暑暑台湾古月(フルムーン)旅行記
(2005年8月7日〜14日)
はじめに
台湾はいいところ!・・・でも夏に行くのは避けたい。なにしろ5月で既にもう真夏というではないか!しかも湿度が80〜90%。更には、台風もよくやってくる。では、なんでそんな時期に行くことになったかというと・・・あまり深いわけはありません。
〜〜そもそもは、VISAカードのポイントがANAマイレージに転換可能になったのがことの発端。“ではANAのマイレージの残りにVISAポイントを足して、マイレージ旅行をしよう!”と思いたった次第。それからはカード支払い可能なものは総てカード決済。尤も、ついつい使い過ぎて、これはよかったのか?悪かったのか!・・・どうもカード会社の術中にスッポリと嵌まったみたいではある。
で、目標マイレージを貯めて、いざ予約を!と張り切ったところ、今年は会社の夏休み日程が二転三転し、やっと決まった時点(3月末)で予約可能な箇所はといえば韓国・中国・香港・台湾のみ。上海や廈門も魅力的だが、しかし中国語が出来ぬ身での単独旅行は無謀というもの。それで結局は多少勝手のわかった台湾行きとなった次第である。しかもこの時点だと8/6(土)〜8/13(土)は満席なので、8/7(日)〜8/14(日)でエアーニッポン(=ANA)の朝便を確保。
そうこうするうちに、アジア方面はあまり得手でない女房が、5月に友人とシンガポールに行って認識が変わったか、「私も一緒に行きます!」と。女房も遥かなる昔々の学生時代に、仲良し3人で那覇〜石垣島〜台湾〜香港〜マカオと船で周ったことがあり、先年の私と同じく30数年ぶりの訪台となる。
さて、女房のフライトであるが、私と同じエアーニッポンだとネットの格安料金でも10万円を越える。中華航空だと7万円チョイ。(=燃料サーチャージ、空港利用税等すべて込みの値段) 都合のよいことにチャイナの朝便はANAの20分後の出発で、どちらも中正空港第2ターミナルに到着する。
このあたりの状況を説明したうえで、「ANAでもいいけど、どうする?」、「3万円の差ネ、う〜ん・・・、そうネェ・・・決めた、3万円分向こうで贅沢するわ!」〜〜ということで夫婦別便に決定。(注:これは家族の危機管理対策でもあります??)
私としては阿里山のご来光と、台中〜日月潭をメインに考えていたのであるが、女房は「わたしは阿里山も日月潭も行ったので、今回は高雄へ行ってみたい!」と。“老いては女房に従い”であります。
二人連れだとあまりハードなコース設定は出来ないので、基本コースは高雄〜台南〜台北に決まり。
私だけなら徹底したB級路線であるが、女房が一緒だとそういう訳にもいかない。ホテルもグレードアップだし、小籠包ばかりでなくて、ちぃとは高級レストランにも行かねばなるまい。優良マッサージ店も不可欠だ。ここで頼りどころの「台北ナビ」やその掲示板常連さんからの情報(皆さん親切な方が多くていろいろとアドバイスしてくれる)、更にネットサーフィンをして追加情報を集める。
万全の準備をしたつもりであるが、ままならないのが天候である。7月に大型台風が台湾を襲い、各地に甚大な被害をもたらしたようで、当時帰国寸前の人々の難儀の様子が台北ナビの掲示板に生々しく掲載されていた。こんなことになったら大変だなあ!と思っていたら、8月に入ってまたまた大型台風(9号)が発生。その中心が石垣島を通り、台湾北部を暴風雨圏内に巻き込んでいく。さっさと大陸へ抜けるだろうと楽観視していたら、速度が15Km/毎時と超のろのろで出発1日前になってもまだ台湾北部に影響を残している。“シッ、シッ。早く向こうへ行っておくれ!”であるが、ナカナカしつこく、いつまでも台湾近辺をウロウロしているのだ・・・。
(※ 台湾の旅の楽しみの第一は“食い倒れ”にありますので、以下“たべもの”にはこだわって書いていきますので、ご容赦ください)
8月7日(日)/一日目
台北・中正機場まで
〜そうこうするうちに出発の朝になりました。朝のフライトなので、4時半に起床!「なんで近場に行くのに、こんな早く起きなきゃいけないの!」、「すんません、みんなアッシが悪いのです・・・」、でも時間的にはこうなってしまうのです。
家を出たのが、5時半過ぎ、品川発6時過ぎの快速に乗って成田到着が7時半過ぎ。空港ロビーは結構な賑わいだ。VISAラウンジヘ立寄る暇もあらばこそ、宅急便のスーツケースをもらってそれぞれチェックイン。
女房のチャイナはスイスイと手続きが終わったようであるが、ANAは長蛇の列。(ピーク時期だというのに窓口人数が少なすぎるんダ!)遅々として進まないため、いささかあせり始めたときに、係員が登場し、「台北出発の方はこちらへどうぞ!」と。「ホッ!」。
出発ターミナルへの電車(?)に乗りこむと、目ざとい女房が「ねぇ、どこかで見た人よ、・・・アッそうそう“なんでも鑑定団”の中島先生だワ」。先生が何処へ“いい仕事”をしにいくのか?それはこちらが気を揉んでもしかたがないことで、それはともかく電車を降りると、「じゃあ、気をつけてね!」と左右へ泣き別れ(?)
