5月11日(土) 5日目
今朝は5時前に起床。“幻想的な日の出観賞”ということで、まだ薄暗い6時前に出発。標高2500mくらいありますから、この時刻だと気温は0度以下。馬の背状隊の岩場で日の出を待つというので、完全装備・着ぐるみ状態になってバスに乗り込みます。これで悪天候だとトホホですが、しらじらとしてくると、空には雲が無いことが分かってニッコリです。(どうも夕方雲が増え、朝には快晴とパターンのようです)
「ウ〜っ、サブっ」と叫びながらバスを降りて、馬の背の道を進むと・・・
わぉ〜、なんという景色でしょうか!言葉を失うほどです。・・・無数の尖塔が群立、或いはファンタジックに言えば、幾万のミーア・キャットが一斉に立ち上がってこちらを見ているとでもいうか・・・。
ブライスキャニオン(因みにブライスとは、1875年に此の地に入植した、スコットランド系移民のエベニーザ・ブライスの名前からという)は、6300万年〜4000万年前に存在した川と湖の堆積物が、1500万年前頃のコロラド大地の隆起で持ち上がり、その後雨風の浸食で,約2百万年をかけて現在のような姿になったという。
展望台の先端へ進み、寒さに耐えながら日の出を待ちます。
やがて太陽が顔を出すと、朝日を浴びて目の前の谷がゆっくりと色を変え、黄金色に染まっていきます。早起きして来た甲斐があったというものです。
大満足でホテルへ戻ります。冬⇒夏モードに着替えて朝食を済ますと再びキャニオンへ。今度は下の谷底のトレッキングです。つづら折りの坂を下っていきます。様々な形をした奇岩、巨岩が目の前に迫ってきて大変な迫力です。
(グングンと下っていきます) (岩と岩に架かるダブル・ブリッジがありました
(ここが折り返し点) (「オスカー像」と、私が名付けた尖塔)
何せ高度2500mですから、引き返して上がってくるときには、ゼイゼイと息が切れそうになります。まだ充分時間があるので、崖っぷちを散策します。おっかなびっくり、ヘッピリゴシで下を覗いてみます。(写真・右の絵は、昨夜プールでご一緒した!才能豊かな行動派のY夫人がものの5分で完成させたスケッチです!)
・・・いやぁ、ブライスキャニオンを堪能しました。
昼食は、山を下ってまっ平らな荒野(?)に出たところのレストランでいただきます。メニューはオニオンスープとローストビーフ・バーガー。どちらもまずまずのお味でした。
バスは昨日来た道を戻って、カーメル・ジャンクションからグランドサークルの最終地点・ザイオンへと向かいます
(ケイさん)「普通グランドサークルの旅は、ザイオンからスタートして時計回りで廻っていきます。我々はその逆の廻りかたをしているわけですね。従って今日は東側の“裏ザイオン”から入っていきます。」
少し走ると、雄大な岩山の景色が見えてきました。碁盤の目のように縦横の筋が入った岩があります。「チェッカー・ボード・メサ」というようです。
(チェッカー・ボード・メサ)
少し走るとバスが停車。何事?と前を見るとトンネルがありました。大型バスだと1台がやっと通れるほどの小さなトンネルです。当然一方通行ですから、運が悪いと、対向車通過を待って結構待たされることがあるらしいですが、幸い数分の待ちで、ソロリとトンネルを通過します。
トンネルを抜けると・・・そこには更に雄大な景色が広がっていました。
8世紀頃から原住民アサナジ族などが住みついて彼ら独自の文明を築いたものの、何故か13世紀に姿を消し、その後、1858年に此の地に白人として初めてやってきたモルモン教徒のネフィー・ジョンソンがこの山々を見て、この地一帯を旧約聖書・イザヤ書に出てくる「ZION」(=ヘブライ語で、聖域、或いは聖なる山を意味する)と名付けたという。彼の大いなる感動が手に取るように分かる景色です。
此処もブライスキャニオンと同じく約1500万年前にコロラド高原を生みだした隆起により、3000mの高さに持ち上げられたナバホ・サンドストーンの大地が、その後コロラド川の支流ノース・フォーク・バージン川によって浸食されて、長さ24km、深さ800mに及ぶ渓谷が出来たという。
環境保護規制により、ロッジの近くでシャトルバス(無料)に乗り換えて、渓谷内を観光します。こうしたアメリカの国立公園における様々な施策はすべてこのザイオンから試行されるそうです。
グランドキャニオンは上から眺めるのですが、此処ザイオンは渓谷の底から岩山を眺めながら進みます。従って大自然に包みこまれるような感じで、これが人気の秘訣かもしれません。
