グラ

(2013/5・7〜5・16)

 

はじめに

「グランドサークル」とは、アリゾナ州とユタ州の州境にある巨大人造湖のパウエル湖を中心に半径230kmの円を描いたときに含まれるエリアの呼称。此処にはグランドキャニオンをはじめ多くの国立公園や素晴らしい自然景観の場所が数多く含まれており、それ等の絶景を巡るツアーに一度は行ってみたいと思っていました。

今年の初夏は、当初イギリス旅行を考えていましたが、クラブツーリズムからグランドサークル内の有名スポットを廻り、その後ラスベガスに2泊するという魅力的なツアーが出たので、急遽変更と相成りました。

 

5月7日(火)   1日目

出発便はデルタ636便で、羽田発00:30。これだと大森駅21時前のバスで充分。午前中にジムで“ひと泳ぎ”して、余裕の出発です。でも少し早く家を出て、空港内を散策。羽田の国際線ターミナルは日本にしては“遊び心”いっぱいの楽しい空間が広がっています。

      

22時前集合場所に集まったのは38名。連休明けのタイミングですから、一行は当然シニア軍団です。我が姓(名)だと点呼のときは大抵最後になるのですが、今回は最初に名前が呼ばれました。スーツケースに付けるタグを貰うとナンバー:1&2・・・どうやら予約申し込みが一番だったようです。

飛行機は最新鋭のボーイング777。座席は横に2−3−2。我が家はABで窓側が好みの妻はニッコリ。座席前後に余裕があり、個別モニターもちゃんと付いています。(デルタでは、成田=ハワイ便だとモニターの無い旧い機種もあるんです)

  

 さて、お楽しみ(!)の機内食ですが、配膳されるのが深夜1時過ぎですから、軽食です。(フルーツのほかに何故か「ミニ・エンゼルパイ」なんてのが添えてあります!) メインの「ピッツア・バー」は結構美味しかったです。因みに、到着前は「チーズオムレツ・ソーセージ・フルーツ・ジュース」です。(夜半目覚めて最後尾に行くと、チョコケーキとおかき詰め合わせが置いてありました。デルタも少しサービスが向上したようです。)

モニターには日本語訳の新しい映画も入っていますが、先のことを考えて睡眠モードへ・・・

  

 約10時間のフライトで、略予定通りロスに到着。(因みにロスアンゼルスを「ロス」というのは日本人だけで、アメリカでは「L...」です) ロスと東京の時差は−17時間。東京は5/8の午前10時ですが、ロスは5/7の午後5時過ぎです。

  

(ロスが近づいてきます。碁盤の目のように整然とした街並みです)

  

(ダウンタウンのビル群が見えてきました)

 入国手続きを終え、外に出ると、空は殆ど雲に覆われており、カリフォルニアの青い空をイメージしていたのに、ちょっとガッカリ。

 最初のホテルはダウンタウンのリトルトーキョー近くにある「ダブルツリー・バイヒルトン」。以前は「ニューオータニ」だったそうで、室内は広く、キングサイズのツインと、こうしたツアーにしては上等のホテルです。

  

                              (和傘をモチーフにした照明が印象的なロビー)

  

 ツアーには本日の夕食が付いてないので、早速リトルトーキョーに繰り出します。まだ8時過ぎなので賑やかな繁華街を想像していたのですが、車も少なく人通りは殆ど無くて、ちょっとうら寂しい感じです。

stストリートに沿って、ラーメン屋、居酒屋、安宿、すし屋などが並んでいます。その中で1軒「大黒屋」というラーメ屋だけは何故か大賑わい。窓越しに覗くと店内は満員で、通りに待ち人が並んでいます。

  

通りを渡ってモールのようになった一角へ行ってみます。居酒屋や日本製品の土産物屋などが広場を取り囲んでいます。その中で一軒の寿司屋に入ってみました。数組のアメリカ人が寿司をつまんでいます。