ANA(機種名不詳)の席は2−3−2。3時間ほどだし、窓側(17−A)をリクエスト済み。(格安チケットだと事前座席指定が出来ないが、マイレージだと出来るのダ!)尤も17には窓が無かった!座席はほぼ満席。私の隣とその横は台湾の少女の一行で、おとなしいので助かる。
では、恒例の機内食チェックです。・・・今回は「鶏テリヤキ」と「シーフードクリーム煮」なので、当然後者を選択、メインの他に「スモークサーモン&ソーセージのマカロニサラダ」と、「なめこの茶そば」。どれも結構な味で、昨年のハワイ便よりも上等である。
で、帰りは、「トンカツ」と「シーフード・カレー」で後者を選択。サイドメニューは「焼き豚&マカロニサラダ」。カレーはコクがあって上品な味で、何よりデザートの「タピオカ入りマンゴプリン」が抜群に美味しかった。 今回は往復ともに満足。(尚、女房のほうのチャイナの機内食は往復ともマズかった!とのコメント・・・確か、欣葉の監修がウリだったんだがなあ??)
(往きと帰りのANAの機内食)
途中、台風の余波でところどころ弱い乱気流はあったものの定刻(11:50)で台北到着。前回はアジア各地でSARSが猛威をふるっており、入管も警戒厳重であったが今回はスムーズにパス。女房のフライトが20分後なので、ユックリと進んで税関前で両替をしていたら「アッ、見つけた!」と後ろから女房に肩をたたかれた。チャイナ便は随分スムーズなフライトであったようで、先ずは無事再会にホッとする。
なお、両替レートはというと、2年前に比べると「元高・円安」で、1元=3・55円(因みに、3年12月は1元=3.25円)であった。
普通ならこれで一段落で、あとはホテルに向かえばいいわけだが、これから高雄へ移動する我々はここからが旅の本番スタートとなる。
第2ターミナル出口を右に折れて国光客運のカウンターへ向かう。台北車站行きのリムジンバス国光号(120元)は待機中で一番乗り(随分ゆっくりしたから1台遅れということか)。10分ほど待ってから第1ターミナルへ。ここで満員となり、一路台北へ。
台北車站到着が13:40。降りると雨がパラパラと落ちてきた。台風の余波で天気はやや不安定なようで前途多難を思わせる。(これはあとで的中します!)中国の宮殿を思わせるような壮大な駅舎の端に女房を待たせて、切符売り場へ急ぐ。高雄行きの特急(自強号)は14時と14時30分。用意してきたメモを差し出すが、指定席は総て売り切れとのゼスチャー。日曜日の午後なので、直前では指定席が取れないのではと危惧していたが、やっぱりそのとおり。4時間立ちっ放しのリスクを冒すわけにはいかないし、この後の列車だと高雄到着は早くて21:48となってしまう。
ネットで台湾鉄路局の時刻表がとれるので、事前にチエックし、14:30がダメなら、即高速バスに変更との読みをしていたので、直ちに方針変更。慌しく阿羅哈(アロハ)客運の乗り場へと向かう。しかしこの移動が大・大変。大通り(=市民大道一段)を向こうへ渡る信号は遥か彼方。目の前を若い女性が車の空きを見計らってサッサと渡っていくが、スーツケース転がしてそういう訳にもいかない。
“ええい!”と腹を決め、大型スーツケースを抱えるようにして、地下道への階段を降りる。蒸し暑いので忽ち玉のような汗がドッと噴き出す。(何を好き好んでこんな苦労をしてるんだろうか?休暇は家でのんびり寝っ転がてればいいものを!・・・と疑念が一瞬頭をよぎる。バカは死ななきゃなおら〜ない!・・・)地下マーケットの人混みを縫うようにしてスーツケースを転がし目標出口下へくると、今度は登り階段。途中我々の難儀を見かねたお嬢さんが女房を手助けしてくれた。親切な女性に感謝感謝!
