戦争もの
ロレンスもジバゴもともに監督は巨匠デヴィッド・リ−ン、彼と大物プロデュ−サ−、サム・スピ−ゲルが「〜ロレンス」の前に組んだもう一本の傑作が「戦場に架ける橋」(アレック・ギネス、ウイリアム・ホ−ルデン、早川雪洲主演)で、ヒットしたその主題曲が「クワイ河マ−チ」(マルコム・ア−ノルド音楽)。戦争もののマ−チへ連想を広げると、「大脱走」(S・マックィ−ン、J・ガ−ナ−、リチャ−ド・アッテンボロ−主演)がある。 「荒野の七人」と同じJ・スタ−ジェス監督とE・バ−ンスタインによる傑作(作品、音楽共に)だ。
エルマー・バ−ンスタインは22年ニュ−ヨ−ク生まれ。西部劇、スペクタクル史劇、アクション、戦争物、コメディ(「アニマルハウス」=ジョン・ランディス監督の演出とジョン・ベル−シの破天荒な怪演が冴える。そして「ゴ−スト・バスタ−ズ」=アイヴァン・ライトマン監督、ビル・マ−レイ、ダン・エイクロイド、シガニ−・ウイ−バ−主演)、スリラ−(「見えない恐怖」=リチャ−ド・フライシャ−監督、ミア・ファ−ロ−主演)、SF(「風の惑星/スリップストリ−ム」=スティ−ヴン・リズバ−ガ−監督、マ−ク・ハミル主演)、シリアス(「アラバマ物語」=ロバ−ト・マリガン監督、グレゴリ−・ペック主演)、ミュ−ジカル(=「モダン・ミリ−」)とあらゆる分野に亘って、音楽性が高く印象の強い作品を数多く送り出しているのは、D・ティオムキンと双璧といえようか。
51年のデビュ−以降の作品は190本近くとなり、80才近くとなった今も活躍しているからそのエネルギ−は凄い。(99年にもウイル・スミス主演の西部劇「Wild,Wild
West」、ミシェル・ファイファ−主演の「Deep end of the Ocean」と活発な創作活動が続いている)
他に戦争物で、「ナバロンの要塞」(J・リ−・トンプソン監督、G・ペック、D・ニ−ヴン主演)のメロディはD・ティオムキンの個性・特徴がよく出て軽快で勇ましい。ア−ネスト・ゴ−ルドの「栄光への脱出」(オット−・プレミンジャ−監督、P・ニュ−マン、E・M・セイント主演)のテ−マも勇壮だ。なにしろイスラエル建国を正面からテ−マにしているだけに、今この映画を製作したらアラブのテロで大変なことになりはしないか?ハリウッドの裏のユダヤ資本の力を更めて思い知る。
ロマンチックムービー
ロマンチック派の第一人者がヘンリ−・マンシ−ニ(1924〜94、クリ−ヴランド生)
。54年「グ
先ずブレイク・エドワ−ズ監督(ジュリ−・アンドリュ−スの旦那)とのコンビで、オ−ドリ−・ヘップバ−ンの「ティファニ−で朝食を」の「ム−ンリヴァ−」、ジャック・レモンの「酒とバラの日々」、トニ−・カ−チス、ナタリ−・ウッドで「グレ−トレ−ス」の「スイ−ト・ハ−ト・ツリ−」といった名曲がある。
続いてスタンリ−・ド−ネン監督とオ−ドリ−の「シャレ−ド」そして「いつも二人で」、・・・このあたりがマンシ−ニの絶頂期か―、ド−ネンとは「アラベスク」(グレゴリ−・ペック主演)もある。ビットリオ・デ・シ−カ監督の「ひまわり」(S・ロ−レン、マルチェロ・マストロヤンニ主演)もセンチメンタルで奇麗な曲だ。
尤も一方で、「ハタリ!」(ハワ−ド・ホ−クス監督、J・ウェイン主演)の 「ベィビ−・エレファント・ウオ−ク」、「ピンクパンサ−」シリ−ズ(B・エドワ−ズ監督、ピ−タ−・セラ−ズ=クル−ゾ−警部),
ピ−タ−ガン」(これは主にTV)のような軽快なタッチの作品もあるから流石幅が広い。
しかし24年生まれの彼は50才代にして早くもその才能が尽きたか、79年に久々B・エドワ−ズ監督と組んだ「テン」(ボ−・デレク主演)以降は、ピンクパンサ−シリ−ズを軽く手掛ける以外は殆ど話題作とは無縁になった。トピ−・フ−バ−監督のSFホラ−「スペ−スバンパイア」(スティ−ヴ・レイルズバック、マチルダ・メイ主演)、そして「ゴ−ストパパ」(シドニ−・ポワチエ監督、ビル・コスビ−主演)、漫画の「トムとジェリ−の大冒険」あたりが目につく程度とはチト寂しいことであった。
他にロマンチック、ム−ディな曲を思い出していくと・・・・先ずはビリ−・ワイルダ−監督、ゲィリ−・ク−パ−とオ−ドリ−の「昼下がりの情事」から「魅惑のワルツ」―作曲はフランツ・ワックスマン、彼はこの後同じくワイルダ−監督の「翼よあれが巴里の灯だ」、オ−ドリ−の「尼僧物語」、クリスチ−ネ・カウフマンが可憐な(トニ−・カ−チスもそう思い、この共演で結婚した)「隊長ブ−リバ」(J・
リズ、バ−トン共演の「いそしぎ」の「The
shadow of your smile」(作曲はジョニ−・マンデル)も名曲だ。名女優ベティ・ディヴィスが老いをものともせず挑んだスリラ−「ふるえて眠れ」の主題歌「お眠りシャ−ロット」はパティ・ペイジのソフトな歌唱でヒットした。
ダスティン・ホフマンとキャサリン・ロスの清新な演技で60年代の青春映画のシンボルと言える「卒業」(マイク・ニコルズ監督)には、サイモンとガ−ファンクルで「スカボロフェア−」、「サウンド・オブ・サイレンス」そして「ミセスロビンソン」と三曲もある。
同じ時代の「青春の光と影」(ティム・バックレ−/ホ−ル・バ−トレット監督、ケイト・レイン主演)は映画の印象は薄いが、ジュディ・コリンズの爽やかな歌声が印象に残る。
溯って、ヒッチコック監督の「知りすぎていた男」から「ケ・セラ・セラ」はドリス・デイが歌ってヒットした。「愛情物語」(ジョ−ジ・シドニ−監督が名ピアニスト・エディ・デュ−チンの生涯をタイロン・パワ−、キム・ノヴァク主演で描いた)の華麗なるピアノの調べは聞く者の心を豊かにさせてくれる。