロコツアーの代金(一人700元)の支払いを済ませて、部屋に入ると丸窓が中華風です。設備は古いですが、室内は広く、ツインのベッドもセミダブルで、寝相の悪い人(誰だ?)でも安眠できるのは有難い。
4時近くなので、日没前に風景を見ておこうと、慌しく北濱公園に向かいます。ホテルでもらった地図が不確かなのでウロウロしていると、通りがかった2人連れのおばさんが親切に案内してくれました。晴れていれば南の海特有のグラデーションが見えて綺麗なのでしょうが、残念です。せめてもの記念にと浜辺に下りて五色石を拾いました。
ホテルへ戻ると、次は食事。ガイドブックに載っている唯一のレストラン(というより食堂か!)が行列の出来るという、ワンタンの名店・液香扁食。「歩いて15分くらいですよ」ということで、フロントで書き込んでもらった地図を頼りに、花蓮のメインストリート・ウオッチングを兼ねながら進みます。途中店先のおばさんに道を尋ねたのがかえって災いし、少し遠回りして、やっとこさ、大通りからちょっと入ったところに店を見つけました。
行列はありませんが、夕食時とあって大勢の人が入っています。70年の老舗、まさにこの道一筋で、メニューはワンタン一品のみ!レジでお金を払い、丸テーブルに座って待つこと5分。カップ麺サイズのプラスティック椀に大振りのワンタンが10個、揚げニンニクの刻んだものを浮かべた薄味のスープの中にぎっしりと。
豚肉のミンチを包んだだけなのですが、これが美味しいのです。値段も60元とリーゾナブルで、人気のわけが分かりました。地元客は土産として箱詰め(=冷凍品)も買って帰るようです。
手前ではおばさんが、黙々とワンタン作りに精を出してます。左手のひらに置いた皮にスプーンですくったミンチを乗せ、左手をひょいとつまむとワンタンの出来上がり。ものの3秒の早業・職人芸です。
帰りは迷うことなくホテルへ一直線。通りには金細工の店と芋餡饅頭を中心としたスイーツの店が目立ちました。(芋饅頭はイマイチだったので、ヌガー専門店でヌガー・アラカルトを買いましたが、結構美味しかったです。)
(夜の花蓮の通り)
かなり歩いたので、1杯のワンタンでは胃袋が納得しません。途中美味しそうな食堂が無かったので、結局ホテルの飲茶レストランへ。チーフをはじめ4人のウエイトレスが寄ってきますが、全員要領が悪く、僅かの品の注文確認にくたびれました。以下の3品と卵&コーンクリームスープ。炒飯は及第点ですが、あとはだめでした。
(ハマグリのシュウマイ) (海老水晶餃子) (炒飯)
6日目・12月8日(火)
有難いことに今日も好天気のようです。本日は今回の旅行のハイライト、太魯閤ツアーです。7:40迎えなので、6:30にはモーニング・ブッフェへ。会場レストランは広く、ずらりと料理が並んでいるように見えますが、実際のところは、種類は少なく、味もイマイチ。昨日までの、こじんまりとした富園ホテルのほうが上です。
ロビーで待っていると、名前を呼ぶ声が聞こえます。小太りの台湾版クイーン・ラティファ(=映画「TAXY NY」のイエローキャブのドライバー役・・・)といった感じのおねえさん(名前は梁 秀蘭・・・ポーラさん)が、ガイド兼ドライバー。「今日は3人ですよ」(=ということは、あと一人!)ということで、バンに乗り込むと、待っていたのはなんと、タイ人=KITTIKARN氏。
なんでもタイのケミカル会社の技術者で、台北で会議のあと、台湾は初めてなので、休暇をとって旅行しているんだとかで英語は流暢。かくてポーラは日本語と英語の二重ガイドで大忙し。通信大学で勉学に励み、数ヶ国語を操るというから、たいしたもんです。
青空の下、車は山あいに分け入って、いよいよタロコツアーのはじまり。
(入り口の門) (清流です) (岩山を穿った原住民部落への道)
渓流にそって進むと、圧巻の光景の連続です!