阿羅哈巴士(アロハバス)
汗をぬぐう間もなく、二人してスーツケースをデコボコの歩道の上をゴロゴロと押して承徳路一段を北上し、それでも14:10に「阿羅哈」の始発場所へ到着。道路わきにはバスが待機中。早速受け付けの女性に申し込むが、「
★△◎×□?!」・・・全く通じない! 仕方なく筆談で交渉すると「待機中巴士満席!」「次発巴士
なるほど、ガイドブックどおり20分おきに出発するんだぁ!・・・なんとか切符(一人650元)を手に入れ、冷房の効いた待合所で一休み。(難民が安住の地を得たような感じ!)
これから最短でも約5時間の長丁場なので糧食も必要だ。手前にマクドナルドがあるが、「台湾に来てマックではねえ・・・」と、大通りの向こうに食べ物屋があったので、行ってみると胡椒餅屋。「元祖福州胡椒餅」ではないが、小生まだ胡椒餅未体験なので、これもよかろう!と購入(1個40元)。飲み物はタピオカミルク(20元)。夜のことも考えて、最小限の食料を確保してバスに乗り込む。(胡椒餅はまさに胡椒いっぱいで甘辛ヒリヒリ。元祖でもこんな味なのでしょうか?、タピオカミルクはでかい黒タピオカがゴロゴロ。胃の中がタピオカで固まってしまいそうな気がしてくるが、味はグー)
1階にスーツケースを置き、階段を上がると、これが噂の「総統椅子」! なにしろ左右1席のどでかい椅子がで〜んと待ち構えている。案内されるまま中ほどの椅子に座ると、セミ・フルリクライニング。背面は電動マッサージになっており、枕部分(?)ははめ込みスピーカー。目の前の個別ビデオモニターの音はここから聞く。“ふんぞり返る”ことに慣れていないので、夫婦ともはじめはなんか勝手が違って落ち着かない。ガイドが最初にホットコーヒー、後で紙おしぼり、水(200CCパック)、ミルク煎餅を配ってくれる。台湾語しか話せないからゼスチャーでモニターの使い方を教えてくれる。
そうこうするうちに定刻で出発。うん?・・・なんと我々二人しか居ないではないか!、へえぇ、二人でもちゃんと20分おきに出発するんだ!“エライぞ、阿羅哈”とちょっぴり感動。5分ほど走ったところで一人のおばさんを乗せたが、それから2時間あまり、どこやらのインターチェンジまで、たった3人の客を乗せて、バスは高速をひた走ったのであります。
おばさんが乗ってから雨が本降りになったと思ったら、それこそ天の底が抜けたような土砂振り。まだ一般道だったので、眼下の回りは忽ち床下浸水状態になってしまった。これも台風の名残の気象不安定ということか?
“いやあ、この豪雨がもう少し早かったら、台北駅で出るに出られずエライことになっていたなあ!”と胸をなで下ろしたのでありました。旅の運・不運は紙一重であります。【もう少し楽な旅がしたいわぁ・・・女房の心の声?】
そんな、こんなでそれからは総統椅子に“ふんぞり返って”寝たり、電動マッサージをしたりで只管(ひたすら)休息につとめました。台湾のバスは冷房がきついと聞いていましたので、ウインドブレイカーにセーターまで持ち込みましたが、このバスはそれほどでもなく、毛布1枚で十分でした。
もう一つ、台湾のバスの運転は荒っぽい=私も一昨年基隆バスに乗ってその荒っぽさに肝を冷やした体験がありますので、いささかの心配があったのですが、このバスは常時80kmくらいの安全運転。高速の渋滞もなく、想定していたよりは快適な道中です。
〜そうこうするうちに、19:40高雄到着。結果としては14:30台北発の自強号と高雄到着は10分しか違わなかったから、バスへの変更は大正解であった。市内に入ったとき車掌に「福華大飯店の近くを通るようだったら、途中下車させて頂戴」という趣旨を筆談で依頼。彼女は「了解!」というジェスチャーであった。停車後に彼女がやってきて手招きするので誘導に従って降車すると、目の前にタクシーが待っていて、運転手に何やら告げると、タクシーはすぐ発車し、程なく「福華」へ到着。〜〜こうして家を出てから延々14時間半の長丁場はようやく終章を迎えた。
福華大飯店
タクシーを降りるとドアマンがサッと寄ってきて、「チェックインは5階です、荷物は部屋にお届けします」と。案内されるまま5階に上がるとデスクには日本語のわかるおじさんがいてスムーズな応対。部屋は27階。ナビ情報によると、“初めは低層階⇒リピートを重ねる毎に高層階になる・・・”そうで、これはラッキー!
