第二部 =夫婦の珍道中

8月10日(金)

 仕事を済ませてアタフタと成田へ。ちょうど1年前は、英国での爆破テロ摘発を受けての緊急対策強化で空港は大混雑であった。しかし今回は「お盆シーズン」の初日というのに空港は至って静かなもの。 

 NWのカウンターも整然と手続きが行われている。で、余裕のチェックインとなったので、VISAラウンジで一休み。此処も客は私一人。暫し週刊誌を読んだりしながら時間を費やす。それでも搭乗口へ行くと、どこから湧いて出たか(?)大勢の人だかりとなっている。やっぱりこの時期、沢山の人がハワイへ出掛けるんだ!・・・。

機内に入ると、36D席には大きな図体のアメリカ青年がでんと座っている。「My seat!」と言うと素直に隣へ移動した。しかし隣がこんな巨体だと窮屈極まりないのですが、こればかりは文句を言ってもはじまらない。そうこうするうちにNW22便は定刻で出発。

NWは、アルコールは有料。500円出して赤ワインを貰う。酒に弱い(!)私の場合、睡眠薬として有効だ。食事は「親子丼」よりも「牛肉&ブロッコリー炒め」を選択。サイドメニューも含め、味付けは案外悪くない。

往きの場合は、とにかく如何に睡眠を確保するかがポイントである。ホロ酔い加減で食事を済ますと、サッサと瞼を閉じる。疲れのせいもあってか、程なく眠りに落ち、2〜3時間の熟睡はとれたようだ。

〜〜揺れもなく順調な飛行でホノルル到着。外へ出ると、いつものようにあの甘い香りが漂ってきてハワイ気分が高まる。やや雲が多いが、まずまずの天気〜〜と此処まではすべて順調であったが、入管で並んだ列が悪かったか、通過までに1時間弱かかってしまった。シャトルバス($9)に乗り込みイリカイに入ったのが11時近く。

2回目なので要領は分かっている。管理会社のオフィスでキーを受け取ると今回の部屋533号室へ。ヨットハーバーから海へと繋がるイリカイ特有のオーシャンビューの眺望は悪くないが、例によってエアコンは古いし、家具などの老朽化が目立つ。ベッドもシングル×2(923号室はひとつがクイーンサイズ)・・・と、前回の923に較べると些かショボイ感じは否めない。まぁ、1泊4千円だから、このオーシャンビューだけでも満足しなくては・・・。

   

スーツケースを放り出すと、急いで女房を迎えにアンバサダーへと向う。“デ・ジャ・ヴ”というか、つまり昨年と同じ構図である。

「遅かったわねぇ・・・」との言葉とともに1週間ぶりのご対面。1週間の一人暮らしは女房にとって初体験であったが、場所が勝手知ったる(?)ワイキキなので、自宅でいる以上に元気そうで何より。タクシーに「近場ですいませんねえ」と言いながら、$8払ってイリカイへ戻る。

再び部屋に荷物を置くと丁度12時。

「昼飯だなあ」 「やっぱりレジェンドだわね」・・・これも“デジャヴ”で、これから到着日の昼食はチャイナタウンのレジェンドの飲茶ということになりそうである。

平日とあってかそれ程混んでなく、到着するとすぐに席に案内される。例によって、プリプリの海老餃子、ポークリブの蒸し物、海老の湯葉包揚げ、韮饅頭、ちまき〜〜と(牛・鶏を避けるとどうしても海老主体となる・・・)次々と蒸篭を空にしていくが、どれをとっても実に美味しい。 

ハワイへ来て飲茶というのも変な話であるが、ワゴンサービスの飲茶は台湾でもそれ程無く、しかも値段もハワイのほうが台湾より大衆的なのだから、中華好きとしては、これはもう来るっきゃない!のである。

食事のあと、周辺を少し散歩。マウナケアマーケットを出て小川を渡ると、なんと立派な鳥居があってその向こうにお社があるではないか!大きなしめ縄もある。・・・「布哇出雲大社」なのだ!

二人とも近過去に出雲のご本社(!)に参拝を果たしている。信心深い(?)夫婦は感激して、二人して深く頭を垂れて拍手をうったのであります。

     

            (レジェンドの飲茶)    (出雲大社です!)

