ジョン・ヴォイトJON  VOIGHT)

          1938年 アメリカ、ニューヨーク州 ヨンカーズ生まれ                          

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  (父=ジョンと、娘=アンジェリーナ)

 ヴォイトといえば、なんといっても69年の「真夜中のカウボーイ=Midnight Cowboy」(監督・ジョン・シュレシンジャー、出演・、ダスティン・ホフマン、ヴォイト、ブレンダ・ヴァッカロ)のジョー役。・・・テキサスの田舎からジゴロで一旗あげようとニューヨークに出てきたものの現実は厳しく、知り合ったラッツィオ(=ホフマン)と傷をなめ会うように助け合いながら大都会の中で孤独を噛み締め、やがてマイアミへ夢を求める・・・奇しくも同じ年の作品、ホッパーの「イージーライダー」と並ぶニューシネマの大傑作である。

ホッパーと2歳違いと同世代のヴォイトは、この作品でデビュー後僅か三作目にしてアカデミー主演男優賞の候補に上がり、一躍ハリウッドに確たる地歩を築いたのであるが、その後の軌跡はホッパーと違って69年から99年の30年間で、出演作は僅か24本を数えるのみ。

特に80年代後半から90年代前半にかけてはいささか忘れられたスターになりかけていたが、最近は持ち前の演技力に磨きをかけて、善人だか悪人だか良く分からない、それでいて実にタフな敵役として再び注目を集めつつあるといえよう。

 そのきっかけとなったのが

・96年「ミッション・インポシブル=Mission Impossible」(監督・ブライアン・デ・パルマ、出演・トム・クルーズ、ヴォイト、ヘンリー・ツェーニー、エマニュエル・ベアール、ジャン・レノ、ヴァネッサ・レッドグレーヴ)のフェルプス役である。・・・気鋭のパルマ監督が懐かしのTVシリーズ「スパイ大作戦」を、大金をかけ、段違いにゴージャス・パワフル・スピーディにリメーク。トム・クルーズのアクションはなかなかグーであるが、但し、肝心のシナリオが弱く、ストーリー展開には「それはないよ!ルール違反だ!」と承服しかねる箇所があるのが欠点。(それとやっぱり音楽はダニー・エルフマンではなく、ラロ・シフリンを起用してほしかったなぁ・・・)

・97年「Uターン=U Turn」(監督・オリヴァー・ストーン、出演・ショーン・ペン、ジェニファー・ロペス、ニック・ノルティ、ヴォイト)・・・ヴェガスへ向かう途中、車がエンコした為立ち寄ったスペリアという町で主人公ジョン(=ペン)が遭遇する不条理サスペンス.。小品仕立てながら、ストーン監督の演出が実にシャープで、役者の演技も冴える。ヴォイトは軒下に鎮座しては哲学者的言辞を弄する、盲目のルンペンを演じて見事な怪演!メークも凝りに凝って、一寸見には彼とは分からないほどだ。(プエルト・リコ生まれの褐色の美女・ジェニファー・ロペスもストーン監督のシゴキにあってか?、一皮むけた熱演で、未来のビッグ女優誕生を予感させる!)

・97年「レインメーカー=The Rainmaker」(監督&脚本・フランシス・F・コッポラ、出演・マット・ディモン、クレア・デインズ、ヴォイト、ダニー・デヴィート、ミッキー・ローク、ダニー・グローヴァー、ロイ・シャイダー・・・原作の全てが映画化されている、法廷物のベストセラー作家ジョン・グリシャムの「原告側弁護人」を、今度は巨匠コッポラが、彼ならではの、絶妙なキャスティングで映像化。)・・・理想家肌の新米弁護士・ルーディ(−ディモン)が様々な困難を乗り越えながら、弱者を助け巨大保険会社に敢然と挑む。ヴォイトは保険会社お抱えの驕慢な辣腕弁護士ドラモンドに扮して熱演、その悪徳弁護士振りは、まさにハマリ役といえよう。(余談ながらエルマー・バーンスタインの音楽が素晴らしく、巨匠の健在振りを示してファンにはなんとも嬉しいことである)

・97年「アナコンダ=Anaconda」(監督・ルイス・ロッサ、出演・ジェニファー・ロペス、アイス・キューブ、ヴォイト)・・・伝統のパターンを受け継いだアマゾン怪物ものであるが、巨大アナコンダがなかなかの出来栄えで結構怖い。しかしそれよりもっとコワイのが、アナコンダ捕獲の執念の虜となった密猟人・サローン(=ヴォイト)である。終始何を考えているか分からぬ不気味さを漂わせて、最後は大蛇に飲み込まれて半ば溶けながら絶叫するあたり、ホッパーも顔負けの見事な怪演といえよう。

・98年「エネミー・オブ・アメリカ=Enemy of The State」(監督・トニー・スコット、出演・ウイル・スミス、ジーン・ハックマン、ヴォイト、リサ・ボネ)・・・偶然暗殺事件の証拠を手にした弁護士・ディーン(=スミス)が、事件首謀者のNSA行政官レイノルズ(=ヴォイト)の魔手に追い詰められながら、元諜報員・ブリル(=ハックマン)の助けで反撃に転ずる・・・ヴォイトの悪役振りももうすっかり板についた感じである。(それと最新のITテクニックを駆使するハックマンの元諜報員役が絶妙だ。また、悪人から逃れる為街中を走りまくるスミスの体力も凄い!)

