8月10日(水)/4日目

一大事?

 今日もいい天気。ホテルの周辺の写真をとろうと、デジカメを探すが・・・無い! どうした〜〜? (女房)「タクシーは降りるときちゃんと見たわよ」                     

「それじゃあ、昨夜の滬豐に置き忘れてきたのかなあ?」 

「出てこなかったら、今までの写真は全部パーね、ガッカリだわ」                 

「ま、10時ごろ店に行って聞いてみよう。楽観的に考えるしかないよ。」                    

ということで取敢えず朝食。いつもは食欲旺盛な私もさすがにあまり喉を通らない。部屋へ戻って外出の支度をすべく、もう一度全ての引き出しを大きく開けると、奥の奥に赤いケース袋がありました 「もう、しっかりしてよね!」 「まあ、あったから良かったじゃないか!」          

安 平 と 鄭 成 功                         

こんなチョンボで、出発が少し遅くなりましたが、本日は安平へ。タクシーで少し走ると運河が見えてくる。向こう側は新築のマンションが建つモダンな雰囲気の新興住宅街。市内から30分弱走って(185元)安平到着。今回のコースを高雄〜台南と決めたときに、私はどうしても安平に来たかった。

それは、遠い昔へのセンチメンタルジャーニー(=私の面倒を見てくれた会社の人事部の人と台南〜高雄へと研修旅行をした)ということでもあるが、安平=鄭成功というイメージ連想のせいでもある。というのは・・・

 鄭成功・・古くは大近松の「国姓爺合戦」、近くは我が国海洋歴史小説の第一人者・白石一郎の「怒涛のごとく」にその風雲怒涛の生涯は鮮やかに描かれているが(白石氏の小説は毎日新聞日曜版連載を愛読した)が、私は小学生の頃にその存在を知って、“徳川幕府が鎖国をしていた時代に、日中混血の身で、滅びゆく明国を支え、ひとり清国に立ち向かった男がいたのか!”とその英雄的にして悲劇的な生涯に強い衝撃を受けた記憶があり、そのとき感じたヒロイズム=大人になっていうなら“歴史のロマン”が今日(こんにち)に至るまで残っているのである。

 で、約40年ぶりに訪れた安平古塁=ゼーランジャ城は、脳裏にかすかに残る当時の記憶と違って、随分と綺麗に整備され(過ぎ)て、何やらTV映画のセットのようでもある。

 地元観光客に混じって、胸にKOREAの文字を際立たせた黄色いTシャツを着た小学生の一団がいる。韓国からの修学旅行かどうかは定かでないが、コリアンパワーの一端を垣間見た感じがした。

 せっかくやって来たのだからと、ゆっくりと周囲をまわる。日は中天に近づいて、客も少なくなり、静かになった。高台の木陰で、一陣の風をほほに受けながら、あたりを見渡せば、ここは喧騒でエネルギッシュな高雄&台北とは別世界の如く、なんだか時間がゆっくりと流れていくような感じがする。

 資料館の古絵図を見れば、ここは、350年ほど昔は海に突き出た細長い半島になっていて、その先端にオランダ人は城砦を築いたのである。〜〜それから3世紀あまりのときを経て、“蒼海変じて桑田と為す”というわけで、今見渡せば、目の前にはのどかな郊外宅地の景色が広がっている。

 裏手に回ると、ところどころに黄色いテープが張り巡らしてあり、大学の研究室らしき数名が慎重に地面を掘り返していた。土の中から古いレンガ積みが現れている。下にはオランダ〜鄭成功時代の遺構が埋まっているのであろう。いつの日か完全発掘して、往時を偲ぶ姿を具現してもらいたいものだ。

(右の2枚はオランダ統治時代の基礎や壁が残っている部分です)

周氏

 ゆっくりと周っているうちに1時近くになった。安平に来たら、お昼は名物の「周氏蝦捲」。安平路を少し戻ると、通りに面して赤い看板がある。昼のピークを過ぎたが、それでも家族連れが結構いて、地元の人たちに愛されていることが分かる。若い娘さんがせっせっと蝦捲を揚げている。

エビマキ(40元)を注文すると、手際よくというか超乱暴に、2本をシャシャ!とハサミで二つに切って刻みキャベツの上にホイッと乗っけて渡してくれる。そのほかに「エビ団子スープ」(30元)と汁ビーフン(35元)が、本日の昼食。で、エビマキは、思ったほどカリッ、パリッとしておらず、いささか期待外れ。まぁこんなもんでしょう・・・といったお味。

 

(蝦団子湯と、汁米粉。下が蝦巻)(店内の様子)

 お腹を満たした後は、元へ戻って、古塁の前にある安平開台天后宮へお参り。まあ、派手なこと!きらびやかなこと!強烈な信仰心が相当集まらないとこれだけの建造物は出来ないだろうなぁ!と感心することしきりである。

  (天后宮と表の通り)

 お宮を出て、その先へ歩く。大通りの向かい側には吹き抜けのバラック小屋みたいなのがあって、どうも地元の老人たちの「カラオケハウス」みたいだ。日本の演歌のメロディが聞こえてくる。「ニーハオ!」と言いながら飛び入り参加したいところだが、女房が「およしなさい!」 

“この先に何かあるかなあ?”と地図を見ていたら、いつの間にか老人が現れて、片言の日本語を思い出し&搾り出すようにして「砲台、砲台があるヨ」と教えてくれる。で、少し歩いていくと、養魚池に囲まれるようにして砲台跡があった。“兵(つわもの)どもが夢のあと”といった感じである。

 

 「せっかくここまで来たんだから、運河のほうまで歩こうか?」 「いいわよ !」というわけで、砲台跡から南下して安平港から運河方面目指して歩き始める。炎天下の昼下がりとあって、人っ子一人、犬一匹とて姿を見かけない静まり返った田舎の通りを中高年の夫婦が歩いていく・・・ちょっとシュールな光景かもしれません。(笑)でも岸壁から運河の眺めはなかなかよかったですよ!