妻は「マナプアが食べたい!」と、チャイニーズ・カルチャープラザ近くのロイヤルキッチンを探し当て、「ポーク・ココナツ・餡」の3種類を購入。(→ここの焼きマナプアは、いわゆる「肉まん」というよりは、ふわ〜っとしたパンの感じに近い。3種類の中ではココナツ餡が風変わりで美味しい。ポークは甘い味付けの刻み焼き豚で、日本のブタ饅を想像していると、期待ハズレ!・・・でありました。)〜〜その後、市場を流し見て、今回はバナナだけ買って(他の果物等は明日の朝市で!)イリカイへ戻る。

   

昨年は女房の同伴者の月間バスパスを引き継いだが、今回はそれが無い。「モーハワイ」の「ひよこPEX」=R&Cツアーズで航空券を購入すると「ワイキキトロリー10日間乗り放題」という特典がつくので、そのチケットを貰いにDFSガレリア4階の事務所へ向う。

真っ昼間とあってDFS内は閑散としている。ワイキキ名所であった大通り壁面の水族館も無くなり、無料タクシーサービスも中止(というよりも廃止が実態であろう)となり、何となくこのビジネスもピークアウトしたた感じがする。

そういえば、カード決済の場合、黙っているとドル決済でなく、勝手に円決済されてしまうそうで(当然顧客にとって不利なレート適用!)、こんなセコイことして客の印象を悪くするのは、こうしたイメージ第一のビジネスとしてはマズイと思うのだが、経営者が“貧すれば鈍す”方向に向っているのかなあ。

免税品商売も、最近は成田のショップのほうが張り切っており、最新の品揃えと柔軟な価格を提供し、出発時に買い揃えてしまう客が増えているのだとか・・・。

〜〜話が横道にそれてしまったが、ともかくトロリーのチケットを貰って部屋に戻る。その後ABCストアで水・ソーダ水・グァバネクター・牛乳を買い揃えて冷蔵庫に放り込むと生活基盤の確立である。

時刻はいつの間にか5時を廻っている。先週滞在した女房の体験だと、6時からのフラショーは金曜日1回だけになったらしい。(昨年は木・金・土の週3回だったのに!)「じゃあ、プールからショーに直行するから、食事の支度が終わったらショーの場所においで。食事はヒルトンの花火を見てからでいいよ」と言い残して、プールへ直行。

此処のプールも片方が2m50ほどの急な深さになっている。中央広場のメインプールがもう一棟の売却のセットで他社に移ってしまい現在閉鎖中なので、こちらが結構混んでおり、水も些か濁っているが、リフレッシュのためと周りの人に注意しながらクロールを繰り返す。

程なくしてハワイアンのメロディが聞こえてきたので、切り上げて中央広場へと向う。ウクレレ、ギターにベースのトリオ。レーガン元大統領張りのリーダーはともかく、ギターはコロンビア麻薬カルテルの手下みたいな風貌で、一方太っちょのベーシストは「安田大サーカス」の一員みたいな感じだが、これが風貌とは似ても似つかぬ、驚くほどの甘いボイスを響かせて、次々と魅惑のハワイアンメロディを奏でてくれるので“至福のひと時”と聞きほれる。暫くして女房も横の席に座る。

途中で男女ペアのフラダンサーが登場。この二人は昨年と変らぬコンビであるが、男性ダンサーの軽やかな動きが実に見事である。その滑らかな足さばきに私の脳裏には阿波踊りの達人の姿がオーバーラップされる・・・。

途中10分の休憩を挟んで6時〜8時の間、ノンストップの歌&演奏とフラダンスの大サービス。ハワイアン好きとしては堪能させてもらいました。

   

ところで、演奏開始時から前方椅子群を占めているのは高齢者ばかり。

「日本のどこからデスカ?・・・」横に早くから座っていたご老体からしっかりした日本語で声がかかる。なんでも海軍の退役軍人で、昭和43年から3年間のあいだ佐世保に勤務したという。ブリッジの向こうのイリカイマリーナに住んでいるそうな、

「どれくらい住んでおられるのですか?」 「う〜ん・・・とにかくMany Yearsダネ!

