デミ・ムーア DEMI MOORE

(1962年、ニューメキシコ州生まれ)                                              

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   (初々しい時代)(素顔のままで)(同=大胆なポーズ)( チャーリーズエンジェル)

  03年・「チャーリーズエンジェル/フルスロットル=Charlie’s Angels/full throttle」(監督・マックG、出演・キャメロン・ディアス、ドリュー・バリモア、ルーシー・リュー、ムーア)・・・「オーステインパワーズ」を東の横綱とすれば、西の横綱といえそうな“お馬鹿映画”シリーズであるが(そういえば、オーステイン〜にはムーアも製作者として参加している!)、Uの悪役として颯爽!と登場したムーア。ビーチにおけるビキニ対決で、今が盛りのキャメロン・ディアス(72年生まれ・・・ホントを言うと、キャメロンは、なんか早くも盛りを過ぎちゃった感じだけどネ!)に決して負けないどころか圧倒するくらいのシャープなボディを惜しげも無く(?)披露して、観客をアッと言わせた。凄みのある雰囲気と、鍛えこんだ肉体の躍動は無敵のエンジェル達をたじろがせる姐御として貫禄充分で、ナンセンス・ストーリーにピリッとしたワサビを利かせていた。・・・ムーアは自身の肉体改造について、マイケルジャクソンの顔面改造にも劣らない執着心があるようで、時を隔てて見るたびにその変貌ぶりに驚かされる。

 デビュー後 B、C級映画であまりパッとしない演技を経て、90年・「ゴースト/ニューヨークの幻」のヒロイン役で大ブレイク。その後はこの人気をもとに、ロマンチック路線〜芸術路線を歩むかと思えばさに非ず。“私はそんなヒヨッコのお嬢さんじゃないわよ!”とばかり、大きなおなかの妊婦ヌードを雑誌に披露して露悪的な話題を取ったかと思えば、

 次は大きなお椀のようなシリコン豊胸!、今で謂うなら”スイカップ” =96年「素顔のままで=Striptease」(監督・アンドリュー・バーグマン、出演・ムーア、バート・レイノルズ、アーマンド・アサンテ)・・・ラジー賞受賞が納得のお粗末な作品!元FBIで、現在は(何故か!)ストリッパーというムーアのオッパイは見事すぎてお色気度ゼロ。それを唯一人正面からじっくりと眺めることが出来たお粗末議員役のバートは、あの“稼ぐスターナンバーワン”だった人がここまでみっともない役をやるかともう唖然呆然であるが、やっぱりオッパイ見たさに出たのかな?!

  そしてその次はシュワちゃんもスタローンも顔負けの逞しき筋肉ウーマン!/97年「G.I.ジェーン=/)G.I.Jane」(監督・リドリー・スコット、出演・ムーア、ヴィゴー・モーンテンセン=後に「ロード・オブ・ザ・リング」のヒーロー役でブレイク!=、アン・バンクロフト)・・・海軍情報部の女性将校・オニール大佐は男女平等を証明する絶好の機会と、特殊部隊の地獄の訓練に挑む・・・スコット監督は彼女の日頃の言動を見てこの作品を思いついたのであろうか?!

 それから最早場違いな感じさえする“ロマンチック・ファンタジー”の、00年「薔薇の眠り=Passion on mind」(監督・アラン・ベリルネール、出演・ムーア、ステラン・スカルスガルド)で、夢と現実を行きつ戻りつする主人公を演じたあとが、冒頭「チャーリーズ〜」の女悪党マディソン・リー役。そのスリムでシャープな体形は、恐らくハードなエクササイズ&ダイエットで鍛えこんだものであろう。少しスリムになりすぎで、リバウンドが心配なくらいではある。さてこの次はどんな変貌で観客をアッと言わせることであろうか?

