巨匠!ゴールドスミス

ラロ・シフリンの「スパイ大作戦」とジャンルが同じなら、メロディタッチも似ているのが「アンクルから来た男」=0011/ナポレオンソロ(ロバ−ト・ヴォ−ン、ディヴィッド・マコ−ラム主演)で、作曲はジェリ−・ゴ−ルドスミス。彼は「ベン・ケ−シ−」や「ドクタ−.キルディア」等多くのTV作品を手掛けてから映画の世界へ進出、ソロの曲としての決定打に欠ける為我が国では「知る人ぞ知る」という存在だが、あらゆるジャンルで実に数多くの作品を創っている。

「野のユリ」(ラルフ・ネルソン監督の佳作、シドニ−・ポワチエが黒人として初のアカデミ−賞受賞、黒人霊歌「Amen」が印象的)、「電撃フリント・ゴ−ゴ−作戦」(ダニエル・マン監督、ジェ−ムス・コバ−ンのとぼけた味で押したチョイと軽いスパイもの)、「砲艦サンパブロ」(ロバ−ト・ワイズ監督、S・マックィ−ン、R・アッテンボロ−、キャンディス・バ−ゲン主演、日本人の岩松マコも出ている)、リメイク版の「駅馬車」(ゴ−ドン・ダグラス監督、アレックス・コ−ド、アン・マ−グレット主演)、「ブル−マックス」(ジョン・ギラ−ミン監督、ジョ−ジ・ペパ−ド、ジェ−ムス・メイスン、ウルスラ・アンドレス主演)、そして「猿の惑星」シリ−ズ(第一作はフランクリン・J・シャフナ−監督、C・ヘストン、ロディ・マクドウォ−ル、キム・ハンタ−主演・・・ジョン・チェンバ−スの猿の特殊メイクが話題を呼んだSF映画の傑作の一つで、無機質で不気味な感じのメロディもまたジェリーの傑作といえるであろう)

 「パットン大戦車軍団」(F・J・シャフナ−監督、ジョ−ジ・C・スコットが戦術の天才パットンの奇矯振りを熱演)、「トラ!トラ!トラ!」(R・フライシャ−&深作欣二監督、マ−チン・バルサム、山村  聡、ジョセフ・コットン主演)、「パピヨン」(F・J・シャフナ−監督、S・マックィ−ン、D・ホフマン主演・・・絶海の孤島の牢獄からの脱出劇―アンリ・シャリエ−ルの実話に基づく原作が生きる)、「風とライオン」(ジョン・ミリアス監督、ショ−ン・コネリ−、C・バ−ゲン主演)。

 (まだまだ続くぞ!)「オ−メン」(第一作はリチャ−ド・ドナ−監督、G・ペック、リ−・レミック主演)シリ−ズ、「カサンドラクロス」(ジョ−ジ・P・コストマス監督、B・ランカスタ−、S・ロ−レン主演)、「カプリコン・1」(ピ−タ−・ハイアムス監督、エリオット・グ−ルド、ジェイムス・ブロ−リン主演・・・アポロの月着陸は虚構で、NASAの陰謀だとすると…と連想させる)。

 それから彼の代表作品と言える「エイリアン」(リドリ−・スコット監督、ジョン・ハ−ト、シガニ−・ウイ−バ−

主演)これは没個性=良く言えば変幻自在のゴ−ルドスミスにしては珍しく個性的で印象の強い曲だ。シリー

ズ物の場合、彼は原則のようにシリ−ズ全ての音楽を手掛けているが、「エイリアン」は第二作の監督がジェ−ムス・キャメロンで、彼は音楽にジェ−ムス・ホ−ナ−を起用した為、それ以降3,4作と音楽は別人。しかしゴ−ルドスミスのこの主旋律は、シリ−ズのシンボルとして必ず登場している。

 更には、「スタ−トレック」(第一作はロバ−ト・ワイズ監督、ウイリアム・シャトナ−、レナ−ド・ニモイ主演)シリ−ズ、「大列車強盗」(マイケル・クライトン監督、S・コネリ−・ドナルド・サザランド、レスリ−・アン・ダウン=主演)「ス−パ−ガ−ル」(ヤノット・シュワルツ監督、ヘレン・スレイタ−、フェイ・ダナウェイ主演)、「グレムリン」(ジョ−・ダンテ監督、ザック・ギャリガン、フィ−ビィ・ケイツ主演)、「ランボ−」(第一作はテッド・コチェッフ監督、シルベスタ−・スタロ−ン主演)シリ−ズ、「ト−タルリコ−ル」(ポ−ル・ヴァ−ホ−ヴェン監督、A・シュワルツネッガ−主演、妻役のシャロン・スト−ンは本作品では未だ存在感の薄い単なる美人女優、この翌年「ガラスの塔」、そして「氷の微笑」―ヴァ−ホーヴェン監督―で忽ち悪女ナンバ−ワンへと大変身!)、「エアフォ−スワン」(ウォルフガング・ペ−タ−ゼン監督、ハリソン・フォ−ド、ゲイリ−・オ−ルドマン、グレン・クロ−ズ主演)、ディズニ−アニメの「ム−ラン」、「スモ−ルソルジャ−ズ」(ジョ−・ダンテ監督)等々。

  29年生まれのジェリ−は、弱冠19才でユル・ブリナ−が監督のTV「スタジオ・ワン」シリ−ズでデビュ−以降、TV・劇映画の両分野に亘って、A級、B級を問わず娯楽路線中心に創り続けて50年、今やその作品数は実に250本(含・TV作品)に迫ろうとしている。まさに作品の裏方に徹した映画音楽の職人とは彼のことである。

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