ミュージカル

 最後にくるのはミュ−ジカル。10年程前、ニュ−ヨ−クで二泊した時の一夜は躊躇わずブロ−ドウエイへ――当時の人気公演は「ジェロ−ムロビンス・ブロ−ドウエイ」。ロビンスがオスカ−・ハマ−ステインU世達と製作したミュ−ジカルの総集編で、名場面・ヒットメロディが次々と演じられ舞台英語が分からずとも豊かな気分になれたところがミソであった。

 小生にとって、ミュ−ジカルの記憶はジ−ン・ケリ−のダンスから始る。ケリ−とシナトラのコンビで「錨を上げて」(ジョ−ジ・シドニ−監督)、そして「踊る大紐育」(G・ケリ−&スタンリ−・ド−ネン監督)―冒頭の「ニュ−ヨ−ク、ニュ−ヨ−ク」はシナトラの歌のみぞ知る。ジョ−ジ・ガ−シュインの名曲が流れる「巴里のアメリカ人」(ヴィンセント・ミネリ監督、レスリ−・キャロン共演)、そして「雨に唄えば」(G・ケリ−&S・ド−ネン監督、デビ−・レイノル共演)のあの雨中のダンスと歌の名シ−ンは何度見ても素晴らしい。

ガ−シュインの原作を映画化したのが「ポギ−とベス」(オット−・プレミンジャ−監督、S・ポワチエ、ドロシ−・ダンドリッジ、サミ−・ディヴィスJr等オ−ル黒人キャストなのがユニ−クだ)、この中の名曲が「サマ−タイム」。本作品の音楽監督をしたアンドレ・プレヴィンが音楽担当として携わった名作が、オ−ドリ−・ヘップバ−ンとレックス・ハリソン主演の「マイ・フェア・レディ」(ジョ−ジ・キュ−カ−監督)、ブロ−ドウエイの舞台ではジュリ−・アンドリュ−スの当り役(花売り娘・イライザ)を奪ったオ−ドリ−の歌は残念乍ら吹き替えだが、ハリソンの歌が本人だとするとたいしたものだと感心する。この中では「踊り明かそう」と「運がよけりゃ」が印象に残る。

オスカ−・ハマ−ステインU世リチャ−ド・ロジャ−スの名コンビの音楽による3大ヒット作、先ずは「王様と私」(ウオルタ−・ラング監督、ユル・ブリナ−、デボラ・カ−主演)から「シャル・ウイ−・ダンス?」、次に「南太平洋」(ジョシュア・ロ−ガン監督、ミッツィ・ゲイナ−、ロッサノ・ブラッツイ主演)の「バリハイ」もいい。

そしてジュリー・アンドリュースとクリストファー・プラマー主演の「サウンド・オブ・ミュージック」(ロバート・ワイズ監督)、これはアルプスを舞台にした画面も素晴らしいが、タイトル名の主題歌のほかに、「ドレミの歌」、「全ての山に登れ」、「一人ぼっちの山羊飼い」、そして「エーデルワイス・・・真面目なプラマーの歌唱がなかなかいいですよ!」といい曲が多い。「マイ・フェイヴァリット・シングス」は今やジャズのスタンダードナンバーになっている。

ジュリ−は次にディック・ヴァン・ダイクとの共演で、ディズニ−・ミュ−ジカルの「メリ−ポピンズ」(ロバ−ト・スティ−ヴンソン監督、シャ−マン兄弟音楽)がある。この中の「チム・チム・チェリ−」はディズニ−サウンドらしい楽しい曲だ。そして、「モダンミリ−」(ジョ−ジ・ロイ・ヒル監督、音楽はE・バ−ンステイン&A・プレヴィンで、キャロル・チャニング、ジェ−ムス・フォックス共演)、同名の主題歌は軽快なピアノのタッチに20年代の〈モガ〉の雰囲気がよく出ている。(この後の「スタ−!」はR・ワイズ監督とのコンビということで期待させたものの、空振りに終わった)

G・ケリ−が52年の「雨に唄えば」以来、実に17年振りにミュ−ジカルのメガフォンを取ったのが「ハロ−・ド −リ−」(バ−ブラ・ストライザンド、ウオルタ−・マッソ−、ルイ・ア−ムストロング主演)、同名の主題歌は元気の出る名曲だ。ライザ・ミネリの「キャバレ−」(ボブ・フォッシ−監督、ラルフ・バ−ンズ音楽、マイケル・ヨ−ク共演)も又、エネルギッシュでいい。

ヴェトナム反戦ミュ−ジカル・「ヘア−」(ミロシュ・フォアマン監督、ガレト・マクダ−モット音楽、ジョン・サヴェ−ジ主演)の「アクエイリアス」、「屋根の上のバイオリン弾き」(ノ−マン・ジェイソン製作・監督、ジョン・ウイリアムス音楽、トポル主演)の「サンライズ・サンセット」も心に残る名曲だ。

 ミュ−ジカル映画数多(あまた)ある中で、やはり何といっても最高なのは「ウエストサイド物語」(リチャ−ド・ベイマ−、ナタリ−・ウッド、ジョ−ジ・チャキリス主演)。作曲はクラシック界の巨匠、レナ−ド・バ−ンステイン(元ニュ−ヨ−ク・フィル常任指揮者)だ。ロバ−ト・ワイズとJ・ロビンス(共同監督)の切れのいい演出と振付けが冴える。歌もダンスもいつ見ても常にコンテンポラリ−で、永遠に輝きと新鮮さを失うことのない、ミュ−ジカル映画の最高峰だ。「トゥナイト」、「マリア」は何もいうことはない。「アメリカ」、「プエルトリコ」もいい。そしてチャキリス達のダンスも!。

(因みに極めて独創的で、且つ印象的なタイトルデザインを創ったのがソウル・バス。タイトルデザイナ−という役割でスタッフとしてスクリ−ンに名前が出て、世に名前を知られるのは彼くらいのものであろう。50〜60年代にかけて多くの傑作タイトルデザインを残している。―「黄金の腕」「大いなる西部」「スパルタカス」「栄光への脱出」「サイコ」「オ−シャンと11人の仲間」「おかしな、おかしな、おかしな世界」―そして95年マ−チン・スコセッシ監督、R・デ・ニ−ロ主演の「カジノ」が彼の遺作となった。)  

ビバ!モンロー


 、こうして関さんのソフトな低音の語り口とともに、数多くのスクリーン・ミュージックをリフレインしてきたが、やはり最後はマリリン・モンローでしょう。彼女こそは天空の大神が地上に贈り賜いた、愛のミューズ(=女神)と言えましょう。
モンローミュージカルは「紳士は金髪がお好き」(ライオネル・ニューマン 音楽、ハワード・ホークス=あのハタリ!のアクション 監督=、元祖肉体女優のジェーン・ラッセル共演)から始まって、「ショーほど素敵な商売はない」(アーウィン・バーリン音楽、ウオルター・ラング監督<エセル・マーマン主演)、「恋をしましょう」(アール・H・ヘイゲン音楽、名匠・ジョージ・キューカー監督、この映画で共演のイヴ・モンタンと本当に恋をしてしまった・・・モンタン夫人のシモーニュ・シニョレが自殺未遂の大騒ぎとなった) と結構あるのだ。・・・そう!、「ナイアガラ」(ソル・カプラ音楽、ヘンリー・ハサウェイ監督、ジョセフ・コットン共演)から、あの甘い 歌声の「KISS!」に乗せて、感謝 の想いを天国に届けよう!                                                                                (完)

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