 

ウィノナ・ライダー WINONA RYDER 本名 WINONA LAURA HAROWITZ

1971年 ミネソタ州・ウィノナ生まれ                                          

  

 日本人好みのやや小柄で可愛く整った美形で、黒い大きな瞳が魅力。実年齢よりは若く見え、お嬢様っぽい初々しい演技も堂に入っているが、若い頃よりなかなかの演技派。尤もその感情の起伏の激しさは演技力だけではなくて、生来のもの?・・・人気女優の道を歩んでいる最中の01年12月に、百貨店(サックス・フィフス・アヴェニュー)で万引きをして捕まってスキャンダラスな話題を振り撒くところなども、両親がヒッピーでコミューンで育ったという一寸変わった生い立ちが影響しているかもしれない。

 そうしたところを全て集約したような演技が96年・「クルーシブルThe Crucible」(監督・ニコラス・ハイトナー、出演・ダニエル・デイ=ルイス、ライダー、ポール・スコフィールド、ジョーン・アレン)・・・根は誠実な農夫ジョンとの不倫がその妻にばれて夫婦の家を出る破目になった召使の少女アビゲイル(=ライダー)なお執拗に関係を迫るが拒絶されるや復讐の怒りに燃えて、魔女狩りの悲劇へと夫婦を追い込んでゆく・・・17世紀マサチュセッツ州セイラムで実際に起きた集団発狂的な魔女狩り事件をもとに、アーサー・ミラーがマッカシー赤狩り批判を込めて書いた戯曲の映画化。

 不条理な魔女裁判に雄雄しく立ち向かう主人公ジョンの姿は見る者の心を打つが、自らの復讐の為に周りの少女たちを集団発狂的キツネ憑き状況に導くアビゲイル=ライダーの演技(当時25才だが、17〜8の乙女にしか見えない!)が圧巻。本当に悪魔が乗り移ったかと思えるほどで、ゾッとするくらいに怖い!おそらくスクリーン上の“コワ〜イ女”ベスト(?)・テン上位に入るのではなかろうか?!綺麗な瞳が瞬時にして夜叉のようなコワイ眼差しに変化するところがライダーの真骨頂である。

 それは00年・「オータム・イン・ニューヨークAutumn in New York」(監督・ジョアン・チェン、出演・リチャード・ギア、ライダー、ヴェラ・ファミーガ)のヒロイン役でも感じ取れる。・・・恋に酔う薄倖の乙女の清らかな表情が、たちまち、主人公の背信・背徳を追及する怒りの表情へと変化する辺りである。(・・・因みに本作品はN.Y.ってこんなに綺麗なトコだったの!と感動するくらい、映像の美しさにチェン監督のキャメラ・アイのセンスは感じ取れるものの、肝心の内容はというと、“勝手にやってれば!”という感じの、全く盛り上がらないラブストーリー)

 さいわい、万引き事件もどうやら起訴を免れたようであるが、華があって演技力があってと、このまま終わるのは勿体無い。今後は持ち前の演技力を生かして、いうならばケヴィン・ベーコンの向こうを張ったような線を期待したい。・・・美人にして一癖も二癖もあるような役柄で大いに楽しませてもらいたいものである。

 

レナ・オリン LENA OLIN

1955年 スウェーデン生まれ                                              

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   (蜘蛛女)      (「ショコラ」のオリン)

93年・「蜘蛛女=Romeo is bleeding」(監督・ピーター・メダック、出演・ゲイリー・オールドマン、オリン、ロイ・シャイダー、アナベラ・シオラ)・・・妻と愛人の間を行きつ戻りつしながらマフィアに情報を流して私服を肥やす悪徳ダメ警官ジャックをまるで蜘蛛の糸で絡め取るように破滅へと導く一匹狼の女殺し屋モナ=残虐で官能的な殺し屋を見事に演じて、強烈なインパクトを残した。

 サディスチックな衣装で上半身も顕わに義手を見せながらジャックを誘惑するシーンや、追い詰められた乗用車の中からアクロバティックな身のこなしで脱出するあたりの文字通り体当たりの演技が特に印象的で、ドライ、クール、シャープ、ワイルドな、型破りの悪女像を作り上げたといえよう。ところがこの映画は、いわゆる玄人受けのするフィルムノワールで、一般的人気を呼ぶところまではいかず、レナ入魂の熱演も彼女を一気ブレイクさせるにところまではいかなかった。

