ジョン・バリー


007シリ−ズの音楽の主役はジョン・バリ−。第一作「ドクタ−・ノ−」(テレンス・ヤング監督、敵役・ジョセフ・ワイズマン、初代Bond Girl・ウルスラ・アンドレス)のタイトルバックに流れる「ジェイムス・ボンドのテ−マ」(これはモンティ・ノ−マン作曲)も切れ味鋭いが、T・ヤング監督会心のシリ−ズ第2作「ロシアより愛をこめて」(敵役・ロバ−ト・ショウ、BG・ダニエラ・ビアンキ・・・歴代の中で彼女が最高!)でマット・モンロ−唄う主題歌は映画とともに大ヒットし、以後のスタイルを決めた。

シャ−リ・−バッシ−のハスキーでパンチの効いた歌声が印象的な 「ゴ−ルドフィンガ−」(ガイ・ハミルトン監督、敵役・ゲルト・フレ−ベ、BG・オナ−・ブラックマン)と、 「ダイヤモンドは永遠に」(G・ハミルトン監督、敵役・チャ−ルズ・グレイ、BG・ジル・セント・ジョン)、トム・ジョ−ンズのパワフルでダイナミックな「サンダ−ボ−ル」(T・ヤング監督、敵役・アドルフォ・チェリ、BG・クロ−ディ−ヌ・オ−ジェ)、そして一転ナンシ−・シナトラのムーディでロマンチックな「007は二度死ぬ」(日本ロケ作品、ルイス・ギルバ−ト監督、敵役・ドナルド・プレザンス、BG・浜 美枝、若林 映子、タイガ−田中役で丹波 哲郎)の主題歌・「ユ−・オンリ−・リヴ・トゥワイス」―このあたりが、007ミュ−ジックの最も輝いた頃であった。

 他にバリ−の007は「女王陛下の007」、「黄金銃を持つ男」、「ム−ンレイカ−」、 「オクトパシ−」、「美しき獲物たち」、「リビング・デイライツ」とある

33年生まれのバリ−はイギリスを代表する映画音楽家であり、59年のデビュ−以来40年間で007シリ−ズ11本の他に70本を超える作品がある。先ず「野生のエルザ」(ジェイムス・ヒル監督、ヴァ−ジニア・マッケンナ、ビル・トラヴァ−ス、主演)の主題歌「ボ−ンフリ−」は、「ロシアより〜」のM・モンロ−が唄ってこれ又ヒット、アンディ・ウイリアムスもオハコの一曲だ。

 続いてメロディが印象深いのを挙げていくと・・・「さらばベルリンの灯」(ジョ−ジ・シ−ガル主演)は「Wednesday’s  child」という主題歌が奇麗だ。「真夜中のカウボ−イ」(ジョン・シュレジンジャ−監督、ジョン・ボイド、ダスティン・ホフマン主演)ではニルソン唄う主題歌「噂の男」がヒットした。「フォロ−・ミ−」(ミア・ファ−ロー、トポル主演)はキャロル・リ−ド監督の爽やかなスト−リ−運びにマッチした音楽であった。「愛と悲しみの果て」(シドニ−・ポラック監督、メリル・ストリ−ブ、R・レッドフォ−ド主演)は何故かこの年のアカデミ−賞の主要7部門(作曲賞も含め)を独占した。

 そしてケヴィン・コスナ−製作・監督・主演でやはりアカデミ−賞7部門(オリジナル作曲賞を含め)を取ったのが「ダンス・ウイズ・ウルヴス」である。(余談ながら、その後「ウオ−タ−ワ−ルド」、「ポストマン」とかの大愚作が多いコスナ−にとって、これは彼の生涯のベスト1だろう)

F・コッポラ監督も彼の才能に惹かれたか、製作総指揮の「ハメッド」(ヴィム・ベンダ−ス監督)に起用した後、「ペギ−・ス−の結婚」(なんとキャスリ−ン・タ−ナ−が17才の高校生にタイムスリップするのにはビックリ!ニコラス・ケイジの甘いリ−ゼントスタイルもムリ筋乍ら、コッポラの演出がカヴァ−)、「コットンクラブ」(リチャ−ド・ギア、グレゴリ−・ハインズ主演)でも登用している。

他に話題作(音楽そのものの印象はやや薄いが)では、大物プロデュ−サ−・ディノ・ディ・ラウレンティスがリメイクした「キング・コング」(ジョン・ギラ−ミン監督、ヒロイン役でデビュ−したジェシカ・ラングは短命の美人女優と思ったら、その後アカデミ−賞の実力派女優へと大変身)、「ロビンとマリアン」(リチャ−ド・レスタ−監督の秀作、S・コネリ−、A・ヘップバ−ン主演・・・007を降りたコネリ−がカツラを外して、初めて素に近い容貌で登場、その後の大活躍は茲から始ったような気がする)、「白いドレスの女」(ロ−レンス・カスダン監督、ウイリアム・ハ−トの善良さと対照的にキャスリ−ン・タ−ナ−の艶やかな悪女振りが見事)といった作品がある。

更には「レイズ・ザ・タイタニック」―これも余談であるが、ジェリ−・ジェイムソン監督、未だコンピュ−タ−グラフィックの無い時代にどう撮ったか、タイタニックが海中から浮上するシ−ンは見応えがあったが、作品全体の出来栄えは×で、原作の持つワクワクするような面白さを表現出来ず、原作者クライヴ・カッスラ−もこれに懲りたか、我が愛読の大冒険小説・ダ−ク・ピットシリ−ズの映画化は以降皆無。ハリソン・フォ−ド主演でヒットを続けるトム・クランシ−原作のジャック・ライアンシリ−ズと対照的である。

 続いて、「チャ−リ−」(R・アッテンボロ−監督がチャップリンを伝記化、若きチャ−リ−に扮したロバ−ト・ダウニ−Jr.のソックリさん演技が光る)、「スペシャリスト」(S・スタロ−ンとシャロン・スト−ンの絡みが凄かった!)あたりが挙げられる。兎に角、J・バリ−は英・米を股に掛けての大活躍だ。

 ところで、007シリ−ズはイオンプロ―アルバ−ト・R・ブロッコリ−とハリ−・サルツマン主宰―の製作になるが、途中で1作だけ「七年目の浮気」のプロデュ−サ−、チャ−ルズ・K・フェルドマンが権利を取り製作したのが「カジノロワイヤル」、これはピ−タ−・セラ−ズ、ディビッド・ニ−ヴンに、初代ボンドガ−ルのU・アンドレス等も加えた豪華オ−ルスタ−キャスト乍ら、結果は大愚作で、唯一バ−ト・バカラックの音楽とティファナブラスの演奏のみが光っていたのは皮肉だ。

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