(大理石の岩肌) (滝もあります) (難工事の犠牲者を奉る社)
更に進んで、緑水というところは、名前の通り名水の湧き出るところだそうで、ここの休憩所で一休み。その名水で入れたコーヒーを頂戴します(一杯150元と、ちょっとお高め)。テーブルで談笑していると、ひょこひょこと老カップルがやってきました。
爺さんの話すところによると「私はオーストリア人。82歳になるよ。50歳すぎでリタイアして、それから30年間旅を続け、世界中のあらゆる処を回ってきたよ。ニカラグアで事故にあい、片足が不自由だけどネ」と。我々は安直なツアーに頼っているが、はてさてこの老夫婦はどうやって此処まで来て、この後どうやって宿に帰り着くのか?いや、こんな「旅の達人」のことを、私ら「旅のヒヨッコ」が心配するのは余計なお世話というもので、暫し談笑してお別れ。妻の言では「あなた、ハワイにいるより英会話が出来たわね!」
で、我々はツアーの終点、天祥へ向かいます。つり橋の向こうの山の上に7重の塔が見えます。ポーラは「ここが終点だから、あすこまで行ってきてもいいわよ。30分くらい待ってるわ」
もちろん行かない手はありません。橋を渡り、急な坂を登り(ここらで妻は待機)、塔の最上階まで登りました。降りると道を変えて、お寺(祥徳寺)の本堂前へ。KIT氏もやってきて盛んに写真を撮っていました。
此処には天祥晶華酒店という5つ星ホテルがあるのですが、5つ星にしてはあまりに小規模で目立たないということで、ただ今全面改装中だとか。KIT氏は天祥で1泊して明日は徒歩で渓谷美を堪能するんだとかで、はて、ホテルは休業中だし、どこで泊まるのかと訝っていると、近くにカトリックの教会があり、そこに泊めてもらえるんだとか!(業務出張の折なのに、よくそんな情報を仕入れてるなと、感心!)
で、ここでKIT氏と別れ、夫婦は花蓮へと戻ります。このツアーは昼食付きということですが、何処で摂るのかな?と思っていると、なんと連れて行かれたのはツアー会社の「アジト」。入り口は石類の販売店で、「又、お会いしましたネ!」と朝方途中下車した従業員のおばさんに迎えられます。(なんだか、出来レースみたいな感じ!)
奥に広いスペースがあり、ここが食堂のようです。2,3組のご一行(日本人に非ず)が食事を終えようとしています。席に着くとサッサと5品ほどが提供されます。粗食に慣れてる(?)私はパクパクと箸をすすめますが、妻は「食べるものがないわ!」と浮かぬ顔。(以下のように並べると、一見そこそこにも見えますが・・・)
食事が終わると、必然的に石のコーナーへ。例のおばさんが待ち構えていて、名石の数々をご案内。
目の前に赤みを帯びた丸い石があります。(おばさん)「ちょっと、この上に手をかざしてみて。どう感じます?」 (私)「なんだか冷たい風が当たるような・・・」 (妻)「あら、私は、暖かいわ!」〜〜ということで、信じやすい&騙されやすい私は胃痛、頭痛、不眠症、肩こり・・・万病に効くというこの“摩訶不思議石”のリングを妻の為に奮発してしまいました。(1個4000円也)
買い物が終わった頃にポーラが登場。彼女は買い物を関知せずといった風情で、見事な連携プレーかもしれません。
次は海の景色ということで、海岸へ向かいますが、どういうわけか、急に雲が広がって昨日とあまり変わり映えしない景色です。(ポーラ) 「晴れてると海の色が変化して綺麗なんだけど、残念だわ」。山のほうも雲が湧いてます。花蓮地区はこの時期午後になると雲が多いようです。(太魯閤にいる間、晴天で本当によかった!)