 その後暫くしてスクリーン上に彼女を拝見したのが00年・「ショコラ=Chocolat」(監督・ラッセ・ハルストレム、出演・ジュリエット・ビノシェ、ジュディ・デンチ、オリン、ジョニー・デップ、アルフレッド・モリーナ)・・・フランスのとある田舎町へ、木枯らしの吹く朝、北風に乗るようにして忽然と現れた不思議な母娘。この町は伝統と格式を重んじるコチコチのレノ伯爵に統率されていたが、母娘はチョコレートの魅力で因習に囚われた人々の心を解放していくという、見終わって心温まるファンタジックロマン。ビノシェのふんわりとした雰囲気がピタリで、又、老女役のデンチがホットチョコを啜るシーンなどは絶品。そしてその中にあって暴力亭主に虐げられる可哀想なジョセフィーヌ役のオリン。

・・・蜘蛛女から7年経ったオリンは、あのワイルドな官能振りはどこへやらで、もうすっかりおばさんの雰囲気。しかしながら暴力をふるうことでしか自分の気持ちを表せないダメ亭主から逃れて、チョコレート作りで自立した女へと目覚めていく、その哀れさから輝きを見せるまでの変化を見事に演じてじつに印象的であり、今後実力派のおばさん役者として貴重な存在たらんことを予感させた。

 ところで、彼女はハルストレム監督と結婚しており、本作での落ち着いた名演技もなるほど納得というわけである。“お幸せに、そして二人力合わせて名画を作っていってね!”と言いたいが、それにしてもあの蜘蛛女モナは夢か幻か!?・・・

 

休憩:監督と女優のカップル今昔

さて、ここでハルストレム監督とレナ・オリンというカップルが登場したところで、少し横道にそれて、監督女優のカップルの関係を見てみよう。 

俳優同志の結婚はその殆んどが破綻しているようであるが、女優=監督の関係は永続きするほうが多い。日本でも松竹ヌーベルバーグ派は、篠田 正浩岩下 志麻大島 渚小山 明子吉田 喜重岡田 麻莉子と、皆意外に(!)に永続きしている。(新東宝の、小野田 嘉幹三ツ矢 歌子なんてのもあったか!) これは監督は女優の扱いが上手ということもあろうが、妻が旦那の芸術性に憧憬を抱き続けることが出来る限り、その仲が続くということかもしれない。

 では、泰西ではどうかというと・・・古くはイタリアを代表する巨匠フェデリコ・フェリーニと名女優ジュリエッタ・マシーナ(「道」や「カリビアの夜」で有名)はまさに巨匠=大女優カップルの代表格で、しかも生涯を添い遂げているのはご立派。(しかしこういう“愛は永遠に!”というのはやはり希少価値のようである。)

イタリアの監督といえば・・・44年「ガス燈」でアカデミー主演女優賞を受け当時のハリウッドを代表する女優であったイングリッド・バーグマンはその栄光のさ中で、家庭を捨てて“ネオ・リアリスモ”の旗手ロベルト・ロッセリーニの許へと走り、アメリカ中から轟々たる非難を浴びハリウッドから追放された格好となった。彼女はそれに屈することなく大女優の道を歩んだが、二人の仲は5年しか続かなかった。やはり不倫では無理があったか?

そして、その僅か5年の間の、愛の結晶がイザベラ・ロッセリーニ。母親譲りの輝くような美貌の持ち主であるが、それがかえって災いしたか?女優としては大成しなかった。彼女はマーティン・スコセッシ監督(「タクシー・ドライバー」や「レイジングブル」等デ・ニーロとのコンビでの秀作が多く、01年「ギャング・オブ・ニューヨーク」が話題を呼んだ)と79年に結婚したが、4年後に離婚している。  

      

 (マシーナ)    (バーグマン)   (ロッセリーニ)

恋愛映画の本家フランスの、プレイボーイ監督といえば、なんといってもロジェ・ヴァディム。 最初の結婚相手がブリジッド・バルドー。彼女は18才の折、52年「Le trou normand」でデビュー。その小悪魔的魅力にピンときた!ヴァディムは即座に彼女と結婚してしまった。なんとも早業であることよ!そして56年「裸でご免なさい」(監督・マルク・アレグレ)の脚本を手掛け、同年自身の監督デビュー作「素直な悪女」の主役に愛妻バルドーを起用し、おおいに彼女の魅力を引き出す。この映画のヒットで自らは“官能派”としての評判を高め、またバルドーはフランスの新たなる“セックス・シンボル”としてその人気を世界的なものとしたのである。  しかし“好事魔多し!”で、多感奔放なB・Bは本作で共演したジャン=ルイ・トランティニャンと恋仲になり、57年にヴァディムと離婚。

