アドルフォ・チェリADOLFO  CELI)

                  1922年イタリー/シシリア生まれ、1986年没                                     

再びヤング監督に戻っての第4作が65年「サンダーボール作戦=Thunderball」(共演・クローディーヌ・オージェ)。流石のヤング監督も「ロシアより〜」ほどの切れ味は出なかったが、それでも海中の戦闘場面はこれ迄に無く斬新で見応えのあるスペクタクルなシーンに仕上がっていた。本編でスペクターの上級幹部・ラルゴ役として登場したのが、アドルフォ・チェリ。銀髪、ドングリ眼にヌッと出た大きな鼻と猪首―凄みも利いて貫禄十分。

それもその筈、マフィアの本場・シシリー生まれ!である。エネルギッシュな風貌は一見ハリウッドのテリー・サヴァラスとよく似ており、同じ骨格にバターを塗ればサヴァラス、オリーブ油を振りかければチェリといったところか。

・46年「Un Americano in vacanza」でデビューし、続いて2本出た後、何故か15年の長い空白をおいて、63年に「El Greco」(主演メル・ファーラー=グレコ役)で再登場。爾来20年間で、アクション、コメディを中心に殆どがイタリアのB級作品乍ら実に80本の作品に出演している。

私が記憶にあるのは「リオの男=Lhomme de Rio」(監督・フィリップ・ド・ブロカ、出演・J・P・ベルモンド,フランソワーズ・ドルレアック)あたりからであるが、余程自分の顔立ちの押し出しに自信があったか、その後どの作品に登場しても格別のメイク無し、全て銀髪の同じ顔である。

・65年「華麗なる激情=The agony and the ecstasy」(監督・キャロル・リード、主演・チャールトン・ヘストン、レックス・ハリソン)のジョヴァンニ・ド・メディチ役(例外的にシリアスな演技)、68年「新・黄金の七人/7×7=Sette volte sette」(監督・ミケーレ・ルーポ)の金庫破りのボス役等が印象に残る。

007のパロディ作品数ある中で、一番のトンデモ作品が67年「ドクター・コネリー/キッドブラザー作戦=Operation kid brother」(監督・アルベルト・デ・マルチーノ)で、主役の整形外科医の素人スパイになんとズブの素人のコネリーの実弟・ニール・コネリーを引っ張り出し、ヒロインにダニエラ・ビアンキ、脇を007常連のバーナード・リー(M役)、ロイス・マックスウェル(マネーペニー役)といったところで固め、悪役には彼、チェリを配している。パクリの本家・イタリアの面目躍如たる(!)臆面の無さである。

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