前述の「電撃フリント」は「007」の大ヒットがあって、半ばそのパロディ的に登場してきたものであるが(ロバート・ヴォーンの0011/ナポレオンソロや、ディーン・マーチンのマット・ヘルムも又然り)、では次にスパイアクションの本家「007」シリーズの主な悪役をふり返ってみよう。
ジョセフ・ワイズマン(JOSEPH
WISEMAN)
1918年、カナダ/モントリオール生まれ
2009年10月19日 老衰のため、ニューヨーク市の自宅で逝去 享年91歳
007シリーズの記念すべき62年第一作「ドクター・ノー=Dr.NO/初公開時は〈007は殺しの番号〉という邦訳タイトル」(監督・テレンス・ヤング、出演・ショーン・コネリー、ウルスラ・アンドレス、バーナード・リー=M、ロイス・マックスウェル=マネー・ペニー、音楽・モンティ・ノーマン)でボンドに対峙する謎の中国人科学者・ドクター・ノーを演じたのがワイズマン。
当時42才とすれば、随分と老けた容貌であった訳で、謎の人物らしい雰囲気は出ていたが、なんとなくホモチックで線が細く、何よりもどう見ても中国人には見えないルックスはどうして彼がこの役に選ばれたか不可思議である。しかしヤング監督は何故か彼がお気に召したようで、65年「サンダーボール作戦」で態々(わざわざ)
スペクターの首領・ブロフェルドの「声役」で起用、72年実録タッチのマフィアもの「バラキ=The
Valachi Papers」(主演・チャールズ・ブロンソン、リノ・ヴァンチュラ、ジル・アイアランド)ではマラザーノ役を充てている。
他には、
・51年「探偵物語=The
Detective Story」(監督・ウイリアム・ワイラー、主演・カーク・ダグラス、エリノア・パーカー)
・52年「革命児サバタ=Viva
Zapata !」(監督・エリア・カザン、主演・マーロン・ブランド、アンソニー・クイン)
・59年「許されざる者=The
Unforgiven」(監督・ジョン・ヒューストン、主演・バート・ランカスター、オードリー・ヘップバーン),
・86年「ミッドナイト・ニューヨーカー=Seize
the Day」(監督・フィルダー・クック、主演・ロビン・ウイリアム
脇役ひとすじでそれもスクリーンよりはTV作品への出演が多く、ドクター・ノー役が無ければ、日本人の印象に残ることはまず無かったであろう.。