ヴァディムが次に眼をつけたのが、カトリーヌ・ドヌーヴ。付き合いが始まったのが61年で、これも彼女がデビュー間もない18才のとき。そして62年「悪徳の栄え」でドヌーヴの魅力を引き出し、これで彼女の後のフランスを代表する大女優への道を開いたともいえる。63年には愛息クリスチャン(後に俳優)が生まれるが、同年正式に結婚することはなく別れてしまう。(以降二人の協作は1本もないのは、ドヌーヴの、女のケジメの故であろうか?)

戦後フランスを代表する女優2人を、まだ彼女達が“小娘”のときに見出し、育てた目利きは官能派の名に恥じない慧眼というべきであろう。

そして、次なる相手がジェーン・フォンダ。64年監督作品「輪舞」の主要人物の一人としてフォンダを起用し、これが縁で65年に結婚、まさに得意の早業である。そして66年「獲物の分け前」、67年「世にも怪奇な物語」と立て続けに彼女を起用。ジェーンは父親ヘンリー・フォンダに生き写しで、演技力はあっても雰囲気的には今ひとつ華に欠けていたのであるが、67年「バーバレラ」では、そんな彼女の女としてのコケティッシュな魅力を引き出し、世間をアッと言わせた。68年には女児が生まれ、今度は長続きするかと思われたが、時はヴェトナム戦争末期。ジェーンは政治的に目覚め、次第に反戦活動に身を入れるようになり、やがて73年には離婚してしまった。

ヴァディムと同世代のジャン=リュック・ゴダールは59年「勝手にしやがれ」(ジャン=ポール・ベルモンド、ジーン・セバーグ主演)で監督として鮮烈デビューし、ヌーベルバーグの旗手と謳われた。そして程なく、コペンハーゲン生まれでパリでモデルとして活動していたアンナ・カリーナを見い出し、60年「小さな兵隊」でデビューさせた。翌年二人は結婚し、以降61年「女は女である」(出演・J.P.ベルモンドジャン・クロード・ブリアリ、ジャンヌ・モロー)、62年「女と男のいる舗道」(共演サデイ・レポ)、64年「離れ離れに」(共演サミー・フレイ)と二人の二人三脚は続いたが64年に離婚。しかし、これはヴァディム=ドヌーヴと違って“理解離婚”なのか、その後も監督の申し出を受けて、65年「気狂いピエロ」(出演J・P・ベルモンド)、65年「アルファヴィル」(出演エディ・コンスタンティーヌ)、67年「メイド・イン・USA」(共演ラズロ・サボ)とゴダール作品への出演が続いたが、さすがに70年代以降は途絶えている。  

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  (バルドー)     (ドヌーブ)       (フォンダ)           (カリーナ)

大女優ジャンヌ・モローは48年映画界に入ったときに、20才で早くもジャン=ルイ・リシャールと結婚。モローが、54年「現金に手をだすな」あたりから売れ出し、ルイ・マル監督の57年「死刑台のエレベーター」で女優としての地位を不動のものとしたのに対して、リシャールが世に出るのは、それから遅れること約10年。フランソワ・トリュフォーの傑作63年「柔らかい肌」(出演ジャン・ダザイー、フランソワーズ・ドルレアック)の脚本からで、  64年には「マタハリ」を監督。モローは彼のために文字通り一肌もふた肌も脱いでいる。無名時代から17年近く続いた仲も、リシャールが世に出るのに合わせたかのように終焉を迎え、65年に離婚。(リシャールはその後、「華氏451」、そしてモローの「黒衣の花嫁」、そして「エマニュエル夫人」の脚本を手掛けている)

その後大女優の道を歩んだモローはピエール・カルダントニー・リチャードソン監督(「長距離ランナーの孤独」、「トム・ジョーンズの華麗な冒険」や「ブルー・スカイ」で切れのいい演出を見せた)のロマンスで名をはせたが結婚には至らず、77年に、どういうご縁があったのか?、なんと、ハリウッド監督のウイリアム・フリードキン(「フレンチ・コネクション」、「エクソシスト」の傑作がある)と結婚したが、これは2年で破局を迎えている。

