2日目

自然公園のカンガルー

翌日はオプショナルツア−で、4WDに乗って自然公園とブル−マウンテン見物。有難いことに天気は雲一つ無い快晴。一行4組、我々以外は皆新婚さんでおとなしい(それともお疲れか?)。巨体を誇る陽気なガイド兼ドライバ−の横に座って出発。

「フロントの頑丈なバンパ−はカンガル−と衝突した時の為に取り付けてあります。最近はカンガル−が増えて、郊外を走っていると、ぶつかることがよくあるんですよ。今日も皆さん気をつけてくださいね。私有の牧場では勝手に射殺してもいいのです。今日のランチはカンガル−のステ−キかもね。とてもおいしいですよ!・・・」 日本に3年程いたというガイドが達者な日本語で話す。

 中心部を抜けると到着時の飛行機の上から見た(湖ではなく)入り江をとりいれた、赤い屋根、緑の芝生の小奇麗な高級住宅街の側を通る。やがて市街を外れると後は大草原の中をまっすぐに伸びる道路を突っ走っていく。次第に登りとなり、山道へと分け入り木立の間を縫って揺られながら、土煙を立てて暫く走ると山中の自然公園へ到着。

小高い丘を上り、見晴らしのよい場所でガイドのいれてくれたモ−ニングティ−を飲みながら辺りを見回していると、木立の影からお目当ての野生のカンガル−が姿を現した。恐がらせないように、餌をやらないようにと注意を受けて、ソッと近づく。やはり動物園で見るのとは違って、何処となく精悍な感じがする。  

   

         (ガイドと)                   (カンガルーと)

ブルーマウンテン

暫くカンガル−とのデ−トを楽しんだ後、また山道を走って、いよいよブル−マウンテンへ向かう。シドニ−近郊随一の観光スポットとあって駐車場には多くの観光バスが並んでおり、日本の観光地と変わらぬ雰囲気だ。

この地の目玉がスリ−シスタ−ズと言われる三つの尖った峰。茶店の先からジェット・コ−スタ−のようなケ−ブルでイッキ降りするとヴュ−ポイントへ着く。真っ正面にスリ−シスタ−ズの峰が迫る。随分と時間をかけてやって来ただけに、写真にビデオにと大忙しだ。  

 (背後にスリーシスターズの峰)

バスツア−の場合はこれにて終了であるが、4WDだと更に山中へ分け入って、ブル−マウンテンのベストポイントへ案内してくれる。小道へ分け入って突出た岩場へ出ると、深い樹海の遥か向こうにはテ−ブルマウンテンのような峰々が繋がる、緑のグランドキャニオンとでも言ったらいいような掛け値なしの壮大な光景が広がっている。

辺り一面に群生するユ−カリの木から立上る揮発成分の影響で、山全体が青く霞んで見えるのが名前の由来というが、そういえばそれが納得できるような、薄く青いフィルタ−を透して眺めているような感じがしてくる。遠くの樹海の中に切り立って聳えるテ−ブル状の山並みを見ていると、なんとなく昔TVのニュ−スステ−ションの特集で見た、ロストワ−ルドの舞台となった南米ギアナ高地の景色がオ−バ−ラップしてきた。  

一帯を歩いてこの地の景色を堪能してから、リビングに暖炉のある山荘風のレストランへ向かい、ランチをとる。大味のヒレステ−キよりもサラダの中の茹でた海老が甘みがあっておいしい。

 隣に中年白人男女のグル−プがいたので、厚かましくも、記念にム−ビ−を撮るから一緒に歌を歌ってくれと申し込んだら、一瞬徒惑ったようであったが、気持ちよく応じてくれた。(横で女房が呆れ顔!)

朝早くから結構動いたので帰りの車中は皆グッスリ。気がついたらホテルへ戻っていた。疲れたといって一休みの女房を残して、ホテルの前の波止場にある水族館へいく。オ−ストラリア近海の海中生物を全て見ることができるというので大勢の客で賑わっている。結構な規模で、こういう所は童心に帰って、素直に楽しむに限る。丁寧に見ていったら、一時間半程かかった。

氏ご夫妻よりのご招待

夜はシドニ−駐在のM夫妻と会食。ホテルから徒歩5分程の中華レストランへ行く。構えの立派な店で繁盛している。シ−フ−ドを堪能、特に鮑のシャブシャブはなんとも贅沢な料理で、鮑の味は勿論、ス−プの淡白な旨味が絶妙。オ−ストラリアでこんな微妙且つ絶妙な味わいの料理を楽しめようとは驚きであった。

彼等はニューヨーク、ロンドン、ミラノと海外駐在のほうが長い本物の国際派で、夫妻のホスピタリティについてはA社のM名誉会長も近著の中でミラノを訪れた時の事を挙げて絶賛しておられる。私は夫妻の知らないエピソ−ドを披露――その昔I商事のY取締役(後に社長、会長)が突然T専務(当時)に面会を求めてこられた。専務は「思い当る節は無いが、I社の役員ならお会いしないわけにもいかんだろう」とうことで面会の後、「どういうご用件でしたか?」と尋ねると、「お嬢さんとうちのM君の結婚披露宴の件だった。勿論出席の返事をしておいたが、秘書たるもの担当部の若手の縁談くらいは掴んでおくように」とニヤッとされたのであった

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