クリストファー・リーCHRISTOPHER  LEE)

                   1922年、イギリス/ロンドン生まれ                                              

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 (ドラキュラ)   (黄金銃を持つ男) (サルマン)

第9作「黄金銃を持つ男」で殺し屋・スカラマンガを颯爽と演じたリーは、ピーター・カッシングと並ぶホラー映画の大御所で(2人の出演作品群、即ホラー映画の歴史といっても過言ではない!)、又48年「南極のスコット=Scott of Antarctic」(監督・チャールズ・フレンド、主演・ジョン・ミルズ)に、チョイ役でデビュー以来180本を超える出演作を誇り、今尚現役バリバリというからビックリの長寿俳優ではある。(憎まれっ子世に憚る !?)

彼の名を有名にしたのは、何と言ってもフランケンシュタイン、ドラキュラといった、ハマー・フィルム=テレンス・フィッシャー監督の手によって次々と世に送り出された(イギリス映画伝統の)正統・古典的ホラー映画だ。

・57年「フランケンシュタインの逆襲=Curse of Frankenstein」(ピーター・カッシング=ヴィクター・フランケン シュタイン男爵、リー=クリーチャー=人造人間…ホラー・エンタテインメントに徹し、その昔のホラーの元 祖、ユニバーサル映画の、ボリス・カーロフが演じたクリーチャーに劣らぬ恐怖の演技を見せ、これ以降フランケンシュタインとは男爵のことではなくて、彼が創造したクリーチャーの通り名となっていったのである。

・58年「吸血鬼ドラキュラ=Dracula」(リーードラキュラ伯爵、P・カッシング=ヴァン・ヘルシング教授 )

・59年「バスカヴィル家の犬=The hound of Baskervilles」(P・カッシング=ホームズ、リー=サー・ヘンリ    ー・バスカヴィル…フィッシャーが取り上げるだけあって、原作はホームズ物の中で一番ホラーの趣のある作品だ)

・59年「ミイラの幽霊=The Mummy」(リー=ミイラ男、P・カッシング、イヴォンヌ・フルノー共演)

・60年「ジキル博士の二つの顔=The two faces of Dr.Jekyll」(主演・ポール・マッシー=ジキル&ハイド、ドーン・アダムス、リー=ポール・アレン)

・64年「妖女ゴーゴン=The Gorgon」(リー=カール・マイスター教授、P・カッシング=ナマロフ博士、共  演・バーバラ・シェリー)

・65年「凶人ドラキュラ=Dracula ,Prince of Darkness」(共演・バーバラ・シェリー)

・68年「The Devil rides out」(共演・チャールズ・グレイ)

と、続いていく。

 テレンス・フィッシャー監督(1904〜80、英国生まれ) は生涯で51本の作品を演出。その前半はドラマ、コメディ、ミステリーといったまぁ普通のジャンルを手掛けていたが、28本目の「フランケンシュタインの逆襲」の大当りから突如大変身!、以後は一転してホラー一筋で、リーとカッシングを巧みに使い分け乍ら(カッシングの方が重用された伏があるが)、ハマーフィルムに在って恐怖のキャラクターを次々とスクリーンに現出していったのである。

リーは、フィッシャー監督とのコンビ以外にも、更にホラー物への出演が続く。次なるキャラクターは、世界征服を企む悪の天才、怪人フー・マンチューで、スコットランドヤードとの壮絶な闘いを展開する。

・64年「怪人フー・マンチュー=The face of FU MANCHU」(監督・ドン・シャープ、共演・ナイジェル・グリーン)

・66年「怪人フー・マンチュー/連続美女誘拐事件=The brides of FU MANCHU」(監督・D・シャープ、共演・ダグラス・ウィルマー、マリー・ヴェルシニ、ツァイ・チン)     

・67年「怪人フー・マンチューの復習=The vengeance of FU MANCHU」(監督・ジェレミー・サマーズ、共演・ダグラス・ウィルマー 、ツァイ・チン) と3本続いた。                                                    

次はドラキュラ、これぞリーのメインフィールドでる。                                                                                

・68年「帰ってきたドラキュラ=Dracula has risen from the grave」 (監督・フレディ・フランシス、共演・ヴェロニカ・カールソン)                                                             

