8月2日(二日目)

ロイヤル・カアナパリ・ゴルフクラブ

 二日目のメインは女房の希望でゴルフ。地区内のホテルゲストは四日前からスタート予約が可である。トップシーズンなので念の為、旅行前に9:30スタート(朝はゆっくりが彼女の希望)を予約済み。朝7:30過ぎに起きると先ずは散歩がてらにABCストアへ朝食の買い出しに行く(ABCの存在は誠に有難い!)ラナイのテーブルへオレンジジュース、牛乳、サンドイッチを広げる。山に掛かった雲間から太陽が顔を出すと忽ち強烈な熱光線を浴びたように気温が上昇する。今日も快晴のようだ。

ゴルフ場まで徒歩五分なので歩こうとすると、ホテルマンが「ゴルフコース?」と声を掛けてクラブハウスまで乗せてくれる。フロントへ行くと、隣りの「北コース」の受付で日本の若者四人が交渉中。

「南はやさしい、北が面白いというので、日本人皆、北を希望するからイッパイよ。アッ、チョ  ット待って…今キャンセルが出たからOKネ。来週はシニアツアートーナメントで、青木さん  もくるヨ」

我々は勿論―「南コース」(料金はカート込み$105+TAX)・・・例によっての珍道中の開始、カートだとやっぱり楽でコースの隅から隅まで丁寧に廻っていく(!)。何とかハーフを終えてインコースへ進む。するとネクストホールから 係員らしきおじさんのカートがやってくる。

「すいません、スロープレイで」

「イヤ、何、ずっと先のほうで新婚さんがノーンビリとプレイしててネ。もうズーッと 空いてん のヨ。それで今注意してきたんだ。あぁ 、お客さん、後ろに美味しいジュースがあるからたん と飲んで!」

「あぁそうですか。じゃあ頂戴しま〜す!うん、こりゃおいしいゃ!、これなんの果物ですかね  ぇ?」

「ウマイだろう!、ここ特産のオレンヂみたいなものだヨ」

 「どうも、ご馳走さまでした」  

 〜〜インもなんとかこなして、今回は無事18ホールを終了。尤も、例のおじさんの話の新婚さんのせいか(?)18ホールスルーをカートで回ってなんと五時間もかかってしまったから、後続のプレイヤーにはなんとも迷惑な一日であったろう…。

ラハイナの街

 ホテルへ帰るとシャワーを浴びてさっぱりし、「さあ〜て昼飯だなあ…」と言うと、女房が「持ってきたカップラーメンがあるじゃない!」…そうだ、そうだということで、我々がゴルフ場にいた間プールで泳いで帰ってきて休憩していた息子に湯を沸かさせてラーメンをつくると、例によってラナイへ出て三人でカップをすする。傍(はた)目はどうあれ、こういうシチュエーションの時は格別にウマイと感ずるものである

さておなかも程よくなると―その後は〜そうだ、シャトルバスでラハイナへ行ってみよう!。女房は疲れてノーサンキューと言うので、息子と二人でW・Vの前からシャトルバスに乗り込んでラハイナへ向かう。こちらとしてはビッグバニヤンツリーの辺りへ行きたいのだが、バスはラハイナの街へ入るとグルグルと廻ってどうも良く分からない。

ママョ!と見当でヒロハッティの店の前で降りて(正解はそのワンストップ手前)一寸迷いかけたものの、少し歩くとシーサイドへ出たので一安心。

海沿いの店々(捕鯨基地の港町であったことを巧みに取入れた、ちょっと小粋な感じの店が多い)を覗きながらそぞろ歩き…、通りの角のラッセンの店をひやかしてから(どうみても買いそうな客に見えない筈だが、ココハ、ニホンヨリ、ズットヤスイヨ!と熱心に勧めてくれる)、アイスクリームスタンドを見つけ、息子はバニラ、私はマンゴーシャーベット(美味しいがとにかくアマイ!)のコーンを舐めながら波止場に出る。

観光船、ヨットの出船・入り船で大賑わい、リゾートの港らしい雰囲気で何度来てもいい処だ。

それから、例の世界一といわれる、四方八方に長く枝を張出したバニヤンツリーの下へ行く。

「ほら、覚えているかい?この前は兄貴とあの根っこ(正確には気根)にぶら下がってターザンご

っこをしたんだよ」

「あぁ、そうかぁ…思い出した、思い出した!」 

(全く忘れっぽい奴だ!、今度はチャンと覚えとけヨ!) 