ケイさんは、「折角だから」と、予定には無かったシャトルバスの終点=Temple
of Sinawavaまで我々を案内してくれました。・・・バスを降りて暫く歩くと、バージン川の清流が緩やかに流れる河原に出ました。なるほど素晴らしい環境です。
どちらが、インディアン信仰の岩山=Sinawavaでしょうか?やっぱり↓左かな!因みにシナワバとは、パユーテ族のいちばん偉い神で、コヨーテの神だそうです。
草叢の中に七面鳥がいました。バーボンのラベルにもなっている「ワイルドターキー」です。
シャトルバスに乗って、次は「ビッグベンド」。「ホーシューベンド」みたいなのを想像をしていましたが、あれは
バージン川が大曲りした場所にそそり立つ巨大な一枚岩
又バスに乗って「ザイオンロッジ」に戻ります。ここで暫し休憩。芝生の広場に大きな「綿の木」があります。この季節は実生が弾けて、白い綿の花がふわふわと浮遊しています。メルヘンチックですが、鼻や口に吸い込んだりしたら大変です。芝生には綿の花(?)がいっぱい落ちていました。
(ケイさん)「これで本日の予定は終了ですが、天気がいいので、明日予定していたのぶんも廻ってしまいましょう!」・・・ということで、
次に反対の山、ケイさんの指さす方角を注視すると、岸壁の中に石のアーチが見えてきました。傍らの看板の写真が
ザイオン公園はこれで最後だというので、周りの景色をしっかりと瞼に刻み込みます
車窓からの夕焼けのシーンが印象的でした。
9号線を南西へ走り、公園ゲートを過ぎて暫く走ると、今夜のホテル=「ベストウエスタン・ザイオンパーク・イン」に到着。ホテルもそうですが、さすが国立公園の表玄関口とあって、周りの建物も、皆ウッディなロッジ風で、色彩もこげ茶色とダーク・グリーンに統一され、非常に落ち着いた雰囲気を醸し出しています。
(ホテルの玄関) (周囲の建物)
食事はホテル棟とは別棟のレストランへ。ブッフェということでしたが、今夜は生憎とその会場が結婚披露パーティの貸し切りとなっており、我々は一般ダイニングの隅に押し込められました。では、通常の食事かと思いきや、片隅の台に臨時のコーナーが設けられ、料理は中華風野菜炒めとミートローフ、そしてベチャベチャのアップルパイ風の僅か3品のみ。「こんだけ〜〜っ?、」ウソでしょう!」という、旅行中最低の料理でありました。
5月12日(日) 6日目
今朝も快晴、雲ひとつない青空がひろがっています。空気は澄み切って、ザイオンの朝はなんとも爽やかです。今日はラスベガスへ移動するだけとあって、久し振りに朝はゆっくり。7時過ぎに起きて、朝食。昨夜使用できなかったブッフェ会場へ。朝食はメニューも豊富で、味も良く、昨夜の悪印象を帳消ししてくれました。
(野菜タップリのジャンボ・オムレツも美味しい!)
今日はゆっくりめの10時に出発です。バスに乗ると、ドライバーのフィリップさんが、「今日は母の日ですから、女性の皆さんにプレゼントです。髪飾りにどうぞ」と言って、ピンクの花を女性陣へ手渡してくれました。出発前に庭の奇麗な花を摘んで準備していたようです。なんとステキな心遣いでしょう!
途中ハリケーンというちょっと怖い名前の町を過ぎて、11時過ぎにはザイオン・アウトレットに到着。ケイさんが「人気のレストランです。ちょっと早いですが空いてるうちに昼食を」と話しますが、全員「えぇっ、さっき食べたばかりでまだ早い!」ということで、1時間ほどアウトレットモールをぶらつきます。
(又々、荒野を走って〜〜) (ハリケーン市を過ぎて〜〜) (ザイオン・アウトレットへ)
1時間半ほどで、再びバスに乗り、さぁ、ラスベガスを目指します。〜〜2時半過ぎにラスベガスへ到着。ベガスに着いたら先ずは「歓迎の看板」の前で記念写真を撮るのが“お約束ごと”だそうです!。これは何も日本人おのぼりさんに限ったことではなく、アメリカ人(?)も嬉々として写真を撮ってます。
で、バスから外へ出ると・・・暑い!
観光客の傍らでは、プレスリーのソックリさんや着ぐるみのビッグバードが客を狙って(?)います。カメラを向けたら有料ということなので、パチリと収める訳にはいきません。気温は40度近くになっているでしょうから、着ぐるみの中はいったい何度になっているでしょうか?いやはや大変な商売です。ビッグバードくん、熱中症にならないでね!