 〜そもそもヴォイトのデビューは67年「墓石と決闘=Hour of the Gun」(製作&監督・ジョン・スタージェス、出演・ジェームズ・ガーナー、ジェイソン・ロバーズ、ロバート・ライアン)・・・OK牧場の決闘の後日談。ワイアットは再びドクの助けを借りて、復讐を仕掛けてきたアイク(クラントン一家唯一人の生き残り)達と対決。(ジェイソン・ロバーズがドク・ホリディというんだから、まあなんとも地味なキャストだ・・・流石のスタージェス監督もこの頃はあまり金がなかったのか?)

続いて67年「スーパー・ヒーロー/Mr.フランク」、それから69年「真夜中の〜」、69年「青春の渚」ときて

・70年「キャッチ22=Catch22」(監督・マイク・ニコルズ、出演・アラン・アーキン、マーティン・バルサム、リチャード・ベンジャミン、アート・ガーファンクル、アンソニー・パーキンス、オーソン・ウエルズ、ハリー・ディーン・スタントン、マーティン・シーン、ヴォイト、ポーラ・プレンティス)・・・第二次大戦中の地中海にある米軍基地内の狂気に満ちた人間模様をニコルズ監督がブラックユーモアタッチでシャープに演出。さすがにこれだけの芸達者達に囲まれると、まだ当時芸暦の浅いヴォイトは敵わないか・・・

74年「オデッサファイル=The Odessa File」(監督・ロナルド・ニーム、出演・ヴォイト、マクシミリアン・シェル、マリア・シェル)・・・ルポライターのミラー(=ヴォイト)はナチSSの残党“オデッサ”の秘密を知り、隊員に化けて組織に潜入して秘密を探ろうとする―フレデリック・フォーサイスの傑作小説を映画化し、フォーサイス物では一番の出来栄えである。ドイツ人っぽいヴォイトの風貌が主人公にピタリといえる。

・79年「チャンプ=The Champ」(監督・フォランコ・ゼフィレッリ、出演・ヴォイト、フェイ・ダナウェイ、リッキー・シュローダー、ジャック・ウオーデン)・・・復活を信じて疑わない最愛の息子の為に再びリングに上がる元チャンピオンのビリー・フリン(=ヴォイト)―もう涙、涙の感動物語で、ヴォイト生涯のベストNo:2であろう。

・85年「暴走機関車=Runaway Train」(監督・アンドレイ・ゴンチャロフスキー、出演・ヴォイト、エリック・ロバーツ、レベッカ・デモーネイ)・・・アラスカの刑務所から脱獄した二人は貨物列車に潜り込むが、機関士が死に、雪原の中を暴走し始める。黒沢明の脚本を活かした極限状態の恐怖のドラマをヴォイトは体当たりの熱演。

そしてこのあたりが、ヴォイトの主役スターとしてのピークで、85年「デザート・ブルーム(未)」、89年「エタニティ/永遠の愛」を後に何故かスクリーンから遠ざかってしまう・・・。 その後6年のブランクをおいてカムバック(?)をするのが

・95年「ヒート=Heat」(監督・マイケル・マン、出演・アル・パチーノ、デ・ニーロ、ヴァル・キルマー、ヴォイト、エイミー・ブレネマン、ナタリー・ポートマン)・・・尤もこれは徹底してパチーノ&デ・ニーロ二人の為の映画で(デ・ニーロの項で詳述)、ヴォイトを始め他の役者は印象が薄い。

 〜この後冒頭の作品群や、98年「The General」(監督・ジョン・ブアマン、出演・ブレンダン・グリーソン、エイドリアン・ダンバー、ヴォイト)、98年「フランダースの犬=A Dog of Flanders」(監督・ケヴィン・ブロディ、出演・ジェレミー・ジェームズ・キスナー、ジェシー・ジェームズ、ジャック・ウオーデン、ヴォイト)、99年「Noah‘s Ark」(監督・ジョン・アーヴィン、出演・ヴォイト、メアリー・スティンバージェン、ジェームズ・コバーン)、99年「Carsity Blues」(監督・ブライアン・ロビンス、出演・ジェームズ・ヴァン・ダー・ビーク、ヴォイト)と続いていく。

 ホットなエド・ハリス、デニス・ホッパー、クールなケヴィン・ベーコン、ジョン・マルコヴィッチに対してその間の、言わば常温=自然体の悪役としてこれから更なる活躍を期待したい。

 ところで1999年に突如大ブレークし、なんと出演僅か5本目の「17歳のカルテ=Girl,、Interrupted」(監督・ジェームズ・マンゴールド、主演・ウィノナ・ライダー)で、アカデミー助演女優賞を獲ったのがアンジェリーナ・ジョリー。

どこかで見たことのある顔だと思ったら、なんとヴォイトの愛娘であった。骨格、眼差し、それに分厚い唇まで親爺そっくりである。(親娘のそっくり度合いではヘンリー・フォンダ=ジェーン・フォンダと双璧であろう!) 彼女は2001年に入っても「ポアゾン」ではミステリアスなヒロイン役で大胆なヌードを披露、「トゥームレイダー」では体当たりのアクションプレイを快演!と大活躍。次第に悪女的雰囲気を高めてきており、今後益々楽しみな存在である。 全身に刺青をしているというが、刺青仲間(?)のミッキー・ロークのように、慢心して崩れることなく、更に成長していってもらいたい。

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