 通りを見渡すとバスもタクシーも姿を見掛けないので、少し急ぎ足で元の停留所に戻り、出発寸前のシャトルバスに滑りこみセーフでホテルへと戻る。

戻ると少し早いが晩飯の時間。クーポン券を使うことにして、シーフードレストラン(ブッフェ)へ行く。ビーチプロムナードに近く、夕日を背に女性シンガーのハワイアン演奏もあり、雰囲気はまずまず。で、肝心の料理であるが、さぁーっと見渡して目玉は生牡蠣!と思い、私は専らこれを攻める。レモンと醤油を少し垂らして食べるとまぁまぁだ。

女房はサーモンの刺身と蒸した半身のずわい蟹がなんとかいけるという。しかしそれ意外はサッパリ、海老・蟹・貝類が苦手の息子は肉類(ステーキ、スペアリブ、チキン)に挑んだもののまずくて食べるものが無いとこぼす。まぁ我が家はオマケで食べてるのだから文句のいえた筋合いではないが、正規の料金(税サ込みで一人$30位か)を払った人にはチト気の毒だ。

ハレアカラ山の夜と朝

食事を終えると、今夜は早めに寝ることにする。なにしろ夜中の二時半に迎えがくるのだから!。というのも明日はいよいよ今回の旅のハイライト―ハレアカラ火山サンライズウオッチングである。

 素々今回の旅行をマウイとした時にメダマはハレアカラと決めていた。加えて先日スタンリー・キューブリック監督が亡くなった折りに、ビデオを取出して「2001年宇宙の旅」冒頭の人類黎明期のシーン(ハレアカラ山頂でロケ)を見ていると余計その思いが強くなった。そこではじめは日の出見物の後、サイクリングで一気降りのダウンヒルを―というのを考えたが、女房は即座に「遠慮します!」と。

 それじゃあ一家でどうしようか?とインターネットを検索していると「マウイの達人」というホームページ(H・P)があった。クリックしていくと《ハレアカラの星空と日の出を―通常の大型バスツアーでなく、あなた達だけ(二〜六人)の為に!、料金も格安》という箇所が見つかった。これはよさそうだと早速Eメールで予約申し込み。

 女房と息子は「エェ!午前三時に出掛けるのぉ?!」と。(冗談じゃない!・・・ったく親爺ときたら!)という雰囲気であttが、”いやあ、とにかく素晴らしいんだから!”と説得にこれ努めてなんとか同意を得た。

インターネットの旅行記でも体験者が皆口を揃えて「よかったが、メチャクチャ寒かった!」との感想を述べているので、真夏のハワイだというのに、出発のスーツケースの半分を占領したのが冬物衣料―セーター、ジャンバー、冬ズボン、長袖シャツ、手袋になんとホカロン迄、とにかく女房が万全の準備を整えたのであった。  

8月3日(三日目)

マウイ到着日に「マウイの達人」・サニーこと神谷早苗(かみやさなえ)氏に確認の電話を入れた処、「シーズンでラッシュが予想されるので、二時半に迎えにいきま〜す」だと(ひぇぇ!更に三十分早起きだ!!)。という訳で何の因果か?(アンタのセイだ!)寝ついたのもつかの間、午前一時半には起き出してそそくさと本格冬支度を整えるや、深夜のロビーをそっと歩いて迎えのホンダのバンに乗り込む。

真夜中だというのに、朝日のように爽やかな笑顔で迎えてくれた神谷さんはホームページの写真どおりふた昔前の日活アクションスターのような(と言ったらホメ過ぎか?)カッコ良くて心優しきタフガイである。HPを見て時々「お嫁さんになってあげま〜す!」という女の子が日本から飛び込んできて閉口するそうである。

闇夜のドライブ、私は助手席に座って神谷さんと話をする。彼のプロフィールはあらましH・Pで読んでいるが、その波瀾万丈、型破りの半生を直接彼の口から聴くと又面白い

…博多っ子純情―ならぬワルの高校生から、公務員−福岡の消防のレスキュー隊員へ、そこで活躍して、ひょんなことからニューヨークのレスキュー隊員へと大転身。ここで根性発揮(これ以降の)バックボーンを築き上げたものの、或る日猛烈寒気と激安給料にフと感ずるところありてニーヨークを飛び出して世界放浪の旅の果て、ここマウイが最高と住み着いて早五年…現在はモロキニ島ツアーのガイド(プリンスクヒオ号というから我が一家も昔乗ったことがある船だ)や、こうした案内の傍ら、自身のブランドのTシャツなどのグッズの企画製作もやっているという、人生に積極チャレンジを続けるマルチ人間である。

「マウイは本当にいいところで、スピルバーグやハリウッドスターもよく来ていますよ。彼等はだいたいワイレア地区ですね。この前もスタローンが乳母車を押して子守りしてましたよ!」

 本当に森羅万象いろんなことをよく知っているが、レスキュー隊員は非常事態現場で即ベストの対応を迫られるから人の3倍の実践知識がないと駄目なんだそうで、科学・薬品・生物・或は心理学、その他あらゆる事柄に精通するのは当然のことだという。(日本の消防隊員を見直した!)