(山にも厚い雲が)
此処で長居をしても仕方が無いので、予定を切り上げて駅へと送ってもらいます。この後、礁溪(ジャオシー)という温泉町で1泊する予定です。明るいうちに宿に入りたいため、先を急いだ次第です。それで2:55の急行に乗ることが出来ました。
16:40に礁溪に到着。駅からタクシー3分で今夜の宿、礁溪川湯春天温泉飯店へ。(台北のタクシー基本料金は70元ですが、此処はなんと120元もします。あまり近かったので、ドライバーは“100元でいいよ!”と20元返してくれました。)
(駅) (駅前通り) (周辺の様子)
此処は、日帰りスパも楽しめる所として、地区一番の規模を誇る人気のホテルだそうですが、さてその部屋はというと、広くて一見豪華ですが、全体に濃いこげ茶色と黒で統一されて、なんとなく趣味が悪い感じです。
窓側の洗面コーナーには、右手に円形の大きな浴槽(但し内側に張ってあるタイルは薄汚れています)、左手には立派なシャワーブースがありますが、どちらも“なまぬるい”湯しか出てきません。(温泉ホテルとしてこれでいいのでしょうか?)
で、フロントで貰った2日間有効の入場券を手に、早速このホテルの売り物=800坪の敷地の“スパリゾート”へ行ってみることにします。尤もどうやって入場すればいいのやら要領が分からず、受付で一人英語の分かる女性に詳細を尋ねて・・・部屋で水着に着替え、その上に浴衣を羽織って(=ということは、館内を浴衣とスリッパで歩いてもいいのです!)タオル等を持って入場。携帯品は貸しロッカー(30元)へどうぞ!・・・
で、この広大なスパ・エリアに入ってみると、これはスゴイ!内部は撮影禁止なので、ホテルのパンフレット等からその一部をご案内すると・・・
まぁ、考えられる全ての種類のお風呂がそろっているといっても過言ではありません。(風呂好きの古代ローマ人なら大喜び間違いなしです!)麻雀卓を浮かべた浴槽があって、笑ってしまいますが、温度15度の超冷泉ですから、余程の豪傑でもこの中でのプレーは無理でしょう。
金魚のような小魚に足の角質を食べさせる浴槽もあり、妻が痛痒いのを堪えている隣に私の足を差し入れると、私の足へワッと群がってきて、いや痛いの痒いの〜〜!(間 寛平の心境です?)。
黒御影石の岩盤浴や薬草の香りのミストサウナも気に入りましたが、なんといっても各種のジェットスパが、強力なジェット噴流で体の各箇所をマッサージ出来て、特に気に入りました。
(注意:入浴にはスイミングキャップ着用が必須で、写真のように長い髪の若い女性は全くいません。実際は、おばさん天国です!)
ま、夫婦して様々なスパを楽しんでいると、アッという間に2時間あまりが経過していました。お腹も空いてきたので、ホテルの外へ出て、夜の温泉街をぶらぶらと歩いて探索。海に近いので、魚介類を並べた屋台店が目立ちますが、衛生面で警戒心の強い妻は拒否権発動。
で、結局ホテルの近くの、客の入りがよい「鍋バイキング」の店へ。結果的にはこの選択は大正解。小ぶりのひとり毎の鍋で、ベースのスープはアッサリ味というのが先ずよろしい!。
鍋の具材はズラリと並んでいますが、今夜はハマグリ・殻付きカキ・海老を中心にします。「礁溪温泉野菜」というコーナーがあって、白ネギ・青菜類・ミニ白菜・茸類等が新鮮で、シャキシャキと歯ごたえもよく、甘みがあって大変美味しい。(食べすぎに注意しながら!?)、私はこの温泉野菜を何度もお代りしました。
(アイスクリームはハーゲンダッツではありませんでしたが、)上質の素材をたっぷりと楽しんで、二人で480元(1400円)と、これはもう、“鍋はジャオシーに限る!”といったところです。
(夜の温泉街と、泊まったホテルのネオンサイン)
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