ヨーロッパの名曲

欧州の名画路線にはきれいなメロディ−が数多い。ナルシソ・イエペスのギタ−で「禁じられた遊び」(少年役のその後は不詳だが、少女役のブリジット・フォッセイ‐46年生‐は長じて美しい女優に成長、22才の時A・ドロン、C・ブロンソンの「さらば友よ」に再登場、すると早速、羽仁 進監督が「妖精の詠」で起用している)、アントン・カラスのチタ−による「第三の男」(キャロル・リ−ド監督の最高作、ジョセフ・コットン&オ−ソン・ウエルズ主演)が欧州映画音楽スタンダ−ドナンバ−の双璧か。

テオ・ウスエリの「女王蜂」(マルコ・フェレ−リ監督、ウ−ゴ・トニヤッツイ、マリナ・ブラディ主演)もタンゴ調の甘いメロディで印象に残る曲だ。

 愛の不毛を描き続けたミケランジェロ・アントニオ−ニ監督の作品の音楽もヒロイン、モニカ・ヴィッティのアンニュイな表情と共に記憶に鮮明だ。ジョヴァンニ・フスコ作曲の「太陽はひとりぼっち」(原題・L’ECLIPSE=失墜・・・A・ドロンが主演なので日本ではこんなタイトルになった)、サントラ盤のコレッド・テンピア楽団(この録音の為だけの幻の楽団)の演奏は最高、私にとって映画音楽傑作選中の白眉の一曲だ。(同じ三人の組合わせでもう一本「赤い砂漠」がある)

 又、耽美派ロジュ・ヴァディム監督がM・ヴィッティを起用した「スウェ−デンの城」はレ−モン・ル・セネシェルのク−ルジャズタッチの主題曲が印象的だ。

珍しいスペイン映画、ラモン・フェルナンデス監督の「愛のアンジェラス」はブル−ノ・ニコライのメロディが哀愁を佩びて奇麗だ。

 ギリシャへ飛ぶとマノス・ハジダキスの名曲が「日曜はダメよ」(ジュ−ルス・ダッシン監督、メリナ・メルク−リ主演)、同じトリオでもう一本「トプカピ」(ピ−タ−・ユスチノフ、マキシミリアン・シェル共演)がある。

  ギリシャ映画を代表する作曲家がミキス・テオドラキスで、「その男ゾルバ」(マイケル・カコヤニス監督、アンソニ−・クイン、イレ−ネ・パパス主演)で名を挙げた。私は「Z」(コンスタン・コスタ=ガブラス監督、イヴ・モンタン、ジャン・ルイ・トランティニアン、アラン・ベイツ=製作も兼ねている、イレ−ネ・パパス主演)のたたみかけるような独特なリズム感のメロディ−が好きだ。彼の作曲は僅か14本しか公開されていないが、ギリシャ音楽を生かした個性あるメロディで映画音楽の世界に独特の存在感を示している。

  イギリスの「黄色いロ−ルス・ロイス」(アンソニ−・アスキス監督、レックス・ハリスン主演)の主題歌「明日を忘れて」が明るく、エネルギッシュでいい。作曲はイタリアのリズ・オルトラ−ニ(1931〜)。彼はニ−ノ・オリヴェラ−リと組んで、グァルティエロ・ヤコペッティ監督の「世界残酷物語」に映画の内容とは裏腹の奇麗な音楽を付けている。この中の主題歌 「モア」 は甘くソフトな旋律で、 アンディ・ウイリアムス等多くの歌手が歌うスタンダ−ド・ナンバ−となった。

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