暫く平地を走るとやがて登山道へと入る。するといつの間にか頂上を目指すツアーの車が集まってきて、闇の中をテール&ヘッドランプの明かりが繋がってテェーンのように山の上へと動いていく。

「すごくいい道ですねえ」
 
「軍が何かの目的で作ったからこんなにいい道路なんですよ。全く彼らといたら何を考えているか分ったもんじゃない。何しろこんなローカルな島にFBIからCIAまでいるんだから…いったい何をやってんでしょうねぇ…。まぁでも連中のお陰でこうやって3050mのてっぺんまでドライブ出来るんですから、世界中の山で他にこんなとこないですよ」

これはドキリとする話で、次はヒヤッとする話

「カアナパリへ行く途中に乾燥地帯があるでしょう。時々山火事があってね、ところが島の連中ときたらなかなか消火できないんですよ。私だったら二時間もあれば完全に消せますけどね。それで何が大変かというと、道が一本でしょう、忽ち交通がストップしてしまうんですよ。この前もカアナパリのホテルへの客が立ち往生で、車で一泊させられるという悲惨なことがありましたよ」

ガイドブックには決して出てこない、知られざるマウイのアキレス腱である。

こんな話をしながら緩やかな上り道を弧を描きながら走り続けて約一時間半、最後に分岐点で他の車が右へいくのを、我が車だけ左にカーブをとってもう少し走ると、「さぁ、着きましたよ!」 時刻は午前四時前、見回すとあたりは漆黒の闇である。

身支度を整えて車から外へ出る。頬を切る冷たい風に思わず「ヒャァ、冷たい!」と声をあげ、目が覚める。よく見ると十台弱の駐車スペースがあるが、ここに来ているのは我々だけである。懐中電灯で照らしながら(苦労して)トイレを済ませると、岩陰の平な箇所へと進む。神谷さんが手際よく敷布を広げ、シュラフを用意してくれてある。

「脱いだ靴を枕代わりにして仰向けに寝転がって空を見て下さい」

言われたとおりに四人仲良く並んでシュラフに入り、見上げると目の前は文字どおり満天の星である。

「月の横の一際明るいのが金星、少し離れた一等製がマウイの幸せの星です。これが白鳥座、さそ り座、カシオペア座…ほら、ここに織姫、ずーっと左に牽牛、その間のうっすらと白いのが天の 河ですね!」

 神谷さんがサーチライトを照らしながら解説してくれる。遮るもののない夜空に一条の光線が、星に届くが如く真っ直ぐに伸びていく。壮大無辺の天体ショーの始まりだ。

「人工衛星もみえますよ」

というので、目をこらして天空を見詰めていると、ゆっくりと下の方へ動いていく星がある。本当に人工衛星が見えるんだ!。時折、流れ星が明るい糸を曳いて落ちていく。

 風が強く、突っ立っていると体感温度は一段と厳しいだろうが、シュラフの中にいると心地よい。

「結構気持ちいいでしょう。私は時々一人で来て、こうやって星を眺めるんですよ。そうすると本 当に身も心もすっかり洗われたようにスッキリとするんですね」

 神谷さんの言うことがよく分かる気がする。爽やかでなんとなく豊かな気分に浸りながら暫く星を見ていたら、いつの間にかウトウトとしてしまった。暫くしてフッと目を覚ますと右手(東)のほうが少し白じんできている。少しづつほのかに明るさが増してきて、それとともに星が一つ又一つと消えていく。いつの間にか金星と月だけになってしまった。

「さぁ、そろそろ起きて、日の出を見にいきましょうか!」と神谷さんの声がかかる。シュラフから抜け出すと溶岩の岩場を縫って東側へと移動する。息子は身軽に岩場を越えてズンズン先へ進むが、夫婦は一段と強くなった風と寒さにユックリとしたペースで見晴らしのよい場所を探す。

