懐かしのスクリーンミュージック
(1998/10)
序
章
関 光夫氏が亡くなった。ディスクジョッキ−の草分け的存在であったとの新聞解説。氏独特の低音でソフトな語り口が懐かしい。昭和40年代、FM−NHKで月に一度、2時間の彼の番組「スクリ−ンミュ−ジック」を楽しみにしていたものだ。
最近セリ−ヌ・ディオンが歌う「タイタニック」の主題歌「マイハ−ト・ウイル・ゴ−・オン」が映画そのものの大ヒットとともに話題になったが、映画音楽がヒットチャ−トに登るのは本当に久し振りのような気がする。
タイタニックの音楽はジェ−ムズ・ホ−ナ−、アイリッシュ音楽が巧みに取入れられており、メル・ギブソンが製作・監督・主演してアカデミ−賞を取った「ブレイブハ−ト」―但しこちらは古代スコットランドが舞台―の曲質とどこか似ているなと思ったら、やはりホ−ナ−だ。
彼は79年から登場だからビッグネ−ムの中ではまだ若いほうで、「コク−ン」、「フィ−ルド・オブ・ドリ−ムス」のような爽やかな音が持ち味だ。「アポロ13」も適度に抑えて且つ格調高いメロディで作品を盛上げている。「エイリアン2」、「ペイトリオットゲ−ム」、「身代金」のようなサスペンス、更に「戦火の勇気」、「ディ−プインパクト」、「マスク・オブ・ゾロ」と話題作を次々と手掛けており、2000年代のトップ作曲家の地位を占めるであろう。
70年代、高度成長の最中で日本映画は既に衰退への道を辿っていたが、洋画はまだまだ話題作も多く、映画音楽がヒット上位に登場することも度々であった。従ってラジオ放送に映画音楽が掛かることも多かったが、関さんの番組の特徴、いいところは全てオリジナルサウンドトラックでやってくれるところにあった。
また所謂芸術作品に偏ることなく、私の好きなエンタテインメント系も含め、あらゆるジャンルの映画音楽を紹介してくれたのも彼ならではのことであった。(そして解説の声が音楽にかかることも無かった)それで月に一度の放送を待望んで、出来る限りをエアチェック(録音)したものだった。関さんの冥福を祈りつつ、彼の解説で心に残っているメロディ−を思い起して口ずさんでみよう。