私や女房にしきりと片言の日本語で話しかけてきたのは、日常孤独で、人恋しかったのかもしれない。周りの老人方も皆イリカイやイリカイマリーナの住人なのであろう。ここイリカイは観光客群と老人社会が同居しているというわけだ。

       

                   (元海軍のご老体と)      (サンセットが綺麗です)

 ドーン! 演奏が終わると、隣のヒルトンから、金曜の夜恒例の花火が上がる。私としては、最初からしかもこんなに目近に見るのは初めての体験。僅か5分のショーであるが、いやなかなか見ごたえがあって結構なものでございました。

 以上2時間余り、水泳〜ハワイアン〜花火と大満足で部屋へ戻り、遅めの夕食。先ずは「チューハイ」を作ってカンパーイ!(現在ビールを控えているので、今回晩酌用にと、焼酎とポッカレモンを持参しているのだ!)妻が手早く仕度したハム・チーズ・タマネギのオムレツに持参の鮎甘露煮と味噌汁(インスタント)が今夜の献立。ホロ酔い気分で満足のうちに長〜〜い一日が終わりました。

 

8月11日(土)

 到着翌朝で、ゆっくりと朝寝がしたいところですが、どっこいそうはいきません!7時半から始まるKCC朝市に行こうという計画なんです。で、日の出前の6時に起床。「向こうに朝メシなんかあるらしいよ」というわけで、食事も摂らずにそそくさと58番バスに乗る。この時間だと途中からの乗客もたいてい朝市目当てで、殆んどがKCC(カピオラニ・コミュニティ・センター)で下車。

7時半丁度に着いたが、既に大勢の買い物客で賑わっている。入り口直ぐの野菜売り場には20人くらいの行列が出来ているので、ここが本日一番人気の店なのだろうと直ちに列の最後尾に付く。

手ごろのパパイヤが一個1ドルと安い。食べ頃近いのを3個に熟したトマト5個と大束のアスパラガスで12ドルちょい。(野菜は特別安いということはない)地場のマンゴは、見た目はあまりよくなかったが試しにと1個購入($2.60)→ → →(購入品の評価は、後ほどで・・・)

   

          (朝市の賑わい) (新鮮な野菜に行列が出来てます)(きれいな花もあります)

他に特に購入意欲をそそられるものはなかったので、食べ物のほうに目を移す。ジャムを試食してみると結構美味しかったが、妻が興味を示さないので、名物の「フライドグリーントマト」の店へ。グリーントマト・オニオンリング・ズッキーニーのコンボで5ドル。

小さな船形紙トレイからつまんで、マヨソースをつけて食べる。座るような場所もないから日陰で立ち食いだ。揚げたての衣はカリカリサクサクで香ばしいが、トマトとズッキーニの味はあってないようなもの。まぁ、朝市名物として一度体験すればそれでOKといった代物。だいたいハワイのトマトはある程度赤くなっても固くて風味がないから、グリーンでなく普通のトマトで揚げてもおんなじかもしれない。

あと辺りを見渡しても朝食に適したようなものは見つけられない。「おなかすいたわ!朝食もあると言ったのに話がちがうじゃないの」と妻はいささかおかんむり。「まぁ、ダイエットということで・・・・」

「じゃぁ、ついでだからダイヤモンドヘッド登っちゃいましょうか?!」

「生鮮品を背負ったままではどうかなあ・・・」

「そうねぇ・・・うん、あなた、ホテルへ戻って置いてきたら!」

“時間も早いし、そうするかぁ”とバス停へ行くと、運よくワイキキ行きのバスが来たので飛び乗ってホテルへ帰る。手元の時刻表を見ると「返し」 のバスは7分後。大急ぎで、凍らしておいたグァバジュースと水のボトルをデイバッグに放り込むと、駆け足でバスストップへ。どうしてこんなに忙しいの?

〜〜結局往復1時間で、朝市の場所へと戻ることが出来ました。

 ここからテクテクと歩いてダイヤモンドヘッドへ。妻は5年ぶり、私は実に15年ぶりの登頂。名物の急階段をふうふう言いながら足を運ぶ(=15年の歳月を実感する・・・)

15年前のトンネルは真っ暗闇で、懐中電灯持参が注意事項にあったかと記憶しているが、今はケーブルが敷かれ、足元を常夜灯が照らしており、これも「時の経過」を実感。

途中展望台に立つと、どうしたわけか雲が多くなって、目を見張るようなブルースカイとオーシャンブルーとはいかず、ちょっと残念。それでも頂上にたつと、何度見ても感動する360度の見事な眺望が広がります。

     

                    (上り口への途中)   (クレイターへのトンネル)

           

                       (階段が還暦すぎの身にこたえます!)