パリ=ハリウッドの間で、いったいどういうご縁か?というケースでは、フィリップ・ド・ブロカ監督(「リオの男」や「カトマンズの男」のアクション派)は15才の年の差を越えて、活躍の場はハリウッドオンリーのマーゴット・キダー(クリストファー・リーヴ主演の「スーパーマン」のヒロイン、ロイス・レイン役で有名)と結婚。但し83〜84の僅か2年で破局を迎えている。  

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(キダー)             (テート)

 売れっ子監督の一人リュック・ベッソンは、97年「フィフス・エレメント」で抜擢したミラ・ジョボヴィッチにぞっこんとなり即結婚し、99年には大作「ジャンヌ・ダルク」でジャンヌ役に起用。これで彼女をシゴキ過ぎたか、はたまたミラが女優としての自我に目覚めたか、この年にアッサリと離婚している。

 ロマン・ポランスキーは‘33年パリ生まれ。ユダヤ人の血筋だが生粋のフレンチに負けない艶聞家といえよう。3才の時に家族でポーランドへ移住し、ユダヤ人狩りで逃亡生活を余儀なくされた。62年「水の中のナイフ」で一躍脚光を浴びやがてハリウッドへ進出。フランス女優のバルバラ・ラス(ルネ・クレマンとアラン・ドロンの「生きる喜び」が記憶に残る)と別れたあと、67年「吸血鬼」のヒロインに起用したシャロン・テートとその翌年に結婚。幸せが続くかと思われたが、69年8月にテートはチャールス・マンソンの狂信集団によって惨殺された。(享年26歳、お腹には赤ちゃんがいたというからなんとも痛ましい!)

 やはりこの精神的な痛手は大きかったか、77年に13才の少女レイプ犯として逮捕されるという破廉恥な事態を引き起こし、保釈中に欧州に逃れ、逃亡犯となった。88年「フランティック」で、主人公(ハリソン・フォード)の妻役に起用したエマニュエル・セニエ(92年「赤い航路」99年「ナインス・ゲート」の出演がある)と結婚。  

          

(ジョボヴィッチ)            (セニエ)

その後作品的には低迷期にあったが、02年「戦場のピアニスト」でアカデミー監督賞を受賞し、あらためてその才能を世界に再認識をさせた。尤も逃亡中(逮捕されれば懲役50年の刑とか!)とあって栄えある授賞式に出席することは叶わなかった。

さてアメリカでは、古くはヴィンセント・ミネリ(「巴里のアメリカ人」、「バンドワゴン」、「ブリガドーン」と、MGMミュージカル黄金期を支え、後に「炎の人ゴッホ」なんて異色作もある)ジュディ・ガーランドヴィクター・フレミング監督・「オズの魔法使い」のドロシー役で不滅)のカップルがある。ジュディがドロシーを演じたのが16才。その後彼女はミッキー・ルーニーの相手役をつとめ子役から女優への脱皮に成功し、44年ミネリの監督としての出世作となった「若草の頃」のヒロインを演じたことが契機となって翌年に結婚。しかしジュディが睡眠薬に溺れるようになり5年後に結婚生活は破綻。そして二人の娘がライザ・ミネリ(=72年、25才のときのデビュー3作目、「キャバレー」でアカデミー主演女優賞を獲得)

ブレイク・エドワーズ監督(TVの「ピーター・ガン」、「ティファニーで朝食を」、「酒とバラの日々」や「ピンク・パンサーシリーズ」などの洒落たコメディに才を発揮)と「サウンド・オブ・ミュージック」や「メリー・ポピンズ」のミュージカルスター、ジュリー・アンドリュースは、69年「暁の出撃」の監督=ヒロインを切っ掛けに結婚し、爾来二人はハリウッドの鴛鴦夫婦として有名。ジュリーが喉の手術の失敗で一時声を失うというアクシデントがあったが(しかし、ジュリーから声を奪うとは、神様も残酷なことをしなさる!)、その失意のどん底から復活し得たのもエドワーズ監督の支えあってのことであろうか!  