 

 頃合いで、大通りへ出る道に戻る。途中、大量の牡蠣を剥いている場所に出くわした。ちょうどどこかのTVクルーが取材に来ていて、おばちゃん達が大ハリキリで、せっせっと牡蠣の身を取り出していた。台湾の牡蠣は小粒で日本のと種類が違うが、夏でもとれるんだ!

 

 これで安平見学はおしまい。タクシーを拾ってホテルへ帰り、小休止。帰りの途中ホテル近くで、窓越しに市場みたいなのを見かけたので、行ってみよう!と散歩に出掛ける。果たして狙い通りに薄汚れた(!)市場があった。果物屋でお目当てのマンゴーの他にスターフルーツ、キウイ(これはもちろんニュージーランド産であるが、女房は健康法として毎日“親の仇”みたいにキウイを食べているのだ)をゲットして、途中コンビニで飲料と「豆花」も購入。部屋へ戻ると早速“戦利品”にトライ。マンゴーは色合いはよかったものの、やはり「六合夜市」ほどの味はしない。「スターフルーツ」も良く熟れた感じのを選んでもらったが、“切り口・見た目”だけの果物で、酸っぱいだけ。ピクルスにするというガイドブックの解説を納得。

  で、いちばんのスグレモノが「豆花」!・・・こんなに“優しい食べ物”があるんだろうか!といった感じで、のど越し爽やかで、あずき餡との相性がじつに良い。(帰国後、女房は豆乳をゼライスで柔らかく固めて再現し、我が家の定番デザートになりました!)

 

(マンゴーとスターフルーツ)  (左が豆花のパック)

再 発 號

 昼間の暑さで食欲が減退したか、女房が「今晩は軽めでいい」という。では肉粽で有名な「再発號」へ行ってみよう。駅から真っ直ぐの成功路しか歩いてないから、斜めに延びる中山路を少し歩きながらいくとちょうどいいよと説得して、日の落ちかけた道を歩む。夕方のラッシュアワーに差し掛かって大勢の人が行き交う。

 少し歩くと、スリムなノッポビルが目に入る。新光三越中山店だ。周りはちょっと洒落た感じで、東京でいうなら、渋谷の109辺りの感じか。時間の余裕があるので、三越の中に入り、エスカレーターでずんずんと上へ。10階に大きなガラス窓がある。周りには高いビルがないので、ちょっとした展望台で、暮れなずむ台南の市街を一望できて、ちょっと得した感じ。 ビルから出て、少し歩くと賑やかな音楽が聞こえてきた。数人がのぼりやらを持ち歩き、その後を楽隊のライトバンが続く。どうやらお通夜の行進のようで、“処変われば品変わる”を実感。

 そんなこんなで、漸く再発號に到着。有名店とは思えない、うなぎの寝床みたいに狭く且つ鄙びた食堂。ここで定番の「八寶肉粽」(100元)と蛤スープ(30元)を注文。バレンの皮を取ってお皿に乗ってきた四角錐形のチマキはかなりの大きさ。私はタレをかけてかぶりつく(ドロッとしてなくて、鰹ダシ味で、案外アッサリしている) 中身は八寶の名の通り、煮込み豚肉の塊、ドンコ椎茸、蛋黄(塩タマゴの黄身)、干貝柱、海老、イカ、栗、そぼろ肉と具がゴロゴロ詰まっている。そしてこれが以外とシツコクなく(いわゆる台湾味の甘辛+香辛料グセがない)、アッサリ味で美味しい!女房の先ほどの食欲不振はどこへやら、「美味しいわ!」と平らげてしまった。

八寶肉粽です、デカイ!

帰り道をぶらぶらしていると、大勢が入っている大衆食堂があって、「小籠包50元」と看板に出ている。入り口で数人のコックが忙しく働いて、蒸篭から湯気が立ち上っている。“ひょっとしたら、旨い&安い”店かもしれないと入ってみる。「お腹いっぱいなので、1籠でもいいか?」とゼスチャーで尋ねると「OK!」。出てきた小籠包(7個で50元)にかぶりつくと、肉の旨みはいいのだが、スープがない! 小籠包というより、上品で柔らかなシュウマイみたいだ。「やっぱり、それなりなのねぇ!」ということで“隠れたる名店発見!”というわけにはいかなかった。(当然、追加オーダーは無し)

ホテルへ帰りつくと、フロントのショーケースを見て、女房が「亀ゼリーが食べたい!」  で、1個(50元)だけ注文すると、売り子のおばさんも商売上手で、「3個、100元でどう?」 即OKです。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

次へ    戻る

 

 

 

 

 

 

inserted by FC2 system