二日目 11月1日(土)

 

   7時起床。先ずカーテンを開けて空を見ると〜〜雲が多いものの,青空が見えます。しかしTVの天気予報を見ると、「曇」となっています。そこで、身支度を整えて、フロントで確認すると、「夕方から雨が降る予報です」と。二人に、いちおう傘携行を呼びかけて3階の朝食(ブッフェ)レストランへ。

その場で作ってくれるオムレツや担仔麺(味はかなり微妙!)なんてのもあり、“洋・中”のひと通りのものが並んでいるが、3日連続で食べると飽きてこようといった代物・・・と言いつつ、時間をかけて、せっせと食べてましたが・・・

 さて、いよいよ観光のスタート。今回は三人とあってタクシーを活用です。先ず向かうは忠烈祠。ここは辛亥革命、抗日戦争、国共戦争などで亡くなった兵士38万人の英霊を祀った、いわば台湾の(というか中華民国の)靖国神社です。

   毎正時に行われる陸海空三軍の精鋭による衛兵の交替式が名物で、朝早くから大型観光バスが集まります。我々が到着したのは1回目が終わった9時20分過ぎ。先ずは広い境内を歩いて奥の本堂へお参り。青空が広がり、強い日差しに真夏のような暑さです。

       

   10時前になったので正門前で待機していると、(正面奥に向かって右側の詰め所から)衛兵が行進をしてきました。正門前で左折すると奥の本堂へと向かいます。屋外で長い距離を堂々の行進をするのが、他の廟堂と違って人気の秘訣(?)なのでしょう。

       

  衛兵を見送ると、正門前でタクシーを拾って、次は故宮博物院。はじめてのEは 「今回の旅で此処が一番の希望」 ですが、私も大改装後訪れるのは初めてなので楽しみにしていました。10時半過ぎとあって入り口は大勢の客で賑わっています。欧米人が多いのに驚かされます。受付左のコーナーで「日本語携帯解説機」をレンタル。料金は100元ですが、「担保」としてパスポート提出が必要です。事情を承知のSがパスポートを携行していたので助かりました。

       

                                        (後ろの建物はレストラン晶華)

 先ずは2階へ上がり、青銅器〜宝飾品〜陶磁器を見物。目玉の「翡翠白菜」や「肉石」には、やはり大勢の人が群がっています。最初(数年前)に来た時は、「白菜」は旅に出ていましたが、今は「常時展示」のようです。

 3ヶ月毎のインタバルで展示品は交替するようですが、やはりこの“2大スター”が不在だと、世界中からやってきた見学者からブーイングが出るでしょう。私的には彫刻によって現出した「白菜」よりも、「肉石」の素材そのもの(?)の絶妙さに魅せられ(!)ます。トンポーローそのもので、何度見てもじつに“美味しそう”です!

(参考までに、下に05年の8月に撮影したものを載せておきます。 )

   

その後、「絵画」から「書」へと廻ります。「絵画」のほうは、南宋・徽宗皇帝の花鳥図でもあれば華やかなんでしょうが、保存の為ずいぶんと照明を落としてありますし、今回展示してあった品々は、一部の山水画を除いて、それほどの感銘を受けません。

それよりも「書」のほうが印象が強いです。書聖・王義之の筆跡はやはり圧巻でした。尤も、よく考えると、王義之は東晋の政治家で3世紀(300年代)の人ですから、その時代の「紙」がこんなに綺麗に残っているのはちょっと怪しい? 

・・・じつは、義之の書に魅せられた唐の太宗が遺言でコレクションを全部自分の墓に持っていってしまったそうで、従って本物は一つも残っておらず、世にあるのは唐代以降の複製品だそうな。複製品でも義之の筆跡をよく伝えて貴重なお宝であるという。

その他、褚遂良(596〜658)、顔真卿(709〜785)等著名大家の筆跡も素晴らしいものです。Eは自身かなりの達筆でありますが、(Sの言によると)奥さんが更に能筆家とあって、ずらりと並んだ巻物等を興味津々で見入っておりました。

途中休憩をとりつつ丁寧に廻っていると、1時近くになりました。昼食の時間です。「再入場可能」を確認したうえで、一端外に出て、この春オープンしたばかりのレストラン晶華へ向かいます。

独特のデザインが目を引く外観は、地元建築デザイナー姚文熹氏が、ガラスを使って宋朝に発展した青磁の冰裂紋(釉薬と窯の温度関係により作品の表面に現れる自然なひび割れ) を表現しているそうです。中に入るとシックな内装も又注目です。こちらは日本の気鋭の(ということは中堅どころか?)空間デザイナー・橋本由紀夫氏が手がけたそうで、天井の照明は、ランプシェードが古代楽器の「編鐘」になっているのが面白い。

   

内外装からして如何にも「高級」そうで、ちょっと腰が引けそうになりますが、勇気を奮って(!)着席し、メニューを開くと、飲茶のメニューが豊富で意外とリーゾナブル。叉焼包・小籠包・蝦仁腸粉・蝦春巻・猪肉豆蒸(?・・・これは不正確!)などを、漢字を頼りに推測してオーダー。熱々の蒸篭で出される品々はどれも美味しい。(但し、小籠包は皮が簡単に破けてNG・・・)

     

     

ビールが欲しいところですが、メニューにアルコール類は無く、周囲を見渡しても酒の類を飲んでる人はいない。(酒に弱い日本人あたりが)酔っ払って宝物に狼藉を及ぼすことがあってはいけないという配慮でありましょうか?)白い急須に入ったお茶は速やかにお代わりしてくれるので、文字通りの“飲茶の午餐”であります。

