ショーン・ビーン SEAN BEAN

1959年 イギリス・ヨークシャー生まれ                                   

 やや憂いを帯びてそして苦みばしった鋭いまなざしが印象的な、シャープな悪役としてファン層を広げているのがビーン。

 04年の「トロイ=TROY」(監督・ウォルフガング・ペーターゼン、出演・ブラッド・ピット、エリック・バナ、オーランド・ブルーム、ダイアン・クルーガー)では知将オデュッセイアに扮して出番は少ないもののキラリと光っていた。(・・・この作品はペーターゼンがリドリー・スコット=「グラディエーター」の向こうを張ったような、実写とCGを融合したスペクタクル史劇で、ホメロスの原作(?)を大胆に解釈した脚本とシャープな映像、そしてピットの肉体美(!)で結構面白かったが、ヒロインの”トロイのヘレン”=クルーガーが美人でなかったことと、ガブリエル・ヤーレの音楽が凡庸であったことが残念!)

 その前は「ロード・オブ・ザ・リング=the Lord of the Rings」3部作を通して、ゴンドールの執政の長男で、フロド等と共に指輪を捨てる旅に出て、その途中、指輪の魔力に負けてしまうボロミア役を好演した。

 オッと、こう並べると「なんだ、悪役じゃないじゃないか!」とのお叱りを受けそうであるが、彼が脚光を浴びたのが、

・92年「パトリオット・ゲーム=Patriot Games」(監督・フィリップ・ノイス、出演・ハリソン・フォード、アン・アーチャー、パトリック・バーギン、ショーン、サミュエル・L・ジャクソン、ジェームズ・アール・ジョーンズ、リチャード・ハリス)のIRAのテロリスト=ショーン・ミラー役。・・・この映画は後に続くジャック・ライアン・シリーズの中でも原作の持つ味わい(=特にライアン一家がテロリスト達に襲われて体験する恐怖とサスペンス)を忠実に映像化して出色の出来映えで、それだけにテロリストのリーダー役を演じたショーンの演技が特に印象的であった。そしてそれからしばらくTV映画出演等が続き、

・95年「when Saturday  comes」(監督・マリア・ギース、出演・ショーン、エメリー・ロイド)・・・サッカー根性ものサクセスストーリーで、初の主演!

・95年「ゴールデン・アイ=Golden Eye」(監督・マーティン・キャンベル、出演・ピアース・ブロスナン、ショーン、イサブル・スコルプコ、ファムケ・ヤンセン、ジョー・ドン・ベイカー、ジョディ・デンチ)・・・ブロスナンがボンドを演じた「新生・007」で結構評判の高かった作品。ここでショーンはボンドの親友006のアレックで、しかしてその実体はというと、テロリストのトラヴェリヤンという役どころ。前半は誠実そうで、本当は凄腕のテロリスト!という、007シリーズで最も意外な役割で印象的ではあった。(・・・但し、私に言わせれば、MI6のシングルナンバーに裏切り者がいるという設定は”禁じ手”で、エンタテインメントにしても断じて許されないことである!)

・97年「アンナ・カレーニナ=Anna Karenina」(監督・バーナード・ローズ、出演・ソフィー・マルソー、ショーン)では、アンナと恋に落ちるブロンスキーという”おいしい”役。

・98年「RONIN」(監督・ジョン・フランエkンハイマー、出演・ロバート・デ・ニーロ、ジャン・レノ、ナターシャ・マケルホーン、ショーン)・・・アクションの鬼才・フランケンハイマーもアルツハイマーになったのではないか?というくらい、役者をそろえたにも拘わらず、ちっとも面白くなかった作品。ここでのショーンは狩り集められたれた元スパイ達の中で、武器調達係。デ・ニーロとレノの間に挟まると貫禄負けの感じ。

・01年「サウンド・オブ・サイレンス=Don't say a word」(監督・ゲイリー・フレダー、出演・マイケル・ダグラス、ショーン、ブリタニー・マーフィー)・・・原タイトルと全く違う邦題 (=一種の意訳?) で、サイモンとガーファンクルが知ったら、提訴しそうな感じではあるが、それはさておき、誘拐犯と被害者の精神科医夫婦、犯人を追う女性刑事が、息詰まるようなサスペンスを展開させ、シナリオと演出の冴えを見せた作品。ここでのショーンは徹底して冷酷な犯人像を見事に演じている。

 こうして、本格悪役は僅か3本ながら強烈な印象を残しており、さすがロンドン王立演劇アカデミー出身者だと納得!04年でも40歳台後半であり、今後益々活躍してもらいたい!

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