   

 折角登ったのだからと、周囲の景色を楽しみながらゆっくりと降りてくると12時近くになった。

「お昼はどうする?

「すごくおなかが空いたから、ちゃんとしたものが食べたいわ。去年タイムアウトだったロイヤルガーデンに行きましょうよ」

「いいねえ!、これから急いで行けば間に合うかな」

「私は少し歩いてバスに乗るわ。あなたはブルーラインに乗ってみたら」

という妻の有難い提案で、私は少し待つと来たトロリーを初体験。木の長いすの背が背骨に当たって、私にとっての乗り心地はあまり快適とはいえません。DFSが終点なので8番バスに乗り換えると、なんと妻がいるではありませんか!

「おや、まあ偶然。ご縁がありますねえ」

 で、1時過ぎにアラモアナホテルの2階にある京苑酒楼=ロイヤルガーデンに到着。ここもレジェンドと並んで飲茶で評判の高いレストラン。

既にお客は1回転しているので、直ぐにテーブルに案内される。ホテルの中にあって入り口は一見敷居が高そうな感じであるが、中に入ると客の殆んどは地元の中華系の人たちで、賑やかな話し声が響いており、いたって庶民的な雰囲気である。我が家の飲茶定番メニューをチョイス。此処もとても美味しいです。まさしく、“飲茶はハワイに限る!”

        

                              (海老のダンプリング)  (大皿に山盛りの田舎風米粉)

 食事のあとは、当然というか、隣のショッピングセンターへ。妻は先週目を付けていたSKECHERSサンダルを購入(下写真・左)。現在人気沸騰中のクロックスより大人のデザインで、「これならドレスコードのあるレストランでも履いていけるわ」とご満悦。

       

(左=スケッチャーズ、右=ウオルマート・・・「本家」と似てるけど違う!)

 この後さらにウオルマートまで足を伸ばす。衣類とか雑貨は品揃えも豊富で、とにかく安い。これならウオルマートが進出した場所は他の店がつぶれてしまうという批判も尤もである。

広〜〜い店内を歩いていると、クロックスの類似商品を発見。当然メイド・イン・チャイナで価格も本家の1/3(=$11チョイ)と安い。ところがこれがなかなかの優れもので、後日ノースへ行った時に履いてみたが、何しろ軽くて、適度なクッションがあって履き心地がいいし、靴ズレも出ない。

クロックスは類似商品を次々と訴えて6件ほどの訴訟に勝ったと毎日新聞に出ていたが、さて天下のウオルマート相手にはどう対処するであろうか?・・・店舗の一角にあるコールドストーンでアイスクリームを舐めてから、アラモアナ経由でホテルへ帰還。

部屋に戻ると、早速水着に着替えてプールへ直行。日が傾いたあとのプールは日焼けの心配をしなくていいから、気持ちよく泳げてベリーグッドなのである。夕食の献立はピザトースト、鮎の甘露煮とそうめん。

それにKCCの朝市で買ってきたトマトとグリーンアスパラ。→ハワイのトマトは(どの店で購入しても)赤くても実が硬くて所謂トマトの風味は殆んど無いのですが、このトマトは日本のトマトに近い風味があって美味しい。アスパラガスも新鮮で甘みがあります。(北海道で獲れたてを、湯掻いた感じでしょうか) 

食後にパパイヤを食べると、上品な甘さが口に広がって、今まで食べたパパイヤと一味違います。

「これは、これは・・・次もKCCの朝市で決まりだわ!

朝方は「食べるものが無い」と、朝市を酷評していた妻ですが、180度評価が変わりました。

(本日の夕食です)

食後、夜の繁華街を散歩しようかと外を見ると、シャワーどころか本降りになってます。乾期のこの時期には珍しいことですが、ハワイも気候が不順になっているということでしょうか?

外出を諦めてTVのチャンネルを回していると「アンナと王様」(1999年・製作)をやっていた。知性派ジョディ・フォスターのアンナと、モンクット王を演じるチョウ・ユンファがなかなかの適役で、結構見ごたえがありました。明日の朝は珍しくもゆっくりなので、遅くまで見てしまいました。

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