最後に頼んだ牛肉米粉は予想に反して「きし麺」状の平太いビーフンが出てきたが、肉と出汁(オイスターソース?)の味が「太麺」によく絡まって、グッドでした。デザートの杏仁豆腐とお茶のお代わりで、茶芸館にいるが如くゆったりと寛いで、“おじさんのおしゃべり”に花を咲かせました。

長い昼休みの後、再度入館しましたが、既に殆どのものを見終わっておりました。大改装前よりも展示物が相当減少したような感じです。大改装は「改善」ではなく、「改悪」と感ずる向きが多いのではないでしょうか!(写真撮影が全面禁止になったのは、個人的には残念です。)

外へ出ると、山側を覆っていた雲も少なくなり、青空が広がっています。これなら夕日が見えるだろうと、士林でタクシーからMRTに乗り換え(新北投はカットして)、淡水へと向かいます。

駅舎を出ると、週末とあってか大勢の人で賑わっています。人混みをわけるようにして川べりを進んで、頃合のところに空きベンチを見つけて、コンビニで買ったペットボトルのお茶を飲みながら、サンセットタイム(凡そ5時半頃)まで待機。

辺りには、ダンボール箱に板を載せ、雑貨類を広げたような即席屋台が並んでいるが、そこへ取り締まりの警官がやってくる。機敏な連中は商品をサッと仕舞いこんで脇に引っ込み知らぬ顔を決め込むが、遅れた連中は「ツイテナイナァ!・・・」といった表情で、次々と罰金を徴収されている。

以前は見られなかった光景であるが、それにしても厳しくなったもんだ。こうした屋台の猥雑な様子は台湾のある種の風情であり、今後取り締まりが厳しくなって“こうした光景が無くなってしまっては勿体無い!”というような気もするのであるが・・・。

     

で、肝心のサンセットですが、生憎なことに、陽の落ちる辺りに厚い雲がかかって居座ったまま。茜雲の下にほんのチョッピリ姿をみせただけで、真っ赤な夕日が海に落ちる感動的なシーンを見ることは適いませんでした。晴天なだけになんとも残念!

     

暮れなずむ頃からがサタディナイトを楽しむカップルやファミリーの本番ですが、我々はサッサとMRTに乗り込んで中山站で下車し、天厨菜館へ向かいます。そう、今夜は北京ダックです。

ビールのツマミは「クラゲ・ささ身・野菜の和え物」、「空芯菜炒」、そして名物の「卵白と貝柱炒め」(=淡白で上品な味わいです。)。

紹興酒に切り替えたところで、“こんがり・つやつや”と見るからに美味しそうな主役が登場。 「顔見世」のあと、切り分けた「皮」が出てきます。例の薄衣に包んでパクパク。やっぱり美味しいですが、一人7〜8枚となるとお腹が膨らんできます。

     

     

S 「おい、ところで身のほうはどうなってるの?俺は身も好きなんだよ」

W 「1品だけで頼んだから、これだけかも。大体身はマズイよ」

E 「そうだよ、皮だけで充分だよ。鳥は好きじゃないしね」

W 「Eもそうか!、俺も鳥はキライなんだ」

S 「なんだ、君ら鳥がキライで、北京ダックとは、理屈があわねえじゃないか!」

〜〜てなやり取りをしているところに、大皿に切り分けた「身」がドン!と出てきました。

二人が手をつけないと知ったSは、甘味噌を付けてせっせと口に運びます。私もこの歳にしてはかなりの大食漢ですが、Sの旺盛な食欲にはもう脱帽です。

スープと野菜炒めはカットしましたが、“当分北京ダックはいいや!”というくらいの満腹感であります。

(因みに、ダック丸ごと1羽で900元=約2,700円ですから、広い店内がいつ来ても満員盛況なのが納得できます。)

 店を出たのが8時半過ぎ。さてこのあとはどうしよう?・・・Eが「今夜もマッサージに行きたい!」と。Sは「俺は今夜はいいや」と、知り合いに聞いた店をちょっと覗きに林森北路の横丁へ。私は道案内でEに付き合って、昨夜のウインザーへと向かいます。

Eは「さぁ、今夜も2時間コースだ!」と個室へ。私は“今夜は軽めに”と、入り口脇の「足揉みコーナー」へ。まだ夜も浅いとあって大賑わい。日本人観光客が10数人気持ちよさそうに横たわっています。さらに次々と客がやってきますが、これだけの客がいても待たずに直ぐ施術が始まるのがこの店のスゴイところ。(いったい何人のマッサージ師を抱えているのでしょう?)

 私は重量級の若いお兄さんが担当。クリームのようなものを塗って丁寧に揉んでくれます。過去の経験では「足揉み」の場合、痛くて悲鳴をあげるのですが(施術師に言わせると、「痛いのは、内臓が悪い」証拠だとのこと)、今夜はしっかりと揉みあげているのに、痛みは全くありません。気持ちよくてついウトウトとしてしまいました。

 「終わりましたヨ!」の声で我に返ると、足はすっかり軽やかになっています。(じつは、昨夜のマッサージの“揉みかえし”で、朝から左足脹脛に軽い痛みがあったのですが) 40分で700元と、他所よりちょっと高めですが、十分その値打ちがあります。

  足が軽くなったので、土産品を手配しておこうと李製餅家へ行ってみますが、9時半だとすでに閉店。なかなかタクシーがつかまらないので、足が軽くなったことだしと、試しにホテルまで歩いてみることにします。早足で20分くらいだったでしょうか?やっぱり“歩きで”がありました。タクシーだと100元位でしょうから、タクシー利用が正解です。

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