(記念写真を撮る人でイッパイ!) (では我々も!)
ベガスでの滞在は「ルクソール」。奇抜なデザインの多いベガスのホテルの中でも、こと奇抜さにおいてはナンバーワンでしょう。なにせ、ホテル全体が黒く輝くピラミッドなんです!外観、内側、装飾等徹底して「エジプト」に拘っています。エジプト好き「誰だ?!)には”堪りませ〜〜ん!”といったところです。
(ピラミッドにスフィンクス、その前にはオベリスク) (オベリスクの後ろにはラムセスの像)
スフィンクスの下のトンネルを抜けると、B1はホテルの玄関。前にはアヌビス神(=冥界の守護神)の黒い像。中に入って1階に上がる階段横にはカルナック大神殿の前に並んでいる羊のスフィンクス。
カジノへ入る手前にはラムセス像、手前の池にも羊のスフィンクス。
1階はカジノで、これは撮影禁止。エスカレーターで2階に上がると、そこは大吹き抜け。4つの大きな梁で全体を支えています。横のラインがホテルの部屋になっています。梁に支えられた大空間の下には大きなスフィンクス(古都メンフィスのスフィンクスより大きいですが、可愛い表情がよく似ています)が2体とオベリスクがあります。
話のタネにと、ピラミッド棟の部屋に泊ってみたいものですが、こちらの部屋にはバスタブがありません。(構造上重すぎてダメなのです) それで、バスタブ好きの日本人ツアー客は別棟の新館へ。こちらも徹底してエジプトに拘ってます。エントランスの柱はカルナック神殿の列柱を模してます。壁の絵も・・・。
で、肝心の部屋ですが、いちおう「デラックスカテゴリー」のホテルですから、部屋は広くて豪華。ダブルベッドが二つ。空調コントロールも問題なしで、バスタブとシャワーが別なのもグーです。
部屋に荷物を置くと、全員カジノに集合して、ケイさんからスロットの手ほどきを受けます。ズラリ並んだスロットの台には「1セント・マシーン」というのがあって、1ドル札を入れると、100回遊べるんだそうです。同じバクチでも大王製紙の御曹司の世界とは大違いです。
ケイさん、「カジノで勝つ秘訣は“勝ったときに直ぐ止めることです!」と言いながら、3,4回プレイすると、1ドル⇒1ドル45セントに!「さぁ、私はこれで止めます。ちゃんとキャッシャーで現金に換えてくれますよ。次誰かやってみませんか?」・・・そこで某夫人がトライすると、これまた4回ほどで、40セントほどの勝ち。1セントばかり賭けたのではパーになること必至ですが、時折20〜30セントを賭けてみるのが、「小勝ち」するコツのようです。
部屋のチェックを終えると、散歩に出掛けます。
通りの向こうは世界最大の規模といわれる「MGMグランド」(客室は5000室を越えるそうです)。シンボルのライオン像は2代目で、初代は頭部だけで、その口からカジノへ入るようになっていたのですが、中国人から「縁起が悪い」と敬遠されて、それで立て替えたそうです。
NY・NYのブルックリン橋を渡って北に進むと、「モンテカルロ」・・・う〜〜ん、なんとなくモンテカルロの雰囲気ですねぇ・・・。
もう6時過ぎですが、外を歩いていると、暑い暑い!そこで奇抜で豪華なインテリアのあるモダンなビル、「クリスタルズ」の中のショップでアイスクリームを嘗めて一休み。
(「籠」の中はレストラン) (「真実の口}もありました)
次は「ベラッジオ」。映画「オーシャンズ11」(2002年)のラストシーンが、此処の夜空に浮かぶ噴水ショーでした。
ジョージ・クルーニーやブラピのように(?)夜暗くなるまで待てないので、7時のショーを見物することにします。なるほど音楽に合わせた噴水のダンスはなんとも優雅ですが、ものの5分で、それこそアッという間に終了して、なんだか物足りなさが残りました。
ストリップ(大通り)の向こうに「パリス」。高さが本物(324m)の約1/2(=165m)という立派なエッフェル塔がそびえています。ストリップで一番目立っているかもしれません。奥には凱旋門もありました。
暑さで相当くたびれてきたので、夜景を楽しみながら、引き返します。ルクソールのピラミッドのてっぺんからは光線が真っ直ぐ上に立ち昇っていました。
漸くルクソールへ帰り着くと、もうクタクタです。あまり食欲もないので、夕食は軽めに。カジノの上の2階にあるフードコートで、ロールピザとシーザースサラダをコークで流し込むようにして食べます。
今日はゆったりとバスタブに浸かって疲れを癒しましょう。
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