  

我々は“巻物”専課で、「サーモンロール」、「スパイシーツナロール」、「カリフォルニアロール」と、ハウスサラダ、ハイネッケンをオーダー。巻物はボリュームがあって味も上々。特にサーモンロールは美味しかったです。

    

 満足して店を出ると、大通りをそぞろ歩き。(着陸寸前の機内からも見えた)ライトアップされたシティホールのタワーが印象的です。

 

5月8日(水)    2日目

機内で夜を越して、到着したら再び夜ということで、流石に眠りが浅く、6時前には起床して朝食へ。レストランは広く清潔で、メニューもまずまず。フルーツはあるが、生野菜が無いので、刻み野菜をとき卵で繋いだようなボリュームタップリのオムレツで野菜を補う。(但しパンは・・・ヨーロッパは勿論、トルコ、台湾、そしてエジプトでもホテルのパンは結構おいしいのですが・・・此処をはじめ以降ずっとパンはあまり美味しくなかったです)

  

 食後、時間があったので、少し外を散歩。超モダンなビルもあり、街角ウオッチングの興味が湧いてきましたが、それは後日のお楽しみ。

    

 8時にバスへ乗り込んでさぁ、出発。本日はグランドキャニオンへの基地ともいえるウイリアムスまで延々10時間のロングドライブで、ざっと千キロ位走ることになるのでしょうか?

今日も雲が多く、途中雨が降りだしましたが、暫く走ると、乾燥地帯に入り、青空が広がり一安心。2時間ほど走ったところで、バーガーキングで最初のトイレ休憩。

    

(LAを出て暫くは緑の景色が →やがて乾燥地帯へと・・・)     (最初の休憩)

  再び何処までも続く1本道をひた走り、モハーベ砂漠へ差し掛かります。(“ハリウッドの奥座敷”とも呼ばれ、西部劇等の安直なロケ地として重宝されたようですが、私的には此処を舞台にしたパーシー・アドロン監督の「バクダッド・カフェ」=1987年作品=が印象的です。)「砂漠」と呼ぶよりは「荒野」と行った方が適当で、年間降水量130ミリという乾燥地帯に拘わらず、地下水脈があるのか、荒野には背丈の低い灌木がまるで植樹をしたかのように整然と並び、サボテンも生えています。

  

 更に走って荒野の真っただ中で2回目の休憩。こんなところにちゃんと水の流れる立派なトイレがあるのに感心。

    

                      (荒野の中のトイレ)      (名ドライバーのフィリップさんと)

 添乗員の早川さんが「皆さん、道路のずっと奥の方の荒野の中に、ラスベガスから同乗するガイドのケイさんのおうちがあるそうです。フィリップさんはあの辺りだと言っていますが、う〜〜ん、良く分かりませんねぇ。それにしてもこんな荒野の真ん中に家を立てるなんて・・・!。ケイさんは日本人離れした雰囲気で、それは会ってのお楽しみですよ」と。確かにこんな広大な荒野の真ん中に家を建てて住みつくなんて、いったいどんな人物なんだろうか?興味津津です

 カリフォルニア州からネバダ州に入った途端、突然道路沿いに派手派手の建物が現れました。カジノだそうです。「ラスベガス迄は遠い!」というバクチ好きのカリフォルニア人が此処で楽しむのでしょうか!?連れて来た家族用にか、遊園地もありました。

    

 更に走ると、向うにラスベガスが見えてきました。

  

 12:30バスはラスベガスに到着。エッ?ベガスはもっと後の日程じゃないの!・・・今日は此処で昼食なんです。ストリップ(=大通り)をひと廻りした後、レストラン前でバスを降りるとにこやかな笑顔で“噂のケイさん”がお出迎えです。痩身、ドレスシャツにグレーのベスト、長い脚をピチッと収めたGパンに革靴。ジョージ・チャキリスを想起させるようなスタイリッシュな格好良さ。ゴマ塩の総髪を後ろでキュッと束ねた顔は日焼けして、鷲鼻に大きな眼・・・確かに国籍不明です。(後で本人の言によると、ロシア人の血が1/32だか混じっているそうです)