・69年「ドラキュラ血の味=Taste of the blood of Dracula」(監督・ピーター・サスディ、共演・ジェフリー・キーン、 グウェン・ワトフォード、リンダ・ヘイドン)

・70年「血のエクソシズム/ドラキュラの復活=The scars of Dracula」(監督・ロイ・ウォード・ベイカー、共演・デニス・ウオーターマン、ジェニー・ハンレイ)

・71年「ドラキュラ‘72=Dracula A.D.1972」(監督・アラン・ギブソン、共演ピーター・カッシング…死後百年を経て 現代に蘇ったドラキュラ伯爵とヘルシング教授の孫との闘いを描いて、久々に黄金コンビが復活)

73年「新ドラキュラ/悪魔の儀式=Satanic rites of Dracula」(監督・アラン・ギブソン、共演・P・カッシング…もう一度原点に戻ってヘルシング教授との闘いを描き、結局これがリー最後のドラキュラとなる)

 こうしてホラー映画を極めたところで、73年、リチャード・レスター監督のオールスター大作「三銃士=The three musketeers」、74年「四銃士=The four musketeers」 (出演・オリヴァ−・リード、リチャード・チェンバレン、フランク・フィンレイ、マイケル・ヨーク、ラクエル・ウェルチ、ジュラルディン・チャップリン、フェイ・ダナウェイ…彼女の悪女・ミラディ役の怪演も絶好調!、チャールトン・ヘストン…彼もなんと悪宰相リシュリューとして登場) の悪漢・ロシュフォール役を経て、冒頭の007/スカラマンガに登用された訳である。  この颯爽とした悪役ぶりが、多いに注目を集めたのか、以降イギリスから、ハリウッドへと活躍の舞台を広げていく。 その航跡を辿ってみると

・75年「ダイヤモンドの犬たち」(=テリー・サヴァラスの項掲出)

・77年「エアポート77/バミューダからの脱出=Airport‘77」(監督・ジェリー・ジェイムソン、出演・ジャック・レモン、リーグラント、ジェイムス・スチュワート)

・79年「1941」(監督・スティーヴン・スピルバーグ、出演・ダン・エイクロイド、ネッド・ビーティ、ジョン・ベルーシ、三船敏郎…ストーリーはハチャメチャ乍ら、ベルーシも軽快に踊る狂乱のダンスシーンは圧巻である!)、

・79年「オーロラ殺人事件=Bear island」(監督・ドン・シャープ、出演・ドナルド・サザランド、リチャード・ウィドマーク、ヴァネッサ・レッドグレーヴ),

・83年「キャプテン・ザ・ヒーロー/悪人は許さない=The return of captain invincible」(監督・フィリップ・モーラ、出演・アラン・アーキン、ケイト・フィッツパトリック)、

・90年「グレムリン 2/新・種・誕・生=GREMRINS 2:The new batch」(監督・ジョー・ダンテ、出演・ザック・ギャリガン、フィービー・ケイツ), 

・93年「テロリストゲーム=Death train」(監督・デビッド・S・ジャクソン、出演・ピアース・ブロスナン、アレク サンドラ・ポール)  等々結構多彩である。  

そして、そして21世紀に入っても

01年「ロード・オブ・ザ・リング=the Lord of the Rings」(監督・ピーター・ジャクソン」と、02年「同/二つの塔」で、魔王サルマンの手下となるサウロン役で、白髪を振り乱して、ガンダルフと大格闘。

続いて、02年「スターウオーズ・エピソード2/クローンの攻撃=Star Wars:EpisodeU/Attack of the Clones」では、元老院の黒幕として共和国に反旗を翻す悪の親玉・ドゥークー伯爵として、これまたオビワン達ジェダイの騎士相手に大立ち回り!・・・ワイヤーアクションとはいえ、御年(おんとし)80歳とは思えぬダイナミックなアクションを披露しているからスゴイ!スゴイ!

  いわゆる芸術作品とは全く無縁で、娯楽作品の悪役に徹しこれだけ息の長い活躍を続けてきたのは、ジャック・パランスと双璧であり、もうご立派という他はない。

 なお、リーは007の原作者・イアン・フレミングの親戚(又従兄弟?)で、ゴルフ友達でもあったという。映画化第一作の「ドクター・ノー」はリーが演じた怪人フー・マンチューがヒントになったとか。言われてみれば、なるほどなあ! という感じがする。

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