部屋に入ると、当然窓からの見晴らしはいいし、室内も広い。(2泊したが、申し分のないホテルで、例えば、空調は自分の適温に調節が出来て、音が静かなのが何より有難い。又バスルーム内に独立したシャワールームがあるのも便利。TVは日本の衛星放送が入る。
そうしたハード面の充実に加えて、フロントやドアマンの親切な応対も高い評価。日本からはビジネス客が多いとか。(アジアランドサービス http://www.hotels489.com/)two/pricelist.htm でネット予約すると、二人で1泊朝食付きで9200円と、超お得価格!)
(ホテルのタワーと玄関) (部屋の広さが表現出来てません!)
珍 珠 坊
夜分なので、食事はホテル内で。福華では飲茶の「珍珠坊」の評判が高い。営業は9時までだというので、スーツケースを受け取ると、4階のレストランに急ぐ。8時を周っているので、大半のテーブルは空いていて、窓際の席へ案内される。メニューはカラー写真に中&英語。(日本語はない)手元の「ナビお薦め」をプリントアウトしたものと見比べながら飲茶数種類をオーダー。(詳細は下の写真参照)
上海料理とあって、どれも優しい味わいで美味しい。ポークリブの蒸しのたが特に気に入った。(値段は一番安い) 海鮮包湯もフカヒレや干貝柱、エビなど包みの中にいっぱい入って豪華でスープも味わい深い。
飲茶のあとは一品料理で、野菜系で、「ケールの牡蠣ソース炒め」(これもソースの優しい旨味がケールの苦味とよくバランスしている)。“しめ”にビーフンが食べたいという女房のオーダーで「星州米粉」・・・これが、「ホントに“小”なの?」と思わず確かめたほどの大盛り。ほのかなカレー味の米粉(カレー風味が星州の意味合いか?)に、ポークに海鮮、野菜いろいろと具もいっぱいで、小食の夫婦(?)としてはもう満腹。この1品が200元(700円)と、斯種レストランとしては格安であるが、全体でも締めて974元(3500円)と、味と値段とサービス(丁寧なサービスでサービス料なし!)で、実にお値打ちのレストランです。(女房)【最初からこれでは、ホントに豚になってしまいそうで心配だわ・・・】
(フカヒレ餃子 ) (エビ入りライスロール)(ポークスペアリブ蒸とエビ餃子)
(海鮮包湯) (ケールの牡蠣ソース炒め)(星州ビーフン)
六合夜市 と マンゴー
部屋に戻って、一息入れると、「そうだ、夜市に行こう!」、「私はゆっくりとお風呂に入りたいからあなた一人でどうぞ・・・」
そもそも高雄の宿を決めるときに、せっかく高雄まで行くなら一番豪華な「スプレンダーホテル」(高雄の最高層ビルの35階以上がホテルになっていて、豪華絢爛との定評がある!)にしようかと迷った挙句、結局交通至便で夜市に近いという理由でこの福華に決めたのである。台湾の夜はやっぱり夜市なのだ!
玄関で念のためドアマンに場所を確認すると、ポケットから地図カードを取り出して丁寧に説明してくれた。一歩外へ足を踏み出すとムッとするほど蒸し暑い! 徒歩12〜3分で距離的には問題ないが、汗がタラリタラリ。バイクの音が騒がしい中山路をしばらく歩いて右に折れると夜市。大勢の人が出ているが、通りが広いのでゆったりと散策できる。台湾のエネルギーを感じながら進んでいくと奥の出口近くに果物屋があった。山盛りの中にマンゴーを見つけたので、親爺に食べごろを選んでもらうと、計りにかけて「はいよ、130元!」(今年は7月の台風等でマンゴーが不作で、例年より出来が悪くて値段が高いとは聞いていたが、やっぱりチョッと高めかな?)
“夜市の戦果”(?)と、マンゴー1個をぶら下げてホテルへ戻り、一風呂浴びて汗を流したあと、さあ、“台湾の夏の贈り物”に挑戦です。ひとすくいを舌に乗っけて、思わず“おいひ〜い〜!”。とろりとした甘さが口いっぱいに広がってもうたまりません。大げさでなく今まで食べた果物のなかでいちばん美味しかった。愛文芒果(アップルマンゴー)万歳! ・・・・・・ こうして、満足のうちに長かった一日の終わりです。
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