  

 さて、このレストラン。間口は狭く奥行きは広い。壁には所狭しとハリウッドスターなど有名人の写真やイラスト風の絵の額が飾られています。

    

料理はというと、大皿に盛られて出て来た料理を皆で取り分けます。大雑把な感じです。(尚、ソフトドリンクは無料で、以降全て同じシステムでした)

    

(サラダ)         (トマト風味のパスタと、ポークピカタ?)   (でかい!チョコチップクッキー)

 いちおう「イタリアン」ということですが、う〜〜ん、これはもう「アメリカン」です。全て大味で、パスタはゆるゆる。今回の食事水準の前途を予告するようなお味でした。(〜〜で、予告どおりに展開していくのです・・・)

 まぁ、料理の味はともかく、同じテーブルで親しくなったFさんは人生経験並びに海外経験豊富で、道中いろいろと御世話になりました。

 

 食事を終えると、再びバスに乗って、ウイリアムスを目指します。格好の“睡眠タイム”ですが、米国生活経験豊富なケイさんの話が面白い。例えば・・・「信号で止まった時、車間距離が広いでしょう、何故だと思いますか?・・・アメリカでは車検が無いので、突然前の車がエンコすることがあります。車間距離を詰めていると動きが取れなくなるので、対処できるよう距離を取っているのですね・・・」

 或いは、「明日はグランドキャニオン・・・国立公園ですが、公園内では飲料のボトルは売っていません。オバマ政権が環境保護の為に規制したのですが、それはオモテの理由です。ではウラの理由は何でしょうか?〜〜ペットボトルのラベルの下をよく見ると、「ボトルをリサイクルすると5セントだかを払います」・・・という風に書いてあります。が、消費者は大抵捨ててしまいますよね。そこで、消費者が捨てたボトルを回収業者が集めて所管の場所へ持っていくと結構な金になります。そしてその一部が共和党への献金になるという仕組みになっています。それでこの共和党献金ルートを断ち切るためにオバマ政権が規制をしたという訳なんですねぇ」 →→アメリカでも2大政党間で、狐と狸というか、結構セコイことやってんだぁ!・・・

 (今回のツアーの最大のヒットはガイドにケイさんが付いたことかもしれない。この時期各旅行会社が同じようなツアーをたくさん催行しているが、我がツアーにベストなガイドが添乗したと言えよう。でかしたゾ、クラブツーリズム!)

 「・・・この辺りの土地はタダみたいなもんですが、問題は境界線のクイ打ちで、これに膨大な費用が掛かるんですね。」そう言われてバスの外を見やると、舗装された道路の向こうの荒野に鉄線を張った鉄杭がどこまでも続いている。牧場ならまだしも、無用とも思えるただの荒野・丘陵・谷間の全てに延々と囲みがなされているのである。

それは膨大な労力と、費用を要したことであろうが、この広大な大地が誰かの私有地であることを示している。これはその後ネバダからアリゾナ〜ユタと廻っても同じで、いやぁ、所有者の執念に驚かされたことであった。

もとはと言えば、インディアンが自由に駆け巡った(否、こうした不毛の荒野には彼らも殆ど足を踏み入れたことはなかったかもしれないが)土地を、18世紀以降にやってきた白人たちが、こんな不毛の大地の隅々に至るまで余すことなく、アッという間に我がものにしてしまったのである。何処までも伸びる鉄線と黒杭に人間の強欲と執念を見た思いがするのでありました。

 

50分ほど走ると湖が見えてきました。コロラド川がフーバーダムによってせきとめられて出来たアメリカ最大の人造湖、ミード湖です。琵琶湖の約2倍ほどの面積があるそうです。

