ロバート・ショウ(ROBERT
SHOW)
1927年、イギリス/ランカシャー州生まれ、1978年没
人気沸騰の第二作にしてシリーズ最高傑作、63年「ロシアより愛をこめて=From
Russia with Love/初公開時は〈007/危機一発〉という邦訳タイトル」(共演・ダニエラ・ビアンキ・・・ボンドガールの中で、美人度と存在感において歴代ナンバーワン、ペドロ・アリメンダリス・・・メキシコの名優、何故かこの年に自殺)で犯罪組織スペクターの殺し屋役・Red
Grantで登場。
銀髪の知的で精悍な風貌、引締った筋肉質な肉体はまさに役柄にピタリ。
特に、英国活劇映画の伝統を踏まえたオリエント急行列車内での格闘シーンは、アクション映画史に残る、手に汗握る大迫力であった。ヤング監督はこの作品で不動の評価を得たが、ショウも又この役でスターとしての地位を確立した。
・52年「Operation
Secret」,54年「Dam Busters」,56年「Hell in Korea」といった戦争物の脇役主体に10年の長い下積みを経て、ついに金鉱脈を掘り当てたのである。
次に65年「バルジ大作戦=Battle
of the Bulge」(監督・ケン・アナキン、出演、ヘンリー・フォンダ、ロバート・ライアン、ダナ・アンドリュース、ピア・アンジェリ、テリー・サヴァラス、タイ・ハーディン)ではタイガー戦車隊を指揮する狂信的ナチス将校を熱演(この役はRed役の延長線上にあるものであろう)。
その硬質な柄・雰囲気が軍人役にピタリとはまるせいか、以降も戦争物は多く、
・69年「空軍大戦略=Battle
of Britain」(監督・ガイ・ハミルトン・出演、ローレンス・オリヴィエ、マイケル・ケイン、トレヴァー・ハワード、クリストファー・プラマー、クルト・ユルゲンス、スザンナ・ヨーク)では飛行中隊長、
・77年「ブラックサンデー=Black
Sunday」(監督・ジョン・フランケンハイマー、共演・ブルース・ダーン、マ
・78年「ナバロンの嵐=Force10
from Navarone」(監督・ガイ・ハミルトン、共演、ハリソン・フォード、フランコ・ネロ、エドワード・フォックス、バーバラ・バック、リチャード・キール、カール・ウエザース)の破壊工作コマンド隊長・マロリー大佐とある。
(因みにこれは61年「ナバロンの要塞=The
Guns of Navarone」の続編で、前作ではマロリー役はグレゴリー・ペック、E・フォックスのミラー役はデヴィッド・ニーヴンが演じた。007シリーズで名を挙げたハミルトン監督にしては珍しく演出の冴えを欠いた作品で、前作の面白さに遠く及ばず、折角の味のあるキャストが勿体無いとの印象が強い) 一方、敵役の系譜が、
・73年「スティング=The
Sting」(監督・ジョージ・ロイ・ヒル)、ここでは主演のポール・ニューマン、ロバート・レッドフォードを向こうに廻して、N.Y.の組織の親分・ロネガン役として丁々発止の演技で本作のアカデミー作品・監督賞受賞をアシストしている。
・76年の「ロビンとマリアン=Robin
and Marian」(監督・リチャード・レスター、出演・ショーン・コネリー…ボンドとは打って変わった渋いメーク、演技でいい味を出している、オードリー・ヘップバーン、リチャード・ハリス)のノッチンガムの悪代官も印象深い。
悪役ではないが、75年「ジョーズ=JAWS」(監督・スティーヴン・スピルバーグ、出演・ロイ・シャイダー、リチャード・ドレイファス)では、巨大鮫に喰い殺されるクイント船長役で強烈な印象を残した。〜〜原作者・ピーター・ベンチュリーはこの本で一躍世界的なベストセラー作家となり、次作品も77年「ザ・ディープ=The
Deep」(監督・ピーター・イェーツ、共演・ニック・ノルティ、ジャクリーヌ・ビセット、ルイス・ゴセットJr.)として
又、歴史上の人物を演じることも多く、
・66年「我が命つきるとも=A
man for all seasons」(監督・フレッド・ジンネマン、共演、、オーソン・ウエルズ、スザンナ・ヨーク、レオ・マッケーン、ヴァネッサ・レッドグレーブ)ではポール・スコフィールドのトーマス・モアとがっぷり四つに組んだヘンリー8世役を熱演、
・67年「カスター将軍=Custer
of the West」(監督・ロバート・シオドマク、共演・ジェフリー・ハンター、タイ・ハーディン、ロバート・ライアン)で悲劇の将軍、第七騎兵隊・カスター将軍を、
・72年「戦争と冒険=Young
Winston」(監督・リチャード・アッテンボロー、共演・サイモン・ウオード=ヤン
・78年「アバランチ・エクスプレス=Avaranche Express」(監督・マーク・ロブスン、共演・リー・マーヴィン)を最後に78年、51才の若さで急逝。まさに油の乗りきった盛りの頃であり、その後元気であれば、存在感のある重厚な名脇役として大活躍したことであろうにと惜しまれてならない。