スペクタクル大作

ハリウッド的大作の代表がスペクタクル史劇。シネマスコープの第一作がヘンリー・コスタ監督の「聖衣」(音楽・アルフレッド・ニューマン/リチャ−ド・バートン、ジーン・シモンズ主演)。 大御所セシル・B・デミル監督の「サムソンとデリラ」(音楽・V・ヤング/ヴィクター・マチュア、ヘディ・ラマー主演)、「十戒」(音楽・E・バーンスタイン/ユル・ブリナー、チャールトン・ヘストン主演)・・・それぞれ壮大な歴史劇にふさわしい格調高いメロディである。

そして文句無しの大作「ベン・ハ−」(ウイリアム・ワイラ−監督、C・ヘストン、ジャック・ホ−キンス主演)のミクロス・ロ−ザの壮麗な曲はこの種コスチュ−ム映画音楽の頂点といえるであろう。ロ−ザの歴史劇音楽にはこの他に「エル・シド」(アンソニ−・マン監督、C・ヘストン、ソフィア・ロ−レン主演)、「キング・オブ・キングス」(ニコラス・レイ監督、ジェフリ−・ハンタ−が青年キリスト役を演じた)もある。

  これ等の作品で成功した新興プロデュ−サ−のサミュエル・ブロンストンはその後、次々と70ミリの大作を出したが、後の音楽にはD・ティオムキンを起用、「北京の55日」(N・レイ監督、C・ヘストン、エヴァ・ガ−ドナ−主演、伊丹十三も出ている)、「サ−カスの世界」(ヘンリ−・ハサウェイ監督、J・ウエイン、リタ・ヘイワ−ス、クラウディア・カルディナ−レ主演)、「ロ−マ帝国の滅亡」(A・マン監督、S・ロ−レン、アレック・ギネス、S・ボイド主演)と続いた。(「ロ−マ〜」のティオムキンのスコアは彼の最高作との評価も高いが、肝心の映画の中身は史劇としてのメリハリの効いた面白さに欠けヒットせず、製作者・ブロンストン自身もこれで滅亡してしまった。)

D・ティオムキン(1899〜1979)はサンクトペテルブルグ生まれのロシア人、29年〜69年の間に129本の作品を残す。これまで列挙の傑作の他に「ダイヤルMをまわせ」(アルフレッド・ヒッチコック監督、レイ・ミランド、グレイス・ケリ−主演)、「老人と海」(J・スタ−ジェス監督、スペンサ−・トレイシ−主演)等がある。ラスト・ツ−が「キャサリン大帝」(ゴ−ドン・フレミング監督、ジャンヌ・モロ−、P・オトゥ−ル主演)、「チャイコフスキ−」(イゴ−ル・タランキン監督、インノケンティ・スモクトノフスキ−主演)であったのは、晩年の故郷回帰の思いの強さゆえであろうか・・・!                                          

史劇物といえば黛 敏郎の「天地創造」(ジョン・ヒュ−ストン監督―ノアの箱船のセットが壮観だった)は雄大で格調高く好評であった。映画音楽で世界的に成功した日本人はその後、「戦場のメリ−クリスマス」(大島 渚監督、デビッド・ボウイ主演、坂本龍一、ビ−トたけし共演)そして「ラストエンペラ−」(ベルナルド・ベルトルッチ監督、ジョン・ロ−ン、ジョアン・チェン=陳沖、ピ−タ−・オトゥ−ル主演、坂本も出演)の坂本龍一くらいであろうか。

坂本はこの後もベルトルッチと組んで「シェルタリングスカイ」(デブラ・ウインガ−、ジョン・マルコヴィッチ主演)、「リトル・ブッダ」(アレックス・ヴィ−ゼンダンガ−少年、キアヌ・リ−ヴス主演)の大作を手掛ける他、米=香港で「激光人/レーザーマン」(ピーター・ワン監督・主演)、米=独で「侍女の物語]8フォルカー・シュレンドルフ監督、ナターシャ・リチャードソン、フェイ・ダナウェイ主演)、スペインで「ハイヒール」(ペトロ・モトヴァル監督、ヴィクトリア・アブリル主演)、イギリスで「嵐が丘」(ピーター・コズミンスキー監督、ジュリエット・ピノシェ主演)、米でブライアン・パルマ監督と組んで「スネーク・アイズ」(ニコラス・ケイジ、ゲイリー・シニーズ主演・・・パルマ監督独特のカメラアイ=出だし13分強のノンストップシーンが凄い!) と、国際的な活躍を続けている。

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