 

 バスは山道を上がっていきます。近くにあるフーバーダムを見たいところですが、最近テロ対策の為立ち入り制限が為されたとかで、残念ながらそのコースは通りません。山間にチラッと、ダムにせきとめられたコロラド川が見えました。グランドキャニオンの西の端になるそうです。

    

(山道を上がっていくと・・・)  (かすかに見えたコロラド川)     (このフーバーダムが見えればよかったんですが・・・)

(ケイさん)「右手にジョン・ウェインの牧場がありますよ」・・・というので注目すると、「DW RANCH」という緑の立て看板がありました。看板が無ければただの荒れた丘陵です。「DW」の「W」はウェインを意味するのでしょうか?すると「D」は?・・・子供の名前かな?(ジョンは34年前の1979年に72歳で逝去。3度の結婚で7人の子供が生まれましたが(有名なのは次男の俳優パトリック・ウェイン)、そのうちの一人が相続したのでしょうか?〜いや、彼は「デューク」と呼ばれることを好んでいたからその「D」なのか?〜〜てなことを考えているうちに牧場を通り過ぎました。

 ずっと乾燥地帯が続くとばかり思っていたら、意外にも高度が上がるにつれて、地面には緑が増えてきます。それはスペインやギリシャの丘陵地帯にオリーブの樹が茂っているかのように、1,5〜2m位の背丈で、丸く枝を伸ばした樹が生えています。「ジャニファー」とか呼ぶヒノキ科の一種だそうで、勿論こちらは植樹などではなく、この辺り一帯に自生しているもの。樹が生えていない箇所は風の通り道で、冬場などは強烈な突風が吹き抜けるそうです。

  

ラスベガスを出てから約4時間、6時前に漸くウイリアムスへ着きました。すると、グッドタイミングで列車が帰ってきました。此処ウイリアムスとグランドキャニオンを結ぶ「グランドキャニオン鉄道」の列車です。一日一往復。朝9:30に出て、11:45目的地に到着。帰りは現地発15:30で、17:45に帰着という運航スケジュール。

 みんなバスを降りると、ワァーッとばかりに走り寄って、「鉄男、鉄子」に変身! 列車を取り囲んでパチリパチリです。

 許可を得て最後部車両に立ち入ってみると、中はシックな感じのサロン風になっていました。

    

  

(近くの線路にはこんな機関車もありました・・・壁の絵柄にもある位ですから、機関車で走ることもあるのでしょうねぇ)

    

(ウイリアムスの駅舎と駅舎内)

 7時前にホテル「ホリディ・イン・ウイリアムス」に到着。フロント棟を中心にして周囲に2階建のいくつかの宿泊棟があります。部屋とフロントがかなり離れているのはやっかいですが、部屋の中は広さも充分でまずまずです。

    

                             (これは翌朝の様子)

 部屋のチェックを済ますと、夕食はフロント棟にある食堂へ。フロントの壁には「ドク・ホリディ」の写真が飾ってありました。胸を病んで西部を彷徨った彼は此の地にも立ち寄ったことがあったのでしょうか?

    

(フロント)        (ドク・ホリディ)            (レストラン)

     夕食は・・・

    

(サラダ)            (ローストビーフ)          (カットフルーツ)

 同席の人との会話を終えると、ケイさんの忠告(※)を思い出して急ぎ足で部屋に戻りシャワーを浴びます。

    「・・・ホテルのボイラーの能力は限られています。38人が一斉にお湯を使うと、お湯のタンクは空になります。そうなると、もう水しか出ません。次にお湯が出るのは2、3時間後になるでしょう。ですから、お湯が出ているうちに素早く頭と体を洗って石鹸を流して下さい・・・」

 〜〜というわけで、なんとか熱い湯がでているうちに無事洗い終わることが出来ました。これではバスタブはあっても無用の長物です。

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