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 (ガーランド)          (ミネリ)     (アンドリュース)

 現代の巨匠!、スティーヴン・スピルバーグ監督とケイト・キャプショー。“今をときめいて”久しいスピルバーグ監督ならばその御相手は“選り取り見取り”状態であろうが、その監督が選んだ伴侶がなんと当時“バツいち&子連れ”のキャプショー。彼女はインディー・ジョーンズシリーズ第2作「魔宮の伝説」において、香港のナイトクラブのショーガールで最初から最後までキャーキャー(わめ)いていた何とも騒がしいヒロインを演じた。ジョーンズ博士はまかり間違ってもこんな騒々しい女を女房にはしないだろうな!と思ったものだが、実世界においては、スピルバーグが強いインパクトを受けたか(?)映画から7年後の91年にゴールイン。ケイトは女優業をセーブして、今や監督のマネージャー役として内助の功を存分に発揮しているらしい。なにしろ財布の紐をガッチリ握っているので、もし離婚となったら超巨額の慰謝料となるであろう。(ナニ?、余計な心配はするなって!)

超売れっ子のジェームズ・キャメロンゲイル・アン・ハード(85〜89)キャスリン・ビグロー(89〜91)リンダ・ハミルトン(97〜99)〜スージー・エイミス(00〜)と忙しい。

一人目のゲイルはSFXアクション専門のプロデューサーで、「ターミネーターT&U」、「エイリアンU」、「アビス」とキャメロン監督と組んでいる。妻というよりキャメロン育ての親みたいなものだ。彼女はこの他にも「トレマーズ」、「ダンテズ・ピーク」、「アルマゲドン」、「ターミネーターV」、「ハルク」といったようにこのジャンルでヒット作を次々と手掛けており、その敏腕振りはたいしたものである。尚、キャメロンとの前は、これ又後に人気監督となったブライアン・デ・パルマと結婚している。彼女は“あげまん”なのかもしれない。

二人目のビグローは、「ハート・ブルー」(キアヌ・リーブス刑事がサーファー殺人事件を追う)、「K−19」といったアクション専門の女流監督という変り種。

3人目のリンダ・ハミルトンは「ターミネーターT&U」の未来の救世主・ジョンの母親サラ・コナー役で有名。(眼の玉ギョロリで決して美人とは言えない!・・・キャメロンは結構イカモノ喰いなのかなあ?) 尤も結婚は「U」から6年後だが、ターミネーターが縁となったのは間違いないであろう。しかし蜜月は僅か二年で終わり、丁度キャメロンが「タイタニック」で当てた後とあって、ハミルトンは巨額の慰謝料をふんだくったらしい。

4人目のスージーは「ブローン・アウエイ」(=トミー・リー・ジョーンズの項で掲出)の共演が目立つ程度の殆んど無名に近い存在だが、「タイタニック」への出演が縁となったようで、いやあ、それにしてもキャメロン監督はお盛んそのもの!この後何人の女優と愛の遍歴を重ねることであろうか?・・・。

ゲイル・アン・ハードのところで名前が出た売れっ子監督ブライアン・デ・パルマはゲイルと別れた後、ナンシー・アレン(「ロボコップ」の婦人警官役が印象的!)と79〜83の間結婚。76年の「キャリー」(スティーヴン・キング原作のホラーもの)で若手の一人として彼女を起用したのが縁となった。結婚後の79年「Home movies」、80年「殺しのドレス」、81年「ミッドナイトクロス」と、パルマがシャープな映像感覚や優れたストーリー運びに才能の片鱗を示しながらもまだまだ低予算のB級作品を撮っていた頃にヒロイン役で貢献。例えばトラボルタと共演した「ミッドナイト〜」では州知事候補殺人に絡む美人局の相棒で、最後には殺されるという冴え無い役処。

ところで、パルマ監督の映画には殆んどオーソドックスな美女は登場しないが、そういえばナンシー・アレンもどちらかというと“ブス顔”で、なんとなくパルマ監督独特の“個性的な好み”が偲ばれる。  

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      (キャプショー)             (ハミルトン)     (アレン)

 ・・・とまあ、こんなところでしょうか。では又、本題の悪役列伝」に戻ることにしよう!

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