そうするうちに、幾重にも積層雲を重ねた雲海と淡い水色の空を、次第に茜色に染めて、いよいよご来光の始りだ。太陽が顔を覗かせるや否や空と雲間の八方に光線が広がる、それはそれは神々しいとしか言いようのない瞬間である。  

東南の方向の谷あいを見下ろすと、いくつかのクレーター(噴火口)が並んでいる。まさに月世界を彷彿とさせる光景だ。(実際にNASAはアポロ計画の際にここで月面着陸の訓練を行なっている。)そのクレーター一帯が、朝日が登るにつれて部妙にその色合いを変化させていく・・・その様は我を忘れて唯々見惚れているだけである。  

クレーターから目を上げてその向うに遥か広がる雲海の間から黒いなだらかな頭を出しているのが、ハワイ島の4千米を超える二つの高峰マウナケアとマウナロアである。

「はい、今日は最高の天気に恵まれてよかったですね、では混み合う前に場所を変えましょう」

念願の日の出を見て至福の時を過ごし、大満足の気分で再び車に乗る。入れ違いに何台かのバンがやって来て狭い駐車場は忽ち満杯になる。(彼らは他所で日の出を見た後、クレーター見物をするのであろう)車はメインの展望小屋がある駐車場へと進む。車がズラリと並び、大勢の人で賑わっている。

「いやぁ、沢山の人が来ていますね!」

「今日も千人くらいは来てるでしょうね。でも日本と違って、売店は一切無いでしょう。ゴミ入れ も無いですね。但しトイレだけは完璧です。なにしろアメリカの環境保護は徹底してますから。 でも最近は此処に観光客が来過ぎです。そのうち全面登山禁止になるかもしれません。観光業者 は大打撃ですが、アメリカはいざとなったら徹底してやりますからね。」

ここで神谷さん手作り(!)の朝飯をいただく。ゆかりを混ぜただけのオニギリだが、これがとびきりにウマイ。私は遠慮せずに二個目をほおばる。飲み物をどうぞというので、私と息子は紅茶にしたが、女房は神谷さんオススメの特選コーヒーをチョイス。これが素晴らしい香りだと女房は激賞、神谷さんも我が意を得たりと思わずニッコリ。

広場の真ん中に銀剣草の花壇があった。見回して他には草木一本もない茶褐色のガレキの中に、やや大きいのから小さいのまで十数個の銀剣草が、まさにその名の通り銀の剣の刃先を思わせる鋭く尖った葉を重ね広げて育っている。なんとも不思議な生命体だ。(後でかなり下って平地に近い箇所で、2m近い巨大な花柱を咲かせた大株を見ることも出来た)  

記念写真を終えるといよいよ下山である。何組かダウンロードのサイクリンググループも元気よく出発している。来る時は真暗闇であったから、初めて山頂から下界の展望となる。東側は雲海が広がっているが、西側はよく晴れて山裾から遥かマウイ島の「くびき」のビーチラインと青い海が見渡せる。下っていくと山肌はガレキから次第に緑を増してくる。

「積層雲は二千米くらい迄の処に広がりますから、その下だと植物が育つことが出来るんです」

「あっ、沢山の牛がいますね」

「いるでしょう、この辺り全体が牧場なんです。それにしてもあれだけの柵を囲っていったのは凄

い作業ですね、感心しますよ。ハレアカラ牧場という会社があったんですが、去年かな、倒産し てオアフの会社が一旦全部の牛を向うへ持っていったんです。そしたらとたんに味が落ちたとい う評判で、最近またこうやってこちらに戻したそうです。牛もオアフよりマウイの方が快適なん でしょうね」

というような話を聞きながら降りていく。元レスキュー隊の彼は植物に本当に詳しい。

「あの真っ直ぐに伸びた木がクックツリーです。キャプテン・クックは行く先々で帆船のマストの 交換が出来るようにと、次々にこの木を植えていったんですよ。たいした発想ですね。」

「ふーん、なるほど、壮大な発想ですねえ」

「ほら、あすこにユーカリの林がありますよ」

 車から降りて、牛の糞に注意しながら近づいて、枝から細長い葉を折って嗅ぐと爽やかなカユーカリオイルの香りが広がる。コアラ以外には毒、少量だと薬で、あの「ヴェポラップ」の成分がそうなのだ。

それから次に民家の木立の下へいってなにやらゴソゴソと捜して、手にしたのがマカデミアナッツの実。

「あっ、そうですよね、昔ハワイ島のマウナロア農園で沢山拾ったわ。それで日本へ持って帰って 鉢に植えたら、一本が今子供の背丈くらいに育ってるんですよ。そうそう、これと同じ葉っぱで す」

「へぇ、東京で温室に入れないで育つんですか?、それは珍しいですね」

神谷さんが石コロで器用に割った(上手く割るのにコツがあると)実の中身を取り出して試食する。生でもOK、ほのかな甘みでさっぱりとしており、市販のローストしたのよりかえって美味しいくらいだ。  

麓のほうに降りてくると、ショップの店先に花が咲いて穂が伸びた銀剣草があった。

〜〜こうしてのんびりとドライブしてホテルへ戻ったのが9時半過ぎ、神谷さんと又の再会を期待して固い握手をして別れる。女房、息子も深く記憶に残るであろう感動のハレアカラ見物であった。

カアナパリビーチホテルのランチ

部屋に戻ると冬支度から夏モードに切り替えてちょいと休憩、もうこのまま寝たいなぁという(それも当然ではあるが)二人の尻を叩いて、昼飯に出る。W・Vのレストランのウィンドウメニューを眺めても、もう一つピンと来ない。そこでフト、KBHのフロントのブッフェレストランを思い出す。「五年前の朝飯は結構いけたじゃないか」、「そうだったかしら」と、二軒向うのKBHまで足を伸ばしてみる。

行ってみると、入り口で日系一世風のおばあちゃん達が列をなしている。実はここの昼は中華、イタリアンなどが日替わりで、今日は運良くジャパニーズデイなのだ。

定番のメニューに加え、カニと野菜の巻寿司、野菜テンプラ、豆腐と青ねぎの味噌汁もある。寿司はうるち米(カリフォルニア米か)で意外といける。一通り料理が終わるとケーキに挑戦。山の霊気を浴びたせいか(?)皆んな食欲が出たようである。又ここのケーキが生ブルーベリーのタルト、カスタードのケーキとか案外美味しいのだ。

「ハワイへ来ると回りにいっぱい太めの人がいるから、ついつい安心してしまうわねぇ」と言いつつ、女房は一個終わると次のケーキに挑戦する。小生、右に同じ…でまあ、結構なランチでありました。

ブラックロックでシュノーケル

エネルギーを補給すると何やら元気も出てきたようなので、午後は息子とビーチへ出てシュノーケリングを楽しむことにする。「ホテルの前あたりでいいよ」と言う息子を、「いや、この辺じゃ魚はいないよ、ズーッと向こうのブラックロックの処まで行こう、十五年前にはイッパイいたから」と説得してズンズンとビーチの奥のシェラトンホテルの側にある岩場へ進む。

息子は半信半疑であり、私としても随分と昔の体験なので若干の不安はあったが、岩場から海に入ってみると、透明度も高く結構な種類の魚がいて、特にそのうち誰かが撒き餌をすると一気に沢山の魚が集まってきた。

波間に漂っていると何処からともなく海亀が一匹やって来た。海面にはそこそこの人間がいるのであるが、気にすることもなく悠然と泳いでいるので、暫くその亀の後を追っかけて遊ぶ。

泳ぎ疲れて浜に上がると、息子はハワイに来て少しは日焼けしないとみっともないとゴザの上に寝転がって日光浴。先年の長男の例(初日にホテルのプールで焼き過ぎて、その後ズーッと悲鳴をあげていた)もあるので、焼き過ぎないよう程々のところで切り上げてホテルに戻る。

彼を部屋へ返した後、まだ充分時間があるので又前の海で一泳ぎして、それからプールサイドのデッキチェアで横になる。あぁ〜このノンビリ感がたまらないなぁ!!…(ウソつきなさい!とどこからか女房の声が聞超える)

そうこうするうちに日が落ちる。二人は昼に充分食べたから夜は軽くていいと言うので任せることにして、私一人で又KBHのレストランへ行く。ドアを開けると中は昼間と違ってガラガラである。料金は昼($8.5)より高い($12,5)のに、並べてある料理を見ると昼間より見劣りする。

な〜る程と思いながらよく見ると奥にローストビーフのサービスがある。分厚いのを切り分けてもらって食べてみると、これがプライムリブと謳っているだけのことはあり、ジューシィで肉の旨味がジワーッと口の中に広がり東京のレストランの味と比べて遜色無い水準。これに生野菜を添えればもうそれだけで充分に満足であった。

なにしろ午前二時前から起きて活動している訳であるから、ビールの酔いの回りも早く、かくてマウイ三日目・最後の夜もあっさりと幕が下り、夜が明ければ、もうオアフへ出発の朝である。

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