リチャード・キール(RICHARD
KIEL)
1939年、米国、ミシガン州生まれ
巨体、容貌魁偉、一度見たら絶対忘れられない存在感の持ち主、「役者は先ずその肉体で自らを表現すし」を地で行く典型といえよう。第10作「私を愛したスパイ」でカール・ストロンバーグ=クルト・ユルゲンスの部下、鋼鉄の歯(牙!)を持つ男ジョーズ(彼には如何なボンドとて敵わない)として登場し、恐怖感の中にもユーモアを漂わせた演技で人気を博した。
その勢いを駆って11作「ムーンレイカー」にも再登場。今度は途中から善玉に転向、破壊された宇宙基地からでも何故か無事生還してしまうという文字通り不死身のジョーズを演じた。・・・生還させたのは、製作者が、あわよくば再々度登場の余地を残したものであろうが、やはり「ジョーズ」は悪玉でなくちゃあ〜!、善玉になっては魅力半減という評判であったのであろう。その後再々度の登場の機会は訪れていない。
・61年「幻の惑星=The
phantom planet」(監督・ウイリアム・マーシャル、主演・ディーン・フレデリクス、コリーン・グレイ)のチョイ役でデビュー後40年近くになるが、特異すぎる個性が扱いにくいのか、出演本数は32本、ジョーズで人気を得た以降今日迄の20年間でも、僅か9本とびっくりするほど少ないのである。
主な作品を拾ってみると、
・74年「ロンゲスト・ヤード=The
mean machine」(監督・ロバート・アルドリッチ、出演・バート・レイノルズ、エディ・アルバート…刑務所での囚人と看守チームのフットボール対決を描いて、アルドリッチの歯切れのいい演出が冴える快作)
・76年「大陸横断超特急=Silver
streak」(監督・アーサー・ヒラー、出演・ジーン・ワイルダー、ジル・クレイバーグ、パトリック・マッグハーン、ネッド・ビーティ…超特急・シルバーストリーク号に秘められた陰謀をめぐっての大冒険)、
そして「007」の2本の間の
・78年「ナバロンの嵐」(ロバート・ショウの項で掲出)でパルチザンを偽装して主人公達を襲うドイツ軍協力者のリーダー・ドラザック役
・84年「皇帝密使=mad
mission」(監督ツイ・ハーク、出演サミュエル・ホイ、シルヴィア・チャン、ピーター・グレイヴス…女王陛下の宝石を巡る香港映画得意のパロディ・アクション)、
・84年「キャノンボールU=Cannonball
runU」(監督・ハル・ニーダム、出演・スーザン・アントン、…当時日本でも人気のあったナイスバディのスーパーモデルだ!…、バート・レイノルズ、ジャッキー・テェン、ディーン・マーチン、フランク・シナトラ、サミー・ディヴィス・Jr.、シャーリー・マクレイン、テリー・サヴァラスetc.とごった煮風の賑やかなキャストだ!)
・85年、クリント・イーストウッドのワンマン(製作・監督・主演)西部劇
「ペイルライダー=Pale rider」 (共演・マイケル・モーリアティ、キャリー・スノッドグレス)
といったあたりか。
おっと〜、唯一の主演作として、「ムーンレイカー」の翌年、79年に
「ヒューマノイド/宇宙帝国の陰謀=Humanoid」(監督・ジョージ・B・ルイス、共演・コリンヌ・クレリー、バーバラ・バック…007の風味付けをしたスターウオーズのパロディS.F.といった風情の珍品、それになんとエンニオ・モリコーネが音楽を付けている!)というのがある。