テリー・サヴァラスTELLY  SAVALAS)

                   1924年、アメリカ/ニューヨーク生まれ、1994年没                                    

5作品を撮った人気絶頂のところで、イメージの固定化を恐れたコネリーがボンド役を降りてしまい(彼のこの判断は大正解)、製作者(アルバート・R・ブロッコリ&ハリー・サルツマン)は、それならと大胆にも豪州生まれのズブの素人、ジョージ・レーゼンビーを後釜に抜擢した。(ギャラは安上がりだし、これで人気が出れば、万々歳という計算であったのだろう・・・)

その第6作、69年「女王陛下の007=On Her Majestys Secret Service」(監督・ピーター・R・ハント、出演・ダイアナ・リグ)で新たなブロフェルド役として登場したのが、サヴァラスである。(新ボンドが豪州生まれなら 、敵役も英国に拘らず、思い切ってニューヨーク生まれを起用したということか・・・ サヴァラスはギリシャ移民の息子で、第二次大戦から復員後、ABCニュースのジャーナリストを経て役者に転身。)

前作のプレザンスと同じスキンヘッド乍ら、ギョロ目にデカッ鼻、分厚いタラコ唇、脂ぎった感じで前任とは違って今度は貫禄充分。(もっともサヴァラスの醸し出す雰囲気は意外と明るく、この点、闇のドンたるブロフェルドのイメージとは厳密にはズレがあるかもしれない)

・65年「偉大な生涯の物語=The Greatest Story ever told」(監督・ジョージ・スティーヴンス、出演・マックス・フォン・シドー=キリスト、チャールトン・ヘストン、ジョン・ウエイン、キャロル・ベイカー…イエスの生涯を正面から、オールスターキャストで描いた) のポンティアス・ピラト(キリストに磔の刑を宣告した総督)役、或は66年「ボージェスト=Beau Geste」(監督・ダグラス・ヘイズ、出演・ガイ・ストックウエル、ダグ・マクルーア、レスリー・ニールセン)のサハラ砦の外人部隊の残忍なダジノオ曹長や、

・69年「マッケンナの黄金=Mackennas Gold」(監督・J・リー・トンプソン、出演・グレゴリー・ペック、オマー・シャリフ…シネラマで描いた三つ巴の埋蔵黄金争奪ウエスタン活劇) の狡猾なティブス軍曹役…こういった辺りのアクの強い演技が製作者の目をひいたのであろうか。

サヴァラスは61年から銀幕に登場しているが、94年に亡くなる迄の間の出演作は60本弱と名前の印象の割にはそれ程多くない。73年から実に17年間も続いたTVの「刑事コジャック」シリーズの人気で充分飯が食えたせいでもあろうか。

スクリーンでは、戦争ものの他、やはり組織のボスといった役処が目立つ。前者では、

・67年「特攻大作戦=The Dirty Dozen」(監督・ロバート・アルドリッチ、出演・リー・マーヴィン、アーネスト・ボーグナイン、ジム・ブラウン、チャールズ・ブロンソン、クリント・ウオーカー、ロバート・ライアン…ドイツ軍司令部を殲滅する囚人特殊部隊の大アクション)、

・70年「戦略大作戦=Kellys Heroes」(監督・ブライアン・G・ハットン、出演・クリント・イーストウッド、ドナルド・サザランド…ドイツ軍が隠した財宝強奪アクションコメディ)。

後者では、

・70年「狼の挽歌=Citta Violenta」(監督・セルジオ・ソリーマ、出演・チャールズ・ブロンソン、ジル・アイアランド…ブロンソンに狙撃され、シースルーのエレベーターの中で鮮血に染まって倒れるジルのラストシーンが印象的であった。

・72年「シシリアン・マフィア=」(監督・アルベルト・デ・マルチーノ、主演・アントニオ・サバト)、

75年「ダイヤモンドの犬たち=Killer Force」(監督・ヴァル・ゲスト、出演・ピーター・フォンダ、クリストファー・リー)といった作品である。

77年「カプリコン ・1=Capricorn one」(監督・ピーター・ハイアムズ、出演・エリオット・グールド、ジェイムズ・ブローリン、カレン・ブラック) では、NASAの謀略に立ち向かう記者と共に、宇宙飛行士の救出に一役買うオーナー・パイロットとして唐突にラスト近くで顔を出しているが、この陽気で向こうっ気が強くチョイと欲の皮の突っ張った親爺といった役処は、サヴァラスの個性を活